関とおるの鶴岡・山形県政通信

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全国一斉学力テストでも矛盾噴出

2009年01月10日 | 子育て・教育

  秋田県藤里町教育委員会が8日、2009年度全国学力テストへの現段階での不参加を表明したと言います。これは、県が先月25日に、市町村別平均正答率を一方的に公表したことが原因です。
 同県では、他に24市町村が不参加を検討しているとされています。
 全国では他に、鳥取県南部町が学校別成績を公表、大阪府の橋下徹知事も市町村別のテスト結果を部分的に開示して、「騒動」が広がりつつあります。

 テスト復活は2004年に文科省によって打ち出されましたが、―当時の中山文科相は、「今までの教育に欠けていたものがあるとすれば競い合う心」、「全国学力テストをやって競い合う教育を」とその狙いを明言していました。
 もちろんこの競い合いは、すべての子どもを伸ばすためのものではなく、「遅れ」ている者を切り捨てるための格差と選別のための競争です。
 そして、その背景には、「学校間はもとより教員間の競争原理を働かせれば、21世紀に必要とされる人材育成が可能となろう」(日本経団連の教育提言、05年1月)などと述べてきた、財界の強力な意図があります。
 財界が進めてきた新自由主義的政策の重要な一環として、格差と選別の教育政策も位置づけられています。

 今、日本の子どもは「学力世界一」どころか、「世界一の勉強嫌い」にさせられています。
 学ぶことが成長する権利にもとづく喜びではなく、仲間と競争させられる道具にされているからであり、多くの子どもが授業についていけないままに放置されているからです。
 今回のテスト時に実施された調査でも「勉強が楽しい」という子どもは小4の算数の70%が、中2の数学では40%に落ちています。「希望の職業に就くために良い成績を取りたい」は、中2の理科では45%、各国平均の72%と大きく隔たっています。
 さっぱりわからず、勉強する意味もわからないままに、授業の時間を無為に過ごす子どもの気持ちを思うと切なくなります。

 学力テストの実施要領には「序列化や過度な競争につながらないよう十分配慮」する、都道府県教育委・市町村教育委は「市町村名・学校名を明らかにした公表は行わない」と明記されていますから、最近の動きは、国の方針にも反する暴走と言うことになります。
 しかし、学力テストの本当の狙いは、全部公表して、競争を激しくしていくことにあります。
 現時点ではそれを打ち出せないでいるだけです。
 百害あって一理もない全国一斉学力テストは、07,08年の2回を限りに終わりにするのが最善の選択です。

 競争万能の新自由主義政策が、雇用や社会保障などで破綻を明らかにした今、早期の解散総選挙で、学力テストの是非も大いに問いたいものです。
 麻生総理では、学力の問題は言い出しづらいでしょうし。


以前紹介した絵本「からすたろう」。生きる力とは何か、胸に迫ってきます。

 学力テスト関係、以前の投稿
 08.04.22「全国学力テスト再び・・」
http://blog.goo.ne.jp/admin.php?fid=editentry&eid=ed43fb29e4a58b56430e3a3dff8c784f

 08.4.5「子どもを競争に駆り立てる学力テスト」
http://blog.goo.ne.jp/admin.php?fid=editentry&eid=d83b4c6607359bab391fb3286e2ffb5c

 07.4.6「全国一斉学力テストは大問題」
 http://blog.goo.ne.jp/admin.php?fid=editentry&eid=3fe1ce2afcc16eb3a36505d30225f0ff