さとみん絵本の世界

さとみんおすすめの絵本や本(児童書が主)と、うずまいている日々の迷いや気づき!!

むぎばたけ

2006-04-18 | 子どもと読んだ本
 今日は買わないぞ!と決めていたにもかかわらず、どうしても持って帰りたい、連れて帰りたい!
との思いでやっぱり買ってしまいました。
アリスン・アトリー作で、片山健さんの絵、そして矢川澄子さんの訳。GOODな組み合わせです。
もうそこから夢の世界が始まっています。

ハリネズミ、ノウサギのジャックじいさん、カワネズミ
のさんびきが、夜、むぎばたけに行きます。ムギの穂ののびるところを見にいくのです。
ちなみに、題名は「むぎ」がひらがなで、本文は「ムギ」とかたかなになっています。


  あたたかい、かぐわしい夏のゆうべ

  シモツケソウのしろいかわいい花がせなかにしだれかかるアーチのした

  しっとりとつゆのおりた草地をぬけ、真珠のようなしずくでのどをうるおす

  スイカズラとノイバラのあまいにおい

  おびただしいムギの穂の、さやさやといううつくしい音楽


なんときれいなようすなのでしょう!
ことばにし、読んでいてうっとりしてしまいます。
イギリスの田舎で暮らしたアトリーさんにはきっとフェアリーも見えたのでしょう。
そんな環境に育った方の作品です。
わたしは日本の田舎で体験した夜の光景を思い出しながら、この絵本を楽しみました。
都会しか知らない子どもたちはどのように感じているのでしょう。
夏の夜のにおいや皮膚感覚などは、実際の体験がなければ感じられないでしょう。
月明かりや星明りも都会にいたのではわからないと思います。

ハリネズミのせなかの針にさわやかな夜風があたっている。

  お月さんのランプに
  お星さんのロウソク
  夜ごとはるばる
  さまようおいら

ハリネズミのすがたがなんとも愛らしい!!!!!


  夜風にゆれて穂と穂がこすれあう、その音は、さながら海のひびきでした。
  幾千い幾万の声の、ひそひそささやきかわすおしゃべりでした

夜のむぎばたけは、きっとこんなふうにおしゃべりをしているのでしょう。



  アリスン・アトリー/作 片山健/絵 矢川澄子/訳  福音館

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