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ライブドアとフジテレビの「和解」?

2005-04-18 08:44:40 | Weblog
ライブドア・フジテレビ、きょう和解を発表(読売新聞)

(引用ここから)
 ニッポン放送の経営権を巡るフジテレビジョンとライブドアの和解交渉で、両社は17日、資本・業務提携することで大筋合意した。

 それぞれ18日に臨時取締役会を開いて正式に了承したうえで、同日午後、両社首脳がそろって記者会見し、発表する。2か月以上に及んだ攻防は、テレビ局とIT(情報技術)企業の新たな提携という形で幕を下ろすことになる。

 関係筋によると、和解案は、ライブドアグループが保有するニッポン放送株をフジテレビが取得し、ニッポン放送を子会社化するとともに、フジテレビがライブドアの第三者割当増資を引き受け、ライブドアに15%弱を出資する資本提携が柱だ。ライブドアがフジテレビ株を新たに買い進めないことでも合意する。

 一方、業務提携についてはインターネットと放送を融合させた事業に共同で取り組むこととし、具体策は委員会を設置して詰める。

 フジテレビの日枝久会長と村上光一社長、ライブドアの堀江貴文社長らが16日会談し、和解案の骨格をまとめた。フジテレビによる資金負担は最大1600億円に上るとみられる。

 フジテレビは主幹事証券の大和証券SMBCとも協議し、今後、企業グループの再編を後押しする産業活力再生特別措置法(産業再生法)の活用も視野に、ニッポン放送の100%子会社化を目指す。

          ◇

 フジテレビとライブドアの和解に伴う提携(骨子)

 ▽フジテレビはライブドアグループが過半数保有するニッポン放送株すべてを最終的に取得し、ニッポン放送を子会社化。まず、32・40%分を保有するライブドア・パートナーズを買収

 ▽フジテレビがライブドアの第三者割当増資を引き受け、全株式の15%弱を取得

 ▽ライブドアはフジテレビ株の買い増しを中止

 ▽業務提携の具体化に向け、共同で委員会を設置

(引用ここまで)

 提携案を見ても、ライブドアとフジテレビが協力し合うと言うより、「フジテレビがライブドアの一部を買う」というイメージにしかならない。これはライブドアから見れば「ライブドアの一部をフジテレビに売る」ということであり、元から「マネーゲームではない。信じて下さい」と言い続けてきた堀江の方針とは全く違うものである。

 何度もここで指摘してきたとおり、ライブドア側がフジテレビ側に対して積極的に提供できるノウハウや技術という「企業財産」はほとんどないので、フジサンケイグループの企業価値を維持するためには、このような決着にならざるを得ないのは理解できる。しかし、そういう状況を理解した上で堀江は「マネーゲームではない(=ライブドアがフジサンケイと業務提携を行うことで、ライブドアはフジサンケイに「貢献」できる)」と言い続けてきた以上、こういう決着になることに対しては「堀江が嘘をついた」と言わざるを得ない。

 さらに、今回の決着によって、フジサンケイも1600億円という予定外の出費を強いられることになる(そのうちの何割かはニッポン放送の子会社化のために出費する予定のものであったであろうが)。これを、ライブドアとのシナジー分(相乗効果が生じたことによる「余計の」利益)で果たしてペイできるのであろうか。これが大きな疑問として残る。ペイできなさそうであれば、今回の決着をフジサンケイ側の株主に納得できるように説明するのは難しいだろう。

 以上のことを端的に言えば、この決着は和解でも何でもなく、単にライブドアが、粗悪な企業財産を無理矢理フジサンケイに押し売りしただけに見える。「ライブドアの押し売り成功」ということだ。


 しつこいが、堀江は「ラジオとネットのシナジー」をめざしてニッポン放送の株を買ったはずなのだが、その目的はどこに消えたのだろうか。ライブドア側の発表をこの点に注目しながら聞いてみたい。

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