MIYAGI VILLAGE

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ローザ・パークスさん死去

2005-10-25 23:25:54 | 政治・経済
アメリカ公民権運動の母、ローザ・パークスさんが24日に亡くなった。


1955年12月1日、パークスさんの乗ったバスでの一幕がアメリカの歴史を大きく動かした。当時のアメリカには「分離すれども平等(separate but equal)」の原則のもと人種分離法が存在しており、南部を中心に、白人と黒人とで学校や食堂などの生活空間が分離されていた。

パークスさんが乗ったバスも人種平等法によって白人の席と黒人の席にそれぞれ席が分かれていた。パークスさんは黒人席の一番前に座った。そして白人席が埋まり、白人がもう一人乗り込んできたときにパークスさんは席を譲るように運転手から催促された。白人席が埋まったときは黒人は席を譲らなければならない決まりがあったからである。

パークスさんは席を譲ることを拒んだ。運転手は警察を呼び、そして、パークスさんは人種分離法違反で逮捕されてしまった。

この事件を発端にして、黒人による「バス乗車拒否運動」が始まった。これを指揮したのがかの有名なマーティン・ルーサー・キング牧師である。そして56年には連邦最高裁が人種分離法を違憲と判断し、キング牧師の「非暴力・直接抗議運動」は成功する。64年には公民権法が制定され、その後は、少数派の雇用・高等教育を推進する積極的差別是正措置(アファーマティブ・アクション)へとつながり、アメリカの人種間格差は大きく改善した。


しかし、パークスさんが亡くなった今もなお、差別の意識はなくなっていない。アメリカでは異民族への差別、棲み分けは相変わらずとしてある。最近では、ハリケーンカトリーナの被災地ニューオーリンズへの対応の遅れが取り立たされ、また、イラク戦争では捕虜の虐待が問題になった。多民族国家アメリカの人権問題には、依然として課題は山積している。

世界の警察アメリカは、これを機にもう一度、人種差別問題について考え直さなければならないだろう。