さとみん絵本の世界

さとみんおすすめの絵本や本(児童書が主)と、うずまいている日々の迷いや気づき!!

根っこのこどもたち目をさます

2007-02-19 | 読んでみて!
クラシックなファンタジーがやさしく香る

key word・・・妖精 母なる大地の精 四季

以前このブログでも紹介した「ねっこぼっこ」のまた違う出版社と訳です
いえ、これはオルファースの文ではなく
ヘレン・ディーン・フィッシュという米国の方の文を
石井桃子さんが訳しています
だから、オルファースの詩のリズムではなく、文章は完全におはなし調

比較したくもなるが
プリンと玉子豆腐をくらべるようなもの
詩的な文のリズムや匂いが好きな人は
このおはなし調はとても不評のようです

でも
この石井桃子さんの訳によって
わかりやすく身近なものに感じられるのは確か
好き好きですね

ただし
表紙の手抜きはイカン
なぜこんな表紙になったのだろうか・・・・?



季節がめぐる喜びはほんとうにしあわせなこと
そのステキなしかけは
妖精たちのしわざ!
そんなふうに
時々は想像してみるのは
もっとしあわせなこと

いつまでも夢みるオトメでいてもいい!

そこらに妖精の子どもがいるような気がしてくる


ジビレ・フォン・オルファース/絵  ヘレン・ディーン・フィッシュ/文
石井桃子/訳・編    童話館 2003年出版

雲へ

2007-02-08 | 読んでみて!
きっと空をとんだことあるよ、そのまんまでね

key word・・・浮遊感 ゆめ 雲

これは空へ、ではなく雲へなんです


  
  ぼく
  そらをとんだことがあるよ
  ほんとだよ
  ずーっとまえ
  くもまでいってきた

こんなふうにはじまる

ことば数は少ない
黒井健さんらしいソフトなタッチが
まるで夢のなかのよう

でも甘い叶わぬ夢ではなく
ある種の現実味を感じるのは
色彩が以外にダークなせいかもしれない
空でなく「雲へ」だから

地面から段々と空高くあがっていく
ふうわり ~
時には
ひゅーっと風の音が聞こえてくるようだ


空中では自分ひとり
つかまるところもないし
誰もなんとかしてくれない

ちょっぴり心細いけど
ふしぎに
暖かに包まれる安心感が漂う



     ★

学生時代に空を飛んだことを思い出す
ハンググライダーで

空中ではひとり
風の音がしていた
失速しそうになったりもした
雲の中にはいった時は
視界がさえぎられ
こわかった

でも
地球に抱かれているような
幸福感があった




またこんな経験するかな?

するかもしれない

いつか・・・・




  黒井健/作・絵   偕成社 



ねっこぼっこ

2006-12-19 | 読んでみて!
ドイツの古典的絵本! 

key word・・・土のにおい 妖精 あたたかいねっこのおうち

たまたまみつけた絵本
ベスコフを思わせるような雰囲気

しかも訳者がちがうもの二点同時に読んだ
こんな比較は楽しくて楽しくてしかたがない

簡単に紹介しちゃう

★「ねっこぼっこ」 福武書店 1982年発行 生野幸吉/訳

印刷の色は明るめ 表紙と中扉にドイツ語と絵がない
お話し的な文章・・・たとえば

  ねっこぼっこは春のよういだ、
  春のきものをじぶんでぬうんだ。
  はりや、はさみや、ゆびぬきをつかって、
  おさいほうはどんどんはかどるよ

というぐあい

印刷は少しきれているところがある
それは、絵本としての作品に影響を及ぼすものではないが
比較するとよくわかる。あ、切れてる・・

こちらのほうが、小さなこどもに話してきかせるのには
わかりやすいかな



★「ねっこぼっこ」 平凡社 2005年発行 秦理絵子/訳

印刷の色は比較すると少しトーンがさがる、けど深い
表紙と中1ページめにドイツ語の原題つき
うち扉にはねっこぼっこたちのかげ
文体はリズミカル・・・たとえば上記と同じ箇所

   すばやくしたくをととのえて
   じぶんでぬうよ 春のふく
   はりとはさみとゆびぬきつかい
   どんどんしごとをすすめてく

と、なる

秦さんの先生が生野さんであるようだ
印刷に関しては出版社側の問題かもしれない

高校生の子どもと順番で読んでみたが
‘原文はどうなってるんだろうねー‘
というのがとても気になった(わからないけど)
でも訳者によって全然違う、
ということだけはよーくわかった



二点の比較を中心に書いたが
この話しのシンプルなよさも推したい
季節がめぐる自然の美しさと
やっぱりもどってくる母のもと
母なる大地のあたたかさが
じんわりとこころに残ります


原作/ジビュレ・フォン・オルファース 1906年の作品

いつもだれかが・・・

2006-12-03 | 読んでみて!
いつもひとりでがんばってる、と思い込んでいるときに・・・

key word・・・ありがたい みえぬけれどもあるんだね! て・ん・し!



