ユウコちゃん (その 3 )
今回の旅行に出て以来、ずっと繰り返し考え続けてきた。


今さら・・・、いや、今だからこそ・・・、そう、今しかない・・・。
しかし、本当にこの先、何かが待っていてくれるのか? ・・・と。
青春期、私も人並みに、何度か恋を経験した。
しかし、結局はどの恋も実ることはなかった。
初めての恋・・・、気持ちを打ち明け、即座にはっきりと断られた。
「悪いけど好みじゃない。あんたとずっとやっていく自信がない。」
また気持ちを打ち明けたが、返事すらもらえずに無視されたことも。
さらには片思いのまま、打ち明けることすら出来ずに終わったことは
二度、三度・・・。 (
)
恋多き男と言わば言え。
それが青春期というものではないだろうか。
そう、ユウコちゃんの話だった。
彼女と別れてから、すでに60年以上になるだろうか?
無論、今もなお、ずっとこの街に暮らし続けているとは考えにくい。
それならそれで、その後の消息が気になってくる。
どうなんだろう・・・?
そう、初恋と言うにはあまりに幼なすぎた。
思えば、学校で彼女と過ごした時間は、ほんの一瞬とでも言うような
短期間だったが、あの日、それが蘇ってから以降、ずっと気になって、
時折、彼女の幼くかわいい姿が眼の前にちらつくようになった。
人は希望があるかぎり若く、失望と共に老い朽ちる。 S・ウルマン
ユウコちゃんへの思い・・・。
そう、それだけが今、やっと仕事から解放された男の、ただ一つの夢。
ひょっとしたら、それが私に心の安らぎを与えてくれそうな、そんな
気がする。
しかし、これはあまりに身勝手な、また虫のいい話だろう。
もしも、ユウコちゃんの消息が知れたならそれだけでいい。
そのまま黙って帰ってこよう。
考えてみれば、それは当然の事だ。
どうして、今まで気づかなかったのか?
私は、自分の思いつきに思わず指を弾いた。
(続く)
今回の旅行に出て以来、ずっと繰り返し考え続けてきた。



今さら・・・、いや、今だからこそ・・・、そう、今しかない・・・。
しかし、本当にこの先、何かが待っていてくれるのか? ・・・と。
青春期、私も人並みに、何度か恋を経験した。
しかし、結局はどの恋も実ることはなかった。

初めての恋・・・、気持ちを打ち明け、即座にはっきりと断られた。
「悪いけど好みじゃない。あんたとずっとやっていく自信がない。」
また気持ちを打ち明けたが、返事すらもらえずに無視されたことも。
さらには片思いのまま、打ち明けることすら出来ずに終わったことは
二度、三度・・・。 (

恋多き男と言わば言え。
それが青春期というものではないだろうか。
そう、ユウコちゃんの話だった。
彼女と別れてから、すでに60年以上になるだろうか?
無論、今もなお、ずっとこの街に暮らし続けているとは考えにくい。
それならそれで、その後の消息が気になってくる。
どうなんだろう・・・?
そう、初恋と言うにはあまりに幼なすぎた。
思えば、学校で彼女と過ごした時間は、ほんの一瞬とでも言うような
短期間だったが、あの日、それが蘇ってから以降、ずっと気になって、
時折、彼女の幼くかわいい姿が眼の前にちらつくようになった。
人は希望があるかぎり若く、失望と共に老い朽ちる。 S・ウルマン
ユウコちゃんへの思い・・・。
そう、それだけが今、やっと仕事から解放された男の、ただ一つの夢。
ひょっとしたら、それが私に心の安らぎを与えてくれそうな、そんな
気がする。
しかし、これはあまりに身勝手な、また虫のいい話だろう。
もしも、ユウコちゃんの消息が知れたならそれだけでいい。
そのまま黙って帰ってこよう。

考えてみれば、それは当然の事だ。
どうして、今まで気づかなかったのか?
私は、自分の思いつきに思わず指を弾いた。
(続く)