どうぶつのこころ

動物の心について。サルとか類人猿とかにかたよる。個人的にフサオマキザルびいき。

新種ブロンドオマキザル

2007-06-07 22:50:34 | その他生物科学
A37 Mendes Pontes, A. R., Malta, A., & Asfora, P. H. (2006).
A new species of capuchin monkey, genus Cebus Erxleben (Cebidae, Primates): Found at the very blink of extinction in the Pernambuco Endemism Centre.
Zootaxa, 1200, 1-12. [link]

エルクスレーベンのオマキザル属(霊長目オマキザル科)の新種のオマキザル:ペルナンブーコ固有種センターで絶滅寸前の状態で発見
私たちは、オマキザル属Cebus)(霊長目 Primates オマキザル科 Cebidae)の新種の発見を報告し、ここでメンデス・ポンテスおよびマールタのブロンドオマキザル新種Cebus queirozi sp. nov. Mendes Pontes and Malta)と命名する。その新種は、ペルナンブーコ固有種センター(Centro de Endemismo Pernambuco, Pernambuco Endemism Centre)の大西洋岸において、18個体の単一群からなる単一集団で発見された。そのセンターは、サン・フランシスコ川(Rio São Francisco, São Francisco River)の北に位置するブラジルの大西洋森林のなかの区域で、地球上でももっとも重要なホットスポットのひとつである。その地域でほかの23の地点を調査したが、その新種はどこにもいなかった。このことは彼らが絶滅寸前(critically endangered)にあることを示唆しており、それゆえホロタイプ〔正模式標本〕を殺すことをせず、写真を撮影してもとの群に戻した。パラタイプ〔従模式標本〕も撮影し、記述のために用いた。彼らは、非常に人口の集中している地域の近くに棲息しており、一面のサトウキビ・プランテーションのなかで孤立し、かなり人の手が入りまばらになってしまったおよそ200 haの広さの熱帯雨林や、モントリカルディーア・リニーナ種(Montrichardia linina)(サトイモ科 Araceae)の立ち並ぶ低湿地しか利用していない。その〔ケイロジ queirozi という〕種名は、地主〔ケイロス Queiroz〕の一家に、30年以上にわたりその地域とその種とを守りつづけてきたことを感謝してのものである。
キーワード:オマキザル科(Cebidae)、メンデス・ポンテスおよびマールタのブロンドオマキザル新種(Cebus queirozi sp. nov. Mendes Pontes & Malta)、ブラジルの北東大西洋森林(North-eastern Atlantic Forest of Brazil)、ペルナンブーコ固有種センター(Centro de Endemismo Pernambuco, Pernambuco Endemism Centre)


少し古い話になりますが、昨年発見されたオマキザル属の新種。キプンジRungwecebus kipunji)[link] のときと比べ、ほとんど騒がれませんでした。ペルナンブーコ連邦大学(Universidade Federal de Pernambuco)のアントーニオ・ロッサーノ・メンデス・ポンテス(Antonio Rossano Mendes Pontes)、アレシャンドレ・マールタ(Alexandre Malta)、パウロ・エンリーケ・アスフォーラ(Paulo Henrique Asfora)による。

論文が自由にアクセスできるので、写真を見れば、どんなサルかわかるだろう。PLATE 2のつぶらな瞳が何ともいえない。棲息地点は、ブラジルのもっとも東に出っ張ったところなので、わかりやすい場所にあるといえるだろう。

この調査はペルナンブーコ州でおこなわれているが、その州都レシフェの都市圏の人口密度は2,601人/km2だそうである。これは、人口による都市圏の一覧によれば、東京圏の人口密度2,350人/km2より高い。たしかに、要約のなかに人口集中地域という言葉を入れたくもなる。

これでオマキザル属は9種になった。とはいえ、種や亜種の数え方で多少増減する。
(1) Cebus capucinus (Linnaeus, 1758) ノドジロオマキザル
(2) Cebus albifrons (Humboldt, 1812) シロガオオマキザル
(3) Cebus olivaceus Schomburgk, 1848 ナキガオオマキザル
(4) Cebus kaapori Queiroz, 1992 カアポルオマキザル
(5) Cebus apella (Linnaeus, 1758) フサオマキザル
(6) Cebus queirozi Mendes Pontes & Malta, 2006 ブロンドオマキザル
(7) Cebus libidinosus Spix, 1823 クロスジオマキザル
(8) Cebus xanthosternos Wied, 1826 キバラオマキザル
(9) Cebus nigritus (Goldfuss, 1809) クロオマキザル


2009-02-21追記 こちらこちらに重要な関連記事。

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