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大相撲バッシングといじめ

2011-02-07 20:01:10 | 教育関連
大相撲八百長問題にせよ、自衛隊来賓民主党批判発言問題にせよ、海上保安官情報公開問題にせよ、これに対する「自称一般国民の主張」がわき上がるとき、ある共通の前提の元にそれらはわき上がる。すなわち、その「主張」とやらの影響が自分に及ばない限りは、どこまでも第三者の立場に立ってサディスティックに「バッシング」ができるということである。

例えば、あの田母神事件からもう3年近く経つというのに、未だに意味がハッキリしない「文民統制」という言葉が典型的だ。「自称、平和を願う一般国民」たちは、定義もせずに「文民統制」という言葉を権威ある言葉として使い、その言葉を盾に、自衛官たちのあらゆる自由を遠慮なく束縛してゆく。上記の自衛隊来賓民主党批判発言問題に至っては、来賓という明らかな民間人でさえ、その発言内容を事前に「調査」し、その結果が自衛隊に誤解を招きかねないものであれば、そういう来賓を呼ぶなという通達を防衛事務次官の名の下に出している。これは「日の丸・君が代問題」で騒いでいる左翼・サヨク・ネトサヨ・左巻きの連中にとっては、どう見たって「民間人への実質的な言論統制」に他ならないのだから、少なくとも日の丸・君が代問題と同じくらい騒いだっておかしくない話のはずだ。いや、むしろ日の丸・君が代問題以上におかしな話だ。日の丸・君が代問題は教師という公務員に対する職務命令・通達の是非であって、子どもたちという「民間人」(笑)への実質的な強制は今までどの政権でも否定され続けている。その一方で、自衛隊来賓民主党批判発言問題に関しては、来賓という「明確な民間人」の「発言内容」を実質的に規制しているわけで、その問題の大きさは日の丸・君が代問題の比ではない。日本国民の自由権の保障という観点から見ても、はるかにより大きい問題のはずである。

しかしながら、現代日本の中でわき上がってくる「自称一般国民の声」は、このような比較を全く行っていないものが99.99%だと言っても良い。例えば衆議院予算委員会で石破自民党政調会長が上記の自衛隊来賓民主党批判発言問題を採り上げ、再度「この通達を撤回する気はないか?」と徹底的に追及したことを知っており、政府民主党はその追及に対して何ら適切な答弁ができなかったということを知っている「自称一般国民」は何パーセント存在するのだろうか??

youtube
http://www.youtube.com/watch?v=BT5QRXeRe2M

話を本筋に戻そう。日の丸・君が代なら「自由の侵害だ!」と大騒ぎできるのに、自衛官の言論統制を平気で訴えたり、大相撲に対して「問題がある以上興行は控えるべきだ」と平気で主張できたり、尖閣諸島沖での映像を公開した海上保安官を226事件に平気で例えてバッシングできる連中は、その「自由」が、同じ「日本国民」でありながら、

・自分に関わるものと思い込まされているものに対しては必死に守ろうとし、

・自分にとって「他者」と思い込まされているものに対しては平気で自由権を侵害できる、

こういう「自己矛盾、ダブルスタンダード」を犯しているということを、どれだけ意識できているのだろうか。


このブログでもさんざん繰り返してきたが、そういう意識がないとすれば、そういう「自称一般国民」は、

・自分に関係ない他者に関しては徹底的に叩ける

という意味で、彼らがシャアシャアと子どもたちに言っている「いじめをやめろ」という主張は、何ら説得力を持たないということを肝に銘じておくべきだ。

子どもは、大人のウソに対しては実に鋭い。大人のウソに鋭い子どもたちは、教師たちがいくら真剣な顔で

「いじめはやめろ!いじめられる側の気持ちを想像しろ!!」

などと叫ぼうとも、しらけているはずだ。そのとき子どもたちはこう思っているはずだ。

「だってお前ら大人たちは、自衛隊や海上保安庁や大相撲関係者を平気でいじめてんじゃん。自分たちがいじめを平気でやっておいて、『いじめをやめろ』などと、どの面下げてそんなこと言ってんの?恥ずかしくないの?バカなの?死ぬの?」(子どもは大人たちの言い方をマネするのも実に得意だ)


不景気だから鬱屈した感情を何かにぶつけたくなるのもよくわかるが、そのバッシングに正義はあるのか?と常に自問自答する精神を持ち続けられるのが「大人」の条件であって、そういう「大人」でなければ、口が裂けても子どもたちに「いじめをやめろ」とは言えないということを、「自称一般国民」「自称大人」は意識して知っておくべきである。


※ちなみに、これと似たような枠組みの問題が2009年慶応大学法学部小論文(論述力テスト)で出題されている。



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