店主のだらだら草子

スローライフを目指すi-sumi.com店主の気ままな日記

和鏡・神鏡・魔鏡

2011年10月31日 | 炭のお話
休日は相変わらず、まだタカの渡りばっかり行っているし、仕事は忙しくなってきたし・・・で、すっかり更新をサボっておりました。m(_ _)m

昔ながらの和鏡の作品展覧会が近所であったので行ってきました。
しかも、仕上げは炭で磨くということで、炭を扱う者としてはこれは見ないわけには行きません。(笑)

残念ながら、今回は魔境の展示はなかったのですが、国内で唯一手仕事による和鏡・神鏡・魔鏡を製作する山本合金製作所(京都)の36歳の若き鏡師、山本晃久さんの作品です。
和鏡・神鏡・魔鏡を製作する山本合金製作所で、神社の御霊代鏡や御神宝鏡の製作、博物館所蔵の鏡復元等に携わっているそうです。TOPの和鏡は手仕事とは思えない輝きですね。



鏡の裏側。
こちらには見事な細工がしてある。



「せん」という銅を削る道具。


銅を流し込む型。


工程は、
1.鋳型作り
2.鋳型に鏡の裏面の模様をいれていく。
3.その模様を入れた型を乾燥させて、合金(銅と錫)を溶かして流し込む。
4.かたまったら砂をばらしす。
5.やすりで酸化膜を取って、やすりの目を消すために「せん」っていう道具を使って削っていく。
6.せんのむらを消すために砥石で研ぐ。
7.砥石の粗さを消すために炭研ぎで仕上げていく。まず朴の木の炭で炭研ぎをして、その次に駿河炭で磨きをかける。
8.そのあとに今はニッケルメッキを掛ける。昔は本研ぎという工程があり、錫を伸ばして入れ込んでいました。




手鏡


制作には、普通のもので約一ヶ月、模様の複雑なものだと二~三ヶ月かかるそうです。
気の遠くなるような根気のいる仕事ですね。私には絶対無理。(笑)

よ~く見ると、鏡にはほんのごくわずか揺らぐような感覚があります。
これが手作り感あふれて、とってもいい感じです。



これが仕上げの磨きに使う炭。
真ん中がホウノキの炭。これで砥石の荒さを仕上げていく。
両端が「駿河炭」と呼ばれる仕上げ用の炭。


駿河炭の材質はアブラギリだそうです。
ホオノキもどちらも柔らかい木なので、炭もとっても軽い。
もちろん燃料用ではありませんので私どもでは扱っておりませんが、炭はいろんな用途に使われるというお話でした。

最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
moriyumeさま (scops)
2011-10-31 18:39:10
こういう名人技が継承されていくといいですね。
日本人は器用だといいますが、昔と違ってなんでも楽してますから、その器用さが保たれているのかなあと、ちょっと不安です。
私なんかもともと不器用なのに、最近はそれに輪をかけて・・・(苦笑)
返信する
fagus06さま (scops)
2011-10-31 18:33:27
そうそう、木炭画に使う炭もホオノキでしたね。
私は美術部ではありませんが、ほんのちょっとだけデッサンを習いに行っていました。パンで消していましたよね?

魔鏡はぜひ見たかったんですが、残念でした。一時途絶えていた制作方法を、この方のおじいさんが試行錯誤の上復元させたらしいです。

魔鏡というのは、moriyumeさんも書いてくださってますが、一見普通の鏡だけれど、光を反射させて結像する距離に焦点を当てると、掘り込んだ模様が浮かび上がるというものだそうです。
返信する
魔鏡は (moriyume)
2011-10-31 17:43:39
非常に興味があります。
反射した光が投影する模様は不思議といってもよいくらいですね。これを作ったのが昔の中国だといいますからやはり昔の人はすごいですね。(日本でも隠れキリシタンが十字架などの像ができる鏡を持っていたとか...)

先日太陽熱発電の話題がTVで放映されていましたが、海外のメーカーの物では焦点がぼやけてしまって効率が悪かったのですが、日本のある中小企業(天体望遠鏡では有名)が作る鏡で太陽光を集めると1点にくっきりと光が集まっていました。
これは手で磨いていたわけではありませんが、こうした名人技はいつ見ても感心させられます。
返信する
魔鏡 (fagus06)
2011-10-31 07:44:21
というのが気になりますね。どんな鏡のことを言うのでしょうね。
ホオノキの炭は、美術のデッサンで使う「木炭」にも使うと、木の本で読みました。
私も高校時代は一応美術部だったので、使っておりました。軽くて、よく折れました。
返信する

コメントを投稿