勝（しょう）に急（きゅう）して敗（はい）を忘るるなかれ
――無急勝而忘敗
『荀子』
『荀子』議兵篇（ぎへいへん）に、将たる者の心得五項目が列挙されている。
一、解任を恐れてポストにしがみついてはならない。
一、勝とうとするあまり、敗れることもあることを忘れてはならない。
一、内部で威信を高めることにばかりに気をとられ、肝心の敵をおろそかにしてはならない。
一、有利な点だけを見て、不利な点を忘れてはならない。
一、作戦計画はあくまでも慎重を期すこと。資材経費を惜しんではならない。
「勝に急して敗を忘るるなかれ」とは、二番目の項目である。このことばの言わんとしているのは、万が一、敗れる場合のあることを想定して、それへの対策を用意してかかれということだ。万全の態勢とは、それを言うのである。このような用意があれば、かりに敗れても、損害を最小限度にくいとめることができよう。
以上、「中国古典一日一言」（守屋洋）より
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