だーれもわかってくれない
この苦しみは自分ひとりだけで耐えなきゃいけないんだな
どうせ どうせ どうせ・・・・
なんて思うことはきっと誰でもある

でも
見えない何かが
じっと見守ってくれたり
時にはかばってくれたりすることもある
かもしれない
いえ
そうだと思う

みえない存在のことは
宗教によっても国によっても違う

この本では
天使

いつもいっしょにいてくれる
助けてくれることもある
でも
天使はこちらの都合によって動く奴隷ではないので
何も解決できない状況では
天使もいっしょに悲しんでいる

でも
こんなふうにいっしょに悲しんでくれる天使がいると思うと
なんだかあったかくなる

で、この本の天使はおばさんで
ちょっとおとぼけでユーモラス



ちなみにこの話しの背景は
第二次世界大戦のドイツでのこと
ユダヤ人を連行するところがさりげにある


わたしは死んだら
こんなおばさん天使になりたい!(え??)
と思う・・・・・・



 ユッタ・バウアー/作・絵  上田真爾子/訳
 徳間書店

エヴァ ~ 花の国

2006-11-11 | 読んでみて!
 わたしのいる場所への旅

key word・・・生きるまなざし 孤独 みなしご

 十歳のエヴァは、両親が死んでしまってからは
 モーリスさんにひきとられ
 夜に花売りをして生きています

 子どもの寝静まっている夜中に
 生きるべくサヴァイバルを
 たくましくみにつけたエヴァ
 しかし
 その姿は哀れなものではない
 エヴァのまなざしは
 本当のひかりの世界をみている

 現実と折り合いをつけて生きていくことは
 なかなかむずかしい
 夢を忘れるか
 現実を捨てるかの
 どちらかになってしまう恐れもある

 エヴァは
 モーリスさんがもう帰ってこないと
 わかってからは
 自分をしばっていた暗やみの世界から
 野の花があるひかりの世界へと
 自分の足で 
 もう一回
 生きていこうとした


 けなげなエヴァのすがたに
 とても励まされる
 深くてかなしい絵本である

 何度も何度も読み返すと
 そのたびに
 いろいろなことに気づく



 
 
 1980年代に「エレンディラ」ガルシア・マルケス/作
 という映画を観ましたが
 その印象とものすごくダブってしまいました・・・



  ラスカル/作  ルイ・ジョス/絵
  山田兼士/訳   セーラー出版

ゴールディーのお人形

2006-11-03 | 読んでみて!
 ひたむきに自分を何かにささげる
key word・・・木の人形づくり こだわり 出会い 中国製の陶器のランプ


   
両親がいなくなってからひとりぼっちになった女の子は
木の人形作りを続けます
森で拾った気に入った木でないと
人形を作る気になりません
生きているかんじがしないからです

こころを込めて一体一体をつくりあげます

あるお店で自分のつくった人形を
大事にかかえている子どもをみかけたとき
ただ黙ってうれしそうにみていたゴールディー
そんな気持ち、わかる気がします
あえて自分を名乗らないことは
本当に人形に気持ちをこめて作っているからでしょう

そんなゴールディーはある日
時代も国も越えて自分と同じような「たましい」に出会います
こころがひとめぼれしてしまったのです

中国製の陶器のランプ

それをつくったたましいと夢で出会います


(一時はあまりに高価なものを買ってしまい
自分を恥じ、後悔してしまうのですが・・・)


ゴフスタインはあとがきでいいます
 人生において価値のあることは、
 そして本当にしあわせなことは、
 仕事をすることであり、
 もし何かひたむきに自分を奉げるものがなければ
 その人生はつまらない・・・


 私が本の中で表現したいと思っていることは
 自分が信じるすばらしいなにかを作り出すために
 黙々と働く人の美しさと尊さでです




 
  M.B.ゴフスタイン/作  末盛千枝子/訳
  すえもりブックス

エレーナのセレナーデ

2006-11-01 | 読んでみて!
ガラス吹きの名人になるの!
    私にしかできない夢のメロディー

key word・・・メキシコ 太陽のような女の子 ジェンダー 夢にむかって生きる


エレーナはおとうさんみたいにガラス吹きになりたいと思った
でも
まだ小さすぎるとか
女の子だからダメだ
と言われてしまう(ふんっ)
エレーナは男の子に変身して
修行の旅にでかける(よっし!)
旅ではロバやミチバシリという鳥にであったり
コヨーテやふくろう、こうもりなどに
ステキなメロディーを聞かせてあげたりした

