今日は久々に大隈塾を15-201で受講しました。
今日の講師は石破茂前防衛庁長官。石破さんの話を聞くのは2回目です。前の1回は1年のときの大隈塾で、世間はイラク戦争が始まり大騒ぎの頃でした。前回の講義では大臣ということもあり、田原さん曰くの「石破さんは思っていても言えない」立場だったので、本音では語ることができなかったそうです。今回は、大臣ではないということもあって、本音で、それこそ放送されたらやばいんじゃないかというところまで掘り下げて、本気の講演を行ってくれました。
おそらく、石破さんのここまでぶっちゃけての講演が聞ける機会は大隈塾くらいなものでしょう。それには多分に田原さんの要請があってのことだとは思いますが、気合の入れようがびんびん伝わってきました。目に力が入ってましたね。
石破さんの講義の要約を載せてみました。
○自衛隊を国防軍にすべし。
○憲法の前文に「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して我らの安全と生存を保持しようと決意した」とあるが、日本の周りにある国ははたして平和を愛する国だけか?信頼できる国だけなのか?もし、公正と信義が裏切られたら日本はどうするのか?
○「押し付け憲法だから憲法を改正しよう」という考え方に対して→憲法には改正条項がある。日本は自分たちの意思で憲法を変える権利を持っていたじゃないか。しかし、憲法を変えようとはしてこなかった。それを、なぜ今さらになってアメリカのせいにするのか。それは筋違いなのではないか。
○改正条項には決まっていないことも多い。どこからが有効なのかという線引きをすべき。国会議員の3分の2以上の対象は出席議員なのか総員なのか?国民の過半数の分母は何なのか。国民投票の有権者の要件は?また、投票率が30パーセントくらいしかなかったとしても憲法を改正してしまっていいのか?
○9条の改正には反対だけど、その他の部分の改正には賛成、このような人の意見をどうやって尊重するか。
○9条の説明。9条とは何か?国権の発動たる戦争とは何なのか。
○第1次世界大戦のころに定められた不戦条約においては、国家は宣戦布告さえすれば戦争をする権利を持っていた。これが国権の発動たる戦争である。
○これに対し、自衛権は国家の自然権。もともとあるものだから放棄の仕様がない。
○今の日本の政府解釈、自衛隊は自衛のための隊だから陸海空軍ではないんだ、という立場。
○(外国ではJapaneseArmy、Navy、AirForce=陸海空軍と訳されているが…。)
○今は自衛隊が軍隊でないことを証明するための理由が複雑になりすぎている。もっと簡単でいいじゃないか。
○「わが国の安全を保持するために国防軍を所持する」これは9条1項には違反していない。
○自衛隊は国民の80%から支持をされている。民意があるのだから、変えなくてもいいじゃないか、という意見もある。
○自衛隊はは見た目は軍隊。しかし、もともとは「警察」。今もそれは変わらない。
○マッカーサーは朝鮮戦争のときに日本がガラ空きになるから、「国内」の治安維持のために「警察」予備隊を作った。
○では警察と軍隊の違いは何か?
○目的
「軍隊」→国の独立を守る
「警察」→国民の生命と安全を守る
○範囲
「軍隊」→海外(対外的任務)
「警察」→国内
○単位
「軍隊」→部隊(軍隊は一人では任務にあたらない、軍隊は集団で動く)
「警察」→個人(警察は一人でも警察官として任務にあたる)
○自衛隊法→「自衛官は」と個人単位で条文が書かれている。実際の戦地で自衛官が一人で任務にあたるなんていうことはありえない。
○自衛隊には「軍法会議」がない。
○もし、自衛隊が暴走したらどうするのか?
○任務には危険なものがある。もし自衛隊が逃げてしまったらどうなるのか?
○日本人の権利を守ってくれるのは誰か?それは日本国だ。もし、国家が倒れてしまったら、我々の権利はすべて吹っ飛ぶ。仮に、日本が北朝鮮や中国に支配されるような事態になったらどうする?
○軍が組織として成り立たなかったら国家は成り立たなくなってしまう。
○軍隊には厳しい規律が必要。
○軍法違反には最高で死刑もしくは無期懲役を。
○最高刑が懲役7年などの軽い刑だと、自衛官が「もういいや」と思ってしまうかもしれない。
○ちなみに、今の自衛隊の規律は何か?それは入隊時に行う「自衛官の誓い」というもの。口約束。今、自衛隊と国家は「信頼」で結ばれているのみ。
○憲法改正だけでは9条の問題は終わらない→憲法改正後、自衛隊法改正と軍法会議の設置を行わなければならない。
○集団的自衛権の問題について。集団的自衛権とは?
