どうぶつのこころ

動物の心について。サルとか類人猿とかにかたよる。個人的にフサオマキザルびいき。

ウォショウ逝く

2007-11-02 00:51:32 | 霊長類
ウォショウ(Washoe)について。

類人猿の言語研究で有名になったウォショウが亡くなりました。セントラル・ワシントン大学による逝去の広報はこちら(以下訳)。

ウォショウ――セントラル・ワシントン大学コミュニティの子どもが亡くなる
2007年10月31日。

ワシントン州エレンズバーグ――セントラル・ワシントン大学CWU)の愛すべきチンパンジーであるウォショウウォショウ・パーン・サテュルス〕が,昨夜(10月30日(火))42歳で自然な理由により亡くなった。その名前は,チンパンジーおよびヒトのコミュニケーション研究所CHCI)と同義〔の代名詞〕である.彼女は,ヒトの言語であるアメリカン・サイン・ランゲージを獲得した最初のヒト以外〔の動物〕だった.

「ウォショウは,われわれの家族のかけがえのない一員だった」と,ロジャーおよびデボラ・ファウツ夫妻は言う.彼らは,その研究所の共同設立者である.

ロジャー・ファウツ博士と彼の妻デボラは,1980年にCWUに来て,ウォショウと彼女の家族のためにサンクチュアリをつくった.ロジャーとデボラは,人道的な研究法を促進し,発達させる最前線にいる.ファウツ博士による著作『限りなく人類に近い隣人が教えてくれたこと』のなかでジェイン・グドールが述べていることには,「ロジャーは,ウォショウや彼女の大きな家族と会話を続けることで,チンパンジーの認知研究への窓を開いた.それにより,われわれの理解に新しい次元がつけ加わった」.

CHCIにいると,学生は,研究と世話とが思いやりのあるということを学び,自分の望みどおりの条件で近親者〔チンパンジー〕を見ることを学ぶ.研究所の訪問者は,ウォショウと彼女の家族とから,ヒトとわれわれの仲間〔チンパンジー〕とがおたがいにつながっていることを学び,あらゆる生命にたいして責任ある執事になることがいかに重要かを学ぶ.

その研究所の助所長のマリー・リー・ジェンズヴォルド博士は,今朝,「ウォショウは,私たちに自然への畏敬という伝言を伝える使者だった.彼女は,あまりに多くの人々にとって親愛なる友だった;われわれは彼女を失って非常に寂しい」と述べた.

1965年ごろアメリカで生まれたとき,ウォショウは,アメリカで生まれたCHCIの唯一のチンパンジーで,チンパンジー一家の家母長だった.彼女は,アレンおよびベアトリクス・ガードナー両博士とともに5歳まで住んでいたネヴァダ州ウォショウ郡にちなんで名づけられた.

ウォショウの仲間たちという非営利団体がウォショウの家族であるタトゥオクラホマ・タトゥ〕,ルーリスルーリス・ヤーキス〕,ダルダル・エス・サラーム〕の世話をしており,飼育下のチンパンジーや自由に生きている〔野生の〕チンパンジーを保護するためにはたらいている.

ウォショウの追悼会が2007年11月12日におこなわれる.関心のある方は,詳細のためウォショウの仲間たちのウェブサイトwww.friendsofwashoe.orgを訪れるとよい.2002年には,ウォショウの家族の別のひとりであるモジャモジャ・レンシプ〕が亡くなった.ファウツ夫妻の娘であるヒラリーがアフリカまで行き,モジャの散骨をした.

ウォショウは、ウォショー、ワショウ、ワショー、ワシュウ、ワシューといろいろと書かれますが、同じ個体Washoeです。

Fouts, R. & Mills, S. T. (1997). Next of kin: What chimpanzees have taught me about who we are. New York: William Morrow.
ISBN068814862X[hdc] [hdc] [pbk] [pbk] [lib]

ファウツ, R. & ミルズ, S. T. (2000). 限りなく人類に近い隣人が教えてくれたこと (高崎浩幸 & 高崎和美, 訳). 東京: 角川書店.
ISBN4047913375