oregonian way of life. 

オレゴンでの学生生活から南下して社会人生活へ。IT産業でホットなサンフランシスコ・ベイエリアで地味~に文系の仕事してます

動物を見下す「動物は非力」という思い込み

2007-09-21 | 見方・視点
「プワットランド」のパウエルズ書店で昨日目にしたのが、『雑食者のジレンマ』のペーパーバック版。去年わたしが、『肉食は、自然界のバランスを維持する望ましい行為?』で紹介した本です。

この『雑食者のジレンマ』、ニューヨークタイムズ紙が去年選んだ「年間ベスト10冊」の一冊に選出されています。「あのニューヨークタイムズ紙のお眼鏡にかなったからこの本はいいんだよ!」と言うつもりはないけれど、食生活に対して新たな視点を提供してくれたという点でわたしはこの本を評価しています。ちなみに、わたしがこのブログを約2年前に始めてすぐ気付いたのは、「自分の視点って先進国の都会&中流階級に属する消費者中心」だということ。だからこそ『雑食者のジレンマ』を読んだとき、「動物を含めた自然界に対してもその視点から見てアンフェアな判断していた」ということに嫌というほど気付かされました。

この本を読んで新たに思ったのが、2者間の力関係は「(一般的に言われる)強→(一般的に言われる)弱」の一方通行だけで見るのではなくて「強⇔弱」の両側通行で見る、ということ。「強→弱」だけでは全体像の半分しか見ていません。男性と女性、白人と黒人という人間同士においてだけではなく、人間と動物の関係においても同じこと。もし、「人間→動物」という一方的な力関係しか見ない(見れない)としたら、それこそ「動物=非力」だと思い込んでいて動物に対して失礼だし、そのような思い込みこそ人間が動物を見下している表れ。動物に敬意を表するならば、動物が人間にどのような影響を与えているのかも考えたいものです。

それに、進化の過程で一部の動物が家畜化して人間と動物の共存関係が成立した(人間⇔動物)らしいけれど、現在のアニマルライツは「強い人間が自分たちの都合だけで弱い動物を無理やり家畜化した(人間→動物)」と思い込んでいるそう。だから現在、「弱い動物を横暴な人間から開放しろ!」と言うように政治問題としてアプローチしているのだとか。いずれにしろ、人間社会の倫理だけで人間と動物の関係を判断し、進化の過程を含めた自然界の成り立ちを丸っきり無視していることには変わりはないようです。

この『雑食者のジレンマ』、アニマルライツの人にこそ勧めたいけれど日本語訳はまだ出ていないようです。ちなみに、わたしが「勧めたい」と言うときは、「この本を読んで筆者の言うことに100%同意しろ」と言っているわけではないので、念のため。ここでは詳しく述べないけれどわたしには、「この点、もうちょっと詳しく説明してくれないかな~」と思ったり、「う~ん、でも、それだけじゃないよな~」と思ったりする点がありました。でも、自分の視点がいかに人間中心で、自分としては動物の事を分かっているようで実は全然何も分かっていなかった、ということにわたしは気付きました。自分の考えが最良だと思い込んで(そう思うことって傲慢?)それに固執するのではなく、柔軟な頭を持っていたいものです。

人気blogランキングへ(←矛盾して聞こえるけれど、自然界は「殺し合い」の食物連鎖によって健全さを保っているとか。そこに人間の倫理観や道徳観を持ち込むと却ってその健全さを損ねるそうです)

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2 コメント

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共感しま~す (enjoy_lohas)
2007-09-21 19:26:38
こんにちは♪
両側通行で見る、一方通行でしか見れないのは傲慢、って私も感じていたことだったので、うんうん、って読ませていただきました~。

イヌイットやモンゴルなど肉食の先住民族の人たちを見ると、そこに傲慢さや人間の都合は感じなかったんですよね。それって両側通行だったからなんでしょうね。祖先が動物だったりもするので、そこには尊敬もある。日本人ももともと先住民族と同じような世界観を持っていたはずなんですけどね~?
『雑食者のジレンマ』読んでみたいです。
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ありがとうございます♪ (しんのすけ)
2007-09-22 02:55:15
>イヌイットやモンゴルなど肉食の先住民族の人たちを見ると、そこに傲慢さや人間の都合は感じなかったんですよね。それって両側通行だったからなんでしょうね<

多分その人たちは、「強い人間と弱い動物」という見方はしてなかったのではと思います。この見方自体が「人間/都会/産業中心的」なような気がします。アメリカの原住民もバッファロー狩りをしていたからこそ、健全なエコ環境を維持していたのだとか。本人達はそのことを意識してなかったと思いますが。

>日本人ももともと先住民族と同じような世界観を持っていたはずなんですけどね~?<

社会が変われば価値観や考え方も変わりのは当然だと思いますが、今現在自分が持っている価値観が唯一だとは思いたくないですね。

>『雑食者のジレンマ』読んでみたいです<

ペーパーバック、日本でもゲットできるのでは?enjoy_lohasさんにもお勧めです。
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