○日本と密接な関係を持つ国が他国によって攻撃されたときに、日本も一緒になって戦うことができる権利。
○集団的自衛権は国連憲章51条に定められた国家固有の権利。
○今の政府解釈では、日本は集団的自衛権を持っているが行使できないことになっている。
○もし、今、自分の彼女が目の前で誰かにぶん殴られているとする。彼氏はそれを見ていることしかできない。もしくは、誰かに助けを求めるのみしかできない。今の日本はこの状態。これはどう考えたっておかしいだろう。
○民主党の前原誠司氏の話。前原さんはどうして国会議員になったのかという質問に対して、彼は「日本の集団的自衛権の行使を可能にするため」と答えた。
○大臣のときは口が裂けても言えなかったことを言おう。
○集団的自衛権の行使を可能にするには憲法改正しかないという意見があるが、これは今の政府解釈が正しいという立場である。
○「はたして、今の政府解釈は正しいのか?」
○日本の今のスタンス。日本は主権国家である以上集団的自衛権を持っている。しかし、行使は出来ない。
○つまり、「憲法上持っているが、憲法上行使できない。」ということ。
○これは破綻しているのではないか?
○また、自衛隊→国防軍と名前を憲法上変えただけではダメだ。「名前は変わったけど、中身は変わってません」では世界には通用しない。
○さきの大戦では日本はバラバラに戦った。
○日中戦争においては、
「陸軍」→中国と戦っていた
「海軍」→米英と戦っていた
○海軍は分かっていた。米英と戦っても勝てるはずがないと。
○どうしてこんな無謀な戦争をしてしまったのか。
○日本人はキチンと考えることが苦手な民族である。
○これを防ぐのが文民統制である。
○国民に対して責任を負えるのは国民によって選ばれた文民のみである。
○しかし、もし文民が軍事の素人だったらどうするのか?軍を正しくコントロールすることは出来るのか?
○軍はキチンと文民に助言できるようでなければならない。
○大臣のとき、自衛官には何回も言っていた。「君たちは国民に対して責任を負わなければならない」と。
以上が講義の要約です。本当はこの後30分の質問コーナーがあるのですが、内容が多岐に渡るため、収拾がつかなくなるのでここまでとします。ものすごいボリュームですよね。そこらに売ってる本を買うより、1時間石破さんの話を聞いたほうが安全保障の問題点を理解できるでしょう。俺も価値観を根底から覆される内容ばかりでたまらなかったです。ノート10ページ使いましたよ(笑)やっぱり大隈塾はすごい…。ここで学んだ内容をこれからの勉強にぜひ活かしていきたいですね。
(なお、この記事は現在も草稿中…。まだ途中ですが、資料として掲載しておきます。)
今日の講師は石破茂前防衛庁長官。石破さんの話を聞くのは2回目です。前の1回は1年のときの大隈塾で、世間はイラク戦争が始まり大騒ぎの頃でした。前回の講義では大臣ということもあり、田原さん曰くの「石破さんは思っていても言えない」立場だったので、本音では語ることができなかったそうです。今回は、大臣ではないということもあって、本音で、それこそ放送されたらやばいんじゃないかというところまで掘り下げて、本気の講演を行ってくれました。
おそらく、石破さんのここまでぶっちゃけての講演が聞ける機会は大隈塾くらいなものでしょう。それには多分に田原さんの要請があってのことだとは思いますが、気合の入れようがびんびん伝わってきました。目に力が入ってましたね。
石破さんの講義の要約を載せてみました。
○自衛隊を国防軍にすべし。
○憲法の前文に「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して我らの安全と生存を保持しようと決意した」とあるが、日本の周りにある国ははたして平和を愛する国だけか?信頼できる国だけなのか?もし、公正と信義が裏切られたら日本はどうするのか?
○「押し付け憲法だから憲法を改正しよう」という考え方に対して→憲法には改正条項がある。日本は自分たちの意思で憲法を変える権利を持っていたじゃないか。しかし、憲法を変えようとはしてこなかった。それを、なぜ今さらになってアメリカのせいにするのか。それは筋違いなのではないか。
○改正条項には決まっていないことも多い。どこからが有効なのかという線引きをすべき。国会議員の3分の2以上の対象は出席議員なのか総員なのか?国民の過半数の分母は何なのか。国民投票の有権者の要件は?また、投票率が30パーセントくらいしかなかったとしても憲法を改正してしまっていいのか?
○9条の改正には反対だけど、その他の部分の改正には賛成、このような人の意見をどうやって尊重するか。
○9条の説明。9条とは何か?国権の発動たる戦争とは何なのか。
○第1次世界大戦のころに定められた不戦条約においては、国家は宣戦布告さえすれば戦争をする権利を持っていた。これが国権の発動たる戦争である。
○これに対し、自衛権は国家の自然権。もともとあるものだから放棄の仕様がない。
○今の日本の政府解釈、自衛隊は自衛のための隊だから陸海空軍ではないんだ、という立場。
○(外国ではJapaneseArmy、Navy、AirForce=陸海空軍と訳されているが…。)
○今は自衛隊が軍隊でないことを証明するための理由が複雑になりすぎている。もっと簡単でいいじゃないか。
○「わが国の安全を保持するために国防軍を所持する」これは9条1項には違反していない。
○自衛隊は国民の80%から支持をされている。民意があるのだから、変えなくてもいいじゃないか、という意見もある。
○自衛隊はは見た目は軍隊。しかし、もともとは「警察」。今もそれは変わらない。
○マッカーサーは朝鮮戦争のときに日本がガラ空きになるから、「国内」の治安維持のために「警察」予備隊を作った。
○では警察と軍隊の違いは何か?
