どうぶつのこころ

動物の心について。サルとか類人猿とかにかたよる。個人的にフサオマキザルびいき。

内井惣七『ダーウィンの思想』2

2009-08-28 04:37:06 | 書籍
こちらの書評にかかわる書籍リストです。

今西錦司, & 飯島衛. (1978). 進化論:東と西. レグルス文庫, 104. 東京: 第三文明社.
ASINB000J8LE9E
内井惣七. (1996). 進化論と倫理. Sekaishiso seminar. 京都: 世界思想社.
ISBN4790706060 [著者による公開]
Sinnott-Armstrong, W. (Ed.). (2008). Moral psychology: Vol. 1. The evolution of morality: Adaptations and innateness. Cambridge, MA: The MIT Press.
ISBN0262693542
Boakes, R. (1984/2008). From Darwin to behaviourism: Psychology and the minds of animals. Cambridge, England: Cambridge University Press.
ISBN0521280125
ボークス, R.. (1990). 動物心理学史: ダーウィンから行動主義まで (宇津木保, & 宇津木成介, 訳). 東京: 誠信書房. (原著刊 1984)
ISBN4004312027
Darwin, C. (1998). The expression of the emotions in man and animals (P. Ekman, Author of the introduction, afterword, and commentaries). Oxford: Oxdord University Press. (1st ed. published 1872; 2nd ed. published 1889)
ISBN0195112717 [Paperback] [200th anniversary ed.]
ダーウィン, C.. (1931). 人及び動物の表情について (浜中浜太郎, 訳). 岩波文庫, 青, 912-7. 東京: 岩波書店. (原著第2版刊 1889)
ISBN4003391276
この『人間および動物における感情の表現』は、ぜひオックスフォード大学出版局版で読んでほしい。岩波文庫で読むとしても、これを手元に置いてほしい。ダーウィンの著作にはどれについてもいえるのだが、現在の知見からすると誤りを含んでいる。オックスフォード版は、情動や表情の研究で有名な心理学者ポール・エクマン(Paul Ekman)が補足を書いており、現在の知見が補足されている。

たとえば明らかな間違いとしては、オックスフォード版135ページ(岩波文庫版166ページの)の図17にあるクロザル(Cynopithecus niger, 現在のMacaca nigra)。「愛撫されて喜んだ時」とされているが、これは恐れの表情である。ダーウィンは「此の表情は、知らぬ人には愉快の表情としては決して認められない」と述べているが、本当にサルは撫でられるのを嫌がっているのだ。

また、岩波文庫版は翻訳も怪しいところがあるかもしれない。岩波文庫版117, 164ページで「尾長猿」としているのは誤りで、オマキザルのことである。オックスフォード版93, 133, 136ページ(岩波文庫版117, 164, 167ページ)のCebus azaraeは、分類学的にいろいろ議論があるようだが、パラグアイオマキザル(Paraguayan capuchin monkey, Cebus libidinosus paraguayanus)もしくはズキンオマキザル(hooded capuchin monkey, Cebus cay)であるようだ(Rylands et al 2005)。また、オックスフォード版133ページ(岩波文庫版164ページ)のCebus hypoleucusは、見慣れないかもしれないが、ノドジロオマキザル(Cebus capucinus)の昔よく使われていた異名であり、こちらは異論の余地はない。

de Waal, F. (2006). Primates and philosophers: How morality evolved. Princeton, NJ: Princeton University Press.
ISBN0691124477 [Paperback]

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