スピリッツで私が読んでいる数少ないマンガだが、水曜10時枠でドラマ化された。
バンビ~ノ!
原作者のせきやてつじ氏の、毛筆のような、勢いを生かした筆のタッチと、ひたすら料理人の「王道」を追求するストイックなストーリー(それでいてうまく配置転換を絡めることで、読者が飽きないようによく工夫されている)が実によくマッチした、編集者と漫画家の理想的なタッグマッチだと私は思っている。若者が主人公ながら、ストーリーにほとんど恋愛を絡めていないのがいい証拠だ。言うなれば、よく練られた現代風「スポ根モノ」である。
主人公として松本潤が起用されているが、どうもなぁ…。事務所の力関係でという、もっともらしい理由がまた巷のブログでは席巻するのだろうが…原作と違っていても、それなりの味があればいいのだが、虚勢の張り方に味がない。生意気な若者が、人気店の現実に耐えきれず、ただギャーギャー反抗している。例によって先輩にボコられて帰ってきたときも…オイオイ、それは「アイドルのかっこよさ」であって、原作の伴君に表れていた「うわ~!仕事できないクセに不敵な目だけはギラギラしてるのね~!」という「クサさ」が感じられなかった。どことなく線が細いんだよなぁ…やはり、松本はミスキャストだと思う。
仕事ができないクセに目は不敵、これが、このマンガのおもしろさなのになぁ。原作では、不敵であるがゆえに打たれ強く、さまざまな「試練」を、その打たれ強さで乗り越えていくというのが主な流れである。
以下、白河基準で、良かったキャストと悪かったキャストを並べてみる。
◎ 北村一輝(与那嶺しゃん) …イイ!与那嶺しゃんの「仕事はできるクセになんか怪しい雰囲気」がよく出ている。北村さんも、ダークな役が多い中で(あの怪しげな声のせいだろうか…)、今回のような明るい役を見られるのはうれしいものである。ダークな役も、続けているとストレスが溜まると思うのよね。そんなストレスがもしあるのなら、このドラマで思い切り放出していただきたい。
○ 佐々木蔵之介(桑原しゃん) …原作ではあまり絡んでこないのだが、ドラマではしっかり絡めていくということか。だとしたら、よ~く見ていかんとなぁ。あくまでも原作とは違う、オリジナルキャラをしっかり作っていたところが○。 原作では寡黙ながら仕事はテキパキこなす役どころ。ドラマでは、オーナーシェフがいないときには厨房を仕切っている、実質的なシェフ。初回はやや出過ぎか。与那嶺しゃんと二人で、支配人の美幸しゃん(内田有紀)をはさんで座っているシーンには吹いた。オイオイ、そんな役ちゃうやんけ…。
○ ほっしゃん(織田しゃん) …初めてキャスティングを聞いたときから、「ナイス配役!」と思っていたのが彼。ちょうどスピリッツで今連載しているのが、ドルチェ担当の織田しゃんの下に伴が回されているエピソード。ドラマでこのエピソードまで扱うかどうかが私にとっては興味津々。原作での、引きこもり的な「暗さ」がないが、「変な人感」はほどよく表れている。芸人さんだから、少ない出番の中で目一杯しゃしゃり出ようとするのかと思ったが、しっかり自分の役割を考えて演じている。
× 佐藤隆太(香取しゃん) …いや、佐藤はがんばっている。テレビドラマで放送できるのはこのくらいのオーラかも知れない。しかし… 原作の香取しゃんはもっともっと怖い。伴はいつか香取しゃんにコロサレルのではないかと本気で心配していたときもあったくらいだ(白河基準)。まー目が怖いのよね。佐藤はむしろ伴君向きだと思うのだがなぁ・・・香取しゃん役は、もっとオーラで「怖さ」を表現できる若手がええのだが…誰がいいかのう…思いつかん。思いついたら追記しておく。そんなわけで、佐藤はがんばっているが、オーラ的な怖さが足りない。
× 内田有紀(美幸しゃん) …これも原作とは全然雰囲気が違う。原作では「美人だが何を考えてるかわからない怖さ」がある。だから、伴を陰ながら応援しているかどうかも原作ではわからなかったと記憶している。しかし、ドラマでは、思い切り陰からニコニコ見守りながら応援している。星明子(星飛雄馬の姉ちゃん)的キャラ決定か。もう2段階ほど、厳しい雰囲気がほしい。でないと、「人気店の現実は厳しいのね~」という、重要な前提がゆらいでしまう。
× 香里奈(あすかしゃん) …まー顔が全然違うから、キャラが違うのも仕方ないのかねぇ…。これも事務所枠?うまく言えないが、ピリピリ感とでも言うべきか、厨房の一員としてシャキシャキやっているようにあまり見えない…。厨房での体のさばき方が甘いのかも知れない。そもそも、店の規模の割に厨房が狭すぎないか??ホール担当が厨房担当の3倍はいるように見えるのだが…。あすかしゃんも、原作では重要な役回りを演じるだけに、初回では「どうもなぁ」感がぬぐえなかった。
× 市村正親(オーナー) …かけ声など、さすが芸達者な市村さんではあるが、原作のオーナーの、ガマガエル的な底の見えない恐ろしさが見えない。かっこよくなくていいから、おおいにガマガエルを演じて、その結果としてかっこよさが出てくると思うのだがなぁ…。
×× 向井理(妹尾しゃん) …こんなキャラだっけか??こいつがいるせいで、厨房が小学校みたいな雰囲気になる。これは小学校のいじめドラマじゃないのだが…。
× 松本潤(伴) …最初に書いた通り。これから、「松本潤の伴」というキャラがしっかり出てくるかどうかしだい。初回は…×。
ま、あくまでも初回なので、今後の展開に期待ということで。弁護するときの言いわけではなく、本当に多くの人が見て、「原作とはまた別の作品」に見えるものになれば、×の評価も変わっていくだろう。
ひさびさにアフィリエイトを貼っておこう。原作はおもろいよ。
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