物真似と聞くと、何か良くない言葉のように思いますが、実は物真似はとても大切なことです。前に「基本」について書きましたが、人間が赤ん坊から成長していく過程では、いろんなことを真似をして覚えていくものなのです(もちろん、大人の悪い面も真似しますが…)。
真似を難しい言葉で言うと「模倣」と言います。人間はコーチに指導されたことやうまい人をお手本にして、真似(模倣)することから、正しいやり方を覚えていきます。相撲でも最初は「股割り」という足を広げる姿勢や「四股(しこ)」「鉄砲(丸太柱につっぱりをすること)」などの基本的な動作を徹底的に叩き込まれます。歌舞伎や能、日本舞踊など伝統的な日本芸能でも小さい頃から徹底して基本的な動きを叩き込まれます。そうした基本が身に付いて初めて、自分独自のやり方に進むことができるのです。
どんな名選手も最初から自分独自のフォームをしているわけではないのです(一本足打法の王選手、振り子打法のイチロー選手-アメリカに行ってからは振り子でもなくなりましたね、マサカリ投法の村田兆治投手などなど)。このように最初に基本的なことを身につけて、だんだん高度な行動を身に付けていくことを、行動科学では、「シェーピング(形成化)」と言います。アメリカのメジャーリーグでは、型にはめた指導はせずに選手の自主性を尊重すると言われていますが、アメリカでも何でもかんでも自由にさせているわけではなく、打撃であれば、ボールをミートする瞬間にもっとも力が集中しているか(つまりここが基本です)はしっかり見て、それができていれば、他のフォームがどんなに奇抜でも文句は言わないということです。
何度も言いますが、ドラゴンズのみんなにとって必要なことは、まずこの「基本」をしっかり身に付けることです。そのためには、監督・コーチ・お父さんたちが言ってくれたことをしっかり聞いて、やって見せてくれたことをしっかり「真似」して、何度も繰り返して身に付けていくことです。何度も同じことを言われている選手は、その場でしか聞いていないから、次のプレーの時に「意識」していないから、同じことを繰り返すのです。自分の課題をしっかり意識して、目標をもって取り組もう!