そしてガラス職人たちのところで
旅の夢がつまったエレーナのガラス吹きで
びっくりすることがおこる!
エレーナの夢は少しずつ現実となって
まわりのひとたちにも
みえてくるのだ
よろこびとして感じられてくるのだ



いつまでも
こころのなかに
エレーナがいますように!!


 キャンベル・ギースリン/文  アナ・ファン/絵
 小島希里/訳  BL出版

ペレのはなび

2006-10-31 | 読んでみて!
花火師のとうちゃんはスゴイぞ!

key word・・・はなびをつくる メキシコ 

となり村でまつりがあり、
ペレのおとうさんは
そのために花火をつくりにいきます
今年はペレもいっしょ

おまつりのにぎやかな様子に
ペレは、花火づくりどころではありません
移動ゆうえんちも気になります

おとうさんに言われるまま
アシをつかって、花火のいちぶをつくります
それは
カスティーヨ(おしろ)です

いよいよ夜になり、
まつりもたけなわ!
はなびで大盛り上がり

ペレのおとうさんのはなびも
火をつけられました

ところが
ペレのつくったところが不備で
止まってしまいます

ドキドキするペレ

花火師のしごとのきびしさと喜びを
知った夏

 ぼくもいつかこんなきれいな花火をつくってみたい
とペレは思う




直江みちる/文  今井俊/絵  福音館
こどものとも476号 1995年

おとなってじぶんでばっかりハンドルをにぎってる

2006-10-24 | 読んでみて!
毒の入ったリンゴをどうぞ!!
けっこうイケルよ!

key word・・・おとなの生態、こどもの目、毒、ユーモア


これはウィリアム・スタイグ91歳のときの作らしいです
すっごい!じいちゃんだぁーー
自分もしっかりおとななのに
批判的なのか、謙虚なのか・・・

おとなって○○○
と、38種の生態が列挙されている
そうそう、HAHAHA~
と思うものや
日本文化とちょっと違うかな?
と思うものや
ちょっぴりかなしいもの
なんかがある

子どもにとっていちばん居心地悪いのは
おとなの価値判断で行動されること
目線が上で、方向がちがう

おとなって変わってる、子どもから見るとね
それに
おとなばっかりズルイ!
と思う



でも
そんな不満を感じたり持てたりする子どもは
実は、とってもエネルギーがあって
自立的なのかもしれない

ハンドルを握りたいと思わない子どもが
意外といるんじゃないかな?

小さいときから
それなりの運転をさせてもらっていないと
(失敗をたくさんさせてもらわないと)
おとなになって急に運転しろ
といわれても
無理でしょう




スタイグはすごいよ!

ウィリアム・スタイグ/作  木坂涼/訳 セーラー出版

おとうさんはひつじつかい

2006-10-22 | 読んでみて!
 ひつじつかい というと、外国ちっくなイメージですが
これは日本のおとっつぁんの仕事のはなし

1991年11月の福音館書店の「かがくのとも」です
古本屋でごっそり買ったシリーズの中の一冊で
我が家の本箱にかくれるようにして入っていました

ついこのあいだ‘はっけん‘し、
自分でもおどろいています

ネットでこの本を検索したが、見つからず
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ぼくのおとうさん=ひつじかいは
とてもはたらきもので
一年間を通してひつじの世話としごとをしています
そして
刈ったひつじの毛で
おとうさんはセーターをつくります

刈った羊毛をスピンドルというコマでつむぎます
それから糸巻きをし
洗ってから
あみはじめます
  (本では省略してますが、
   刈ったあとにしっかり洗っているはずです)

ぼくが
‘おかあさんに手伝ってもらえば!?‘
といっても
‘いいや、ぜんぶ自分でやる‘
という

 
 よる、いえでは
 おとうさんがお酒を飲みながら
 セーターをあんでいます

なんて、いいですねぇ


いま
ニットカフェが流行っていて
男の人もけっこうやっているそうですが
10年以上も前に
こんな先を行っている
日本のひつじかいおとっつぁんがいた!!
なにげにピンクのズボンもにあっている。。。。



   白根美代子/さく  福音館「かがくのとも」272号