A15 Mori, K. (2005).
A comparison of amusingness for Japanese children and senior citizens of The story of little black Sambo in the traditional version and a nonracist version.
Social Behavior and Personality, 33, 455-466. [link]
日本人の子どもおよび年長者にかんして『ちびくろサンボ』の従来の版と種差別的な版とでおもしろさを比較する
『ちびくろサンボ』(The story of little black Sambo、LBS)の日本版は、人種差別的性格描写があると思われ、1988年に日本市場から撤退した。人種差別に関連する語や絵を含まないLBSの改訂版を準備し、おもしろさの観点から岩波書店から出版されていた〔従来の〕版のLBSと比較した。4歳から5歳までの54人の幼稚園児および平均78.9歳の43人の年長者に、日本で人気のある絵本〔『ぐりとぐら』〕を読み聴かせ、そのあとLBSの改訂版ないし岩波版を読み聴かせて、それからふたつの話のどちらがおもしろいか判断するように質問した〔改訂版と岩波版とを直接に比較するのではなく、それぞれと『ぐりとぐら』とを比較させた。ただし、各参加者には改訂版か岩波版かのどちらかだけを見せた〕。結果は、どちらの年齢群においても、LBSの岩波版と改訂版とのあいだでおもしろさの水準が等しいことを示した〔カイ2乗検定の帰無仮説の採択を積極的にいうため、パワー分析を用いた〕。
もはや動物心理学でも認知心理学でもありませんけど。
ヘレン・バナマン(Helen Bannerman)の『ちびくろサンボ』(The story of little black Sambo、LBS)の人種差別的とされる従来版(岩波書店)と人種差別的特徴を含まないとされる改定版(北大路書房)とを、おもしろさの観点から比較した。著者の守一雄のサイトのここから原文が手に入る(改訂版全文を含む日本語版はここ)。
問題となっている書籍のまとめ。実際にこの論文でなされたのは、(1)と(2)との比較だった。
(2)は、人種差別的な部分を改良した版。改作者の森まりもは、この論文の著者である守一雄と同一人物。擬人化されたチビクロというイヌが散歩するお話(だから『チビクロさんぽ』)。この論文で(1)と(2)とを比較するうえでは、(2)の挿絵を使用せず、(1)の挿絵を加工したものを使用していた。
2006-07-29訂正
書籍の出版年にミス。
A comparison of amusingness for Japanese children and senior citizens of The story of little black Sambo in the traditional version and a nonracist version.
Social Behavior and Personality, 33, 455-466. [link]
日本人の子どもおよび年長者にかんして『ちびくろサンボ』の従来の版と種差別的な版とでおもしろさを比較する
『ちびくろサンボ』(The story of little black Sambo、LBS)の日本版は、人種差別的性格描写があると思われ、1988年に日本市場から撤退した。人種差別に関連する語や絵を含まないLBSの改訂版を準備し、おもしろさの観点から岩波書店から出版されていた〔従来の〕版のLBSと比較した。4歳から5歳までの54人の幼稚園児および平均78.9歳の43人の年長者に、日本で人気のある絵本〔『ぐりとぐら』〕を読み聴かせ、そのあとLBSの改訂版ないし岩波版を読み聴かせて、それからふたつの話のどちらがおもしろいか判断するように質問した〔改訂版と岩波版とを直接に比較するのではなく、それぞれと『ぐりとぐら』とを比較させた。ただし、各参加者には改訂版か岩波版かのどちらかだけを見せた〕。結果は、どちらの年齢群においても、LBSの岩波版と改訂版とのあいだでおもしろさの水準が等しいことを示した〔カイ2乗検定の帰無仮説の採択を積極的にいうため、パワー分析を用いた〕。
もはや動物心理学でも認知心理学でもありませんけど。
ヘレン・バナマン(Helen Bannerman)の『ちびくろサンボ』(The story of little black Sambo、LBS)の人種差別的とされる従来版(岩波書店)と人種差別的特徴を含まないとされる改定版(北大路書房)とを、おもしろさの観点から比較した。著者の守一雄のサイトのここから原文が手に入る(改訂版全文を含む日本語版はここ)。
問題となっている書籍のまとめ。実際にこの論文でなされたのは、(1)と(2)との比較だった。
(1) ばんなーまん, H. (作), どびあす, F. (絵) (1953). ちびくろ・さんぼ (光吉夏弥, 訳). 東京: 岩波書店.
(2) ばなまん, H. (作) (1997). チビクロさんぽ (森まりも, 改作, 訳, 絵). 京都: 北大路書房.
(3) ばなーまん, H. (作, 絵). (1999). ちびくろさんぼのおはなし (灘本昌久, 訳). 東京: 径書房
(4) ばんなーまん, H. (作), どびあす, F. (絵) (2005). ちびくろ・さんぼ (光吉夏弥, 訳). 東京: 瑞雲舎.
(1)が人種差別的とされて1988年に絶版となった本。また、海賊版だった。(4)は絶版となった(1)の復刻版。(3)は、海賊版でないバナマン自身の版の翻訳。(2) ばなまん, H. (作) (1997). チビクロさんぽ (森まりも, 改作, 訳, 絵). 京都: 北大路書房.
(3) ばなーまん, H. (作, 絵). (1999). ちびくろさんぼのおはなし (灘本昌久, 訳). 東京: 径書房
(4) ばんなーまん, H. (作), どびあす, F. (絵) (2005). ちびくろ・さんぼ (光吉夏弥, 訳). 東京: 瑞雲舎.
(2)は、人種差別的な部分を改良した版。改作者の森まりもは、この論文の著者である守一雄と同一人物。擬人化されたチビクロというイヌが散歩するお話(だから『チビクロさんぽ』)。この論文で(1)と(2)とを比較するうえでは、(2)の挿絵を使用せず、(1)の挿絵を加工したものを使用していた。
2006-07-29訂正
書籍の出版年にミス。