○目的
「軍隊」→国の独立を守る
「警察」→国民の生命と安全を守る
○範囲
「軍隊」→海外(対外的任務)
「警察」→国内
○単位
「軍隊」→部隊(軍隊は一人では任務にあたらない、軍隊は集団で動く)
「警察」→個人(警察は一人でも警察官として任務にあたる)
○自衛隊法→「自衛官は」と個人単位で条文が書かれている。実際の戦地で自衛官が一人で任務にあたるなんていうことはありえない。
○自衛隊には「軍法会議」がない。
○もし、自衛隊が暴走したらどうするのか?
○任務には危険なものがある。もし自衛隊が逃げてしまったらどうなるのか?
○日本人の権利を守ってくれるのは誰か?それは日本国だ。もし、国家が倒れてしまったら、我々の権利はすべて吹っ飛ぶ。仮に、日本が北朝鮮や中国に支配されるような事態になったらどうする?
○軍が組織として成り立たなかったら国家は成り立たなくなってしまう。
○軍隊には厳しい規律が必要。
○軍法違反には最高で死刑もしくは無期懲役を。
○最高刑が懲役7年などの軽い刑だと、自衛官が「もういいや」と思ってしまうかもしれない。
○ちなみに、今の自衛隊の規律は何か?それは入隊時に行う「自衛官の誓い」というもの。口約束。今、自衛隊と国家は「信頼」で結ばれているのみ。
○憲法改正だけでは9条の問題は終わらない→憲法改正後、自衛隊法改正と軍法会議の設置を行わなければならない。
○集団的自衛権の問題について。集団的自衛権とは?
○日本と密接な関係を持つ国が他国によって攻撃されたときに、日本も一緒になって戦うことができる権利。
○集団的自衛権は国連憲章51条に定められた国家固有の権利。
○今の政府解釈では、日本は集団的自衛権を持っているが行使できないことになっている。
○もし、今、自分の彼女が目の前で誰かにぶん殴られているとする。彼氏はそれを見ていることしかできない。もしくは、誰かに助けを求めるのみしかできない。今の日本はこの状態。これはどう考えたっておかしいだろう。
○民主党の前原誠司氏の話。前原さんはどうして国会議員になったのかという質問に対して、彼は「日本の集団的自衛権の行使を可能にするため」と答えた。
○大臣のときは口が裂けても言えなかったことを言おう。
○集団的自衛権の行使を可能にするには憲法改正しかないという意見があるが、これは今の政府解釈が正しいという立場である。
○「はたして、今の政府解釈は正しいのか?」
○日本の今のスタンス。日本は主権国家である以上集団的自衛権を持っている。しかし、行使は出来ない。
○つまり、「憲法上持っているが、憲法上行使できない。」ということ。
○これは破綻しているのではないか?
○また、自衛隊→国防軍と名前を憲法上変えただけではダメだ。「名前は変わったけど、中身は変わってません」では世界には通用しない。
○さきの大戦では日本はバラバラに戦った。
○日中戦争においては、
「陸軍」→中国と戦っていた
「海軍」→米英と戦っていた
○海軍は分かっていた。米英と戦っても勝てるはずがないと。
○どうしてこんな無謀な戦争をしてしまったのか。
○日本人はキチンと考えることが苦手な民族である。
○これを防ぐのが文民統制である。
○国民に対して責任を負えるのは国民によって選ばれた文民のみである。
○しかし、もし文民が軍事の素人だったらどうするのか?軍を正しくコントロールすることは出来るのか?
○軍はキチンと文民に助言できるようでなければならない。
○大臣のとき、自衛官には何回も言っていた。「君たちは国民に対して責任を負わなければならない」と。
以上が講義の要約です。本当はこの後30分の質問コーナーがあるのですが、内容が多岐に渡るため、収拾がつかなくなるのでここまでとします。ものすごいボリュームですよね。そこらに売ってる本を買うより、1時間石破さんの話を聞いたほうが安全保障の問題点を理解できるでしょう。俺も価値観を根底から覆される内容ばかりでたまらなかったです。ノート10ページ使いましたよ(笑)やっぱり大隈塾はすごい…。ここで学んだ内容をこれからの勉強にぜひ活かしていきたいですね。
(なお、この記事は現在も草稿中…。まだ途中ですが、資料として掲載しておきます。)