関とおるの鶴岡・山形県政通信

安心して住み続けられる山形県をめざして、住民の暮らし、県政の動き、そして私の考えと活動をお知らせします。

市民の常識は自民の非常識~賃金水準を巡って~

2009年06月20日 | 市政全般

 19日(金)の産業建設常任委員会に「国に対して最低賃金の引き上げと中小企業対策の拡充を求める意見書採択についての請願」の紹介議員として出席し、各議員の質問に答えました。
 自民系会派が反対することは予測していましたが、その理由が余りに非常識なことにビックリでした。「委員会は原則非公開」(おかしなことです)ということになっていますので、質疑のポイントのみ紹介します。

岡村正博(新政) 最低賃金を上げると企業負担が多くなって企業の業績が悪化、さらに雇用不安というふうになるのでは。
  日本国憲法、労働基準法第一条で、政治において、日本社会において第一に優先しなければならないものとして、人たるに値する生活を営むための賃金、そのよりどころとなる最低賃金と位置づけている。
 それを「保障する」という立場にたってさまざまな施策を考えていく必要がある。
 企業の負担については、中小企業対策の強化が必要ということで、中小企業対策も併記している。
岡村 中小企業対策は、どうとらえているのか。
関  項目の1番目が中小企業の経営環境に関わるところであり、「下請取引適正化の推進」のところが非常に重要な、総合的な政策を要する部分。
 全国労働組合総連合では、最低賃金底上げと合わせて検討すべき中小企業活性化のための制度要求を作っている。15項目にわたるが、例えば消費税法の課税対象の改定であるとか、独占禁止法の改正、規制の強化であるとか、下請中小企業振興法の問題であるとか。
 そういう、非常に多岐にわたる制度要求が1番の中に含まれている。
佐藤信雄(新政) 請願文書を読んでみると、びっくりする。「低すぎる最低賃金を大幅に引き上げる」「貧困層をそれによってなぐする」と何を考えているのか。仕事を失ってしまっている方々が多くて、何とか仕事を作り出してもらうため努力してほしいという最中なのに、大幅に引き上げなければだめだというようなことでは、今の時期に合わない。
 しかも憲法論まで持ち出してどうのこうのと言ってますが、主張は確かに勝手です。論拠もいかがか、とても賛成できるようなものではない。そういうことを考えても、ちょっと常軌を逸した感じの請願。紹介議員はどう考えてるんですか。
  常軌を逸したというお話でありましたけども、一昨年度に最低賃金法は改定され法の中に憲法25条の規定を書き込むということと合わせて、「生活保護に関わる政策との整合性に配慮する」と盛り込んだ。
 かねてから、「生活保護よりも最低賃金の生活が低い」と議論があったが、明確に生活保護の水準について最低賃金で考慮しなければならないと認めた
 すると山形では時給629円で、8時間労働で21日働いた場合でも105,672円。
 一方、生保基準は18歳単身者で157,582円、時給150時間換算にすると1,051円。
 それから、雇用が深刻というのは認識は共通。ただ、ワーキングプアの問題は党派を超えた政治の課題。「雇用さえあればいい」ではない。
佐藤 何も「雇用さえあればいい」なんて言ってない、優先順位をつければ仕事という考え方。今、仕事を失った方々がものすごく多い中で、経営者の方々は、「そんなに高くなるんだったら仕事出すわけにはいかない」と、悪循環なんていうもんではなくて、かえって窮地に陥れることにならないか。この時期には、ちょっと考えにくい。現状についての認識が空論に近いような、甘いところがある。
関  雇用問題はどう解決されるべきだとお考えなのか測りかねるが、大企業が大量の解雇を進めてきたことが今日の雇用問題の根本であり、雇用を保証するヨーロッパ並みの規制で解決すべき問題。それと合わせて、仕事に就いていても10万円の賃金しかない、生活に値する賃金にない方がこの地域にもたくさんいらっしゃるわけですから、そのための施策は、当然並行して、市民の多くの方が求めている。
押井喜一(連合) 最低賃金の引き上げは、労働環境の改善という見地から賛成しますが、中小企業対策をきちんとやっていかなければならない。労働環境、最低賃金の引き上げが中小企業対策になると理解していいのか、最低賃金の引き上げを図りながら中小企業対策の拡充を図るのか。
  一つは、最低賃金引き上げの政策を取るために、中小企業に対する施策も改善しなければならないということが、項目の1番の中に含まれている。
 もう一つは、そういう措置も含めて、最低賃金を引き上げるということが中小企業の振興のためにも不可欠。中小企業に対する施策を定めた中小企業基本法の中でも、「小規模企業従事者の生活水準が向上するよう適切な配慮を持たなければならない」と、労働条件の改善を中小企業振興の課題として位置づけている。

 この後、岡村議員が反対討論、草島進一議員が賛成討論をおこない、採決の結果、賛成少数で否決となりました。
 今日の雇用問題、中小企業の経営困難についての見識も無く、対策も打ち出せないままに、ただ「賃金を上げると雇用が悪化する」などと言って請願に反対した議員の見識が問われます。
 質疑の内容は要約して紹介していますが(本当はもっと論旨不明瞭です)、反対議員が憲法や労働法規、中小企業関係法規などについての基本的知識に乏しいということも読み取って頂けるかとおもいます。
 
 これでは市民は浮かばれません、ヤレヤレ

 この結果は、24日(水)の本会議で報告され、そこで討論・採決がおこなわれます。