ひねもすのたりのたり 朝ドラ・ちょこ三昧

 
━ 15分のお楽しみ ━
 

『都の風』(27)

2007-10-31 11:35:58 | ★’07(本’86) 37『都の風』
脚本:重森孝子
音楽:中村滋延
語り:藤田弓子

   出 演

悠    加納みゆき:京都の繊維問屋「竹田屋」の三女、大阪の「おたふく」で住み込み働き始める
葵    松原千明 :竹田家の長女(大阪の次男坊のところに嫁入り)

鈴木   須永克彦 :お初の元旦那はん(夫ではない)、お初に泣きつきに来た
悦子   雅  薇 :「おたふく」の従業員
奥さん  坂本和子 :葵の仲人  前回は 10月13日(12回)
松吉   小林秀明 :「おたふく」の従業員(見習い)

客達   山田交作 :「おたふく」の客
      蓮 一郎 :「おたふく」の客
      三村伸也 :「おたふく」の客
客達   門田 裕  :「おたふく」の客
      松本省三  :「おたふく」の客
      多々納 斉 :「おたふく」の客

      アクタープロ
      松竹芸能

雄一郎  村上弘明 : 毎朝新聞の文芸部記者(姓はヨシノ)、「おたふく」の常連
お初   野川由美子 :大衆食堂「おたふく」の女将。市左衛門の遠縁

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

板場の精二がお初と言い争って店を出てしまい、お初も休業を言い渡し外出してしまった。

悠は、材料が腐るのがもったいないと松吉と料理に挑戦する。
一番最初に雄一郎がやってきた。

「ヨシノさんが一番最初に来てくれはるように願うてました」と悠が座らせ
「わてもお待ちしてました」と松吉が水を出す
「うれしいなぁ」

「今日の定食は特製の豚汁にコロッケです」
「へえ。何かカッコの悪いコロッケだな」
「料理は形でなく心です」と生意気を言う松吉
食べ始める雄一郎に
「美味しいですか」「豚汁も飲んで、どうですか」「一円の値打ちがあると思いはる?」
と矢継ぎ早の質問攻め、毒味兼味見をさせていた。
「うまいよ。2円でも安いくらいだ」の返事に喜ぶ悠と松吉。

「女将さんと精さんは?」
「二人であひびき」
「ここほったらかして?」
「へぇ。たまにはよれしいやろ」
「今までそんなことなかった」
「すぐ帰って来はります。
 せっかく来てくれはるお客さんに悪いし、それでうちらで作ったんです」
「そうか、なかなか美味いよ。しかし君がこんな事までできるとは思わなかったよ‥‥」

お昼の時間になり次々と、常連さんがやって来始めて、水を運ぶのを手伝う雄一郎。
「味は保証します」

帰って来たお初は店が開いていて、客が入っているのに驚く。
事情を話す雄一郎。

しかし後でお目玉をくらってしまった悠と松吉。

「たまたま今日はうまいようにいったからええようなものの、
 こんな勝手なことされたんでは店の信用がのうなる。
 食べもんちゅうもんはな、ただ作って売ったらええっちゅうもんと違いますのや」

「すみません」うなだれる二人

「ま、板場はん怒らしたのはわてが悪いねん、ほんまあいつも頑固もんやで‥‥」

「おばちゃん、そんなに怒ることないでしょ~
 悠さんだって、店のためにやったんだから」
「ボンボン、まだいたんかいな。
 さっさと社に戻って出世するようにお偉いさんにおべんちゃらの一つでも言ったらどないだ」
「おばちゃん、この店を休業にするようなことだけはやめといて下さいよ。
 おたふくの昼飯を食うのだけが楽しみな客も、いっぱいいるんだから」

「わかってますて。
 でも仕入れ値は高くなるし、値上げしたら板場はん辞めるて言うし‥‥
 どないしたらええねんな」
「安い材料でも腕と心で作った料理を売るのがおたふくでしょう。
 高い仕入れは止めた方がいいです」

そこにちょうどよく鈴木が帰って来る。

「仕入れが高いて? あんたどこの誰やの」
「客の一人です」
「ここの店の仕入れはな、わしがやってんねん。
 なんぞいちゃもんつけようっちゅうのか」

うちの常連でな‥‥、お昼にしよ ととりなすお初。

「今時、魚、肉、米、腹一杯食えるのは誰のおかげや、思ってるねんや」
「金さえ出せば何でも食える世の中は間違ってます。
 あんたのようなヤミ屋が儲かる分だけ、一般庶民は困ってるんですよ!」

ハラハラして見る悠

「今の世の中、金と力のない者、美味いもんが食えんっちゅうこっちゃがな!」
「この店ね客はね、女将さんの気っ風と精さんの腕に惚れて来てるんだ。
 あなたのようなヤミ屋に儲けさせるために来てるんじゃないんですよ」
「このガキが生意気な口ききやがって」 雄一郎にビンタをくらわす鈴木

「うちのお客さんに手出ししはったら、わてが承知しませんで!」

お初は鈴木を奥に引っ張っていく。

「しかし女将さんもあんな奴に仕入れ任せてるなんて変だよ」
「‥‥けどヨシノさん、うち見直しました。
 その調子で新聞の記事も書いてくださいねっ(にこっ)」
「それとこれとは別だよ。しかし僕もこんな所で仕事の不満をぶつけるようじゃ、だめだな」
「頑張っておくれやっしゃ」
「コイツぅ」と悠のおでこをコツンとする雄一郎
「えへっ」と肩をすくめる悠

(ちょ、ちょっと、ばかっぷる 

奥の部屋

「絹屋の旦那はんだった人が何だすねん、大人気ない。
 板場はんに出ていかれて困るのは、このわてや。
 それでも高い仕入れ値であんたから食料買うてんのは何のためだと思うてはりますのや。
 一生ヤミ屋で終わらせとうないからだす。」

「すんまへん」 正座して小さくなって、小さな声で謝る鈴木

「ほんまもんのヤミ屋になる、言わはるなら、もうよう面倒見ませんさかい、
 どうぞ出てっておくれやす」
「なぁ。冷たいこと言わんと。食うて寝さしてもらうだけでええねん。ここ置いて。
 見放さんといて。仕入れ先ももっと見つけて一儲けするさかいに、な、
 それまでの間や」


お初は悠に夜の定食の献立を考えるように言う。

「旦那はんと精二の板挟みで、この年になってもてて困りますわ、ふふふっ」
「安くて美味しいもん考えます」
「この仕入れの帳面を見て、一人前1円でどんだけ儲けが出るか考えてな」
「そんなことまでうちがしてええのんですか」
「さっきは怒ったけど、
 こわいもん知らずと言うか今はあんたの勇気に助けてもらうことにしよか」
「おおきに」
「しゃあないわ、もう‥‥。精二のやつ値上げしたら本気で辞めるつもりらしいから」
「いつ帰ってきはるんですか?」
「旦那はん追い出すまで帰らん言うて板場仲間の手伝いしてる。
 けどなぁ今旦那はん追い出すにはまとまった銭(ゼニ)が必要やし、
 どっちも立てようと思ったら苦労や‥‥」

悦子がそうっと帰ってきた。

「休業ちごたんですか」
「悦子ぉ、ちっとは悠を見習わんかいな。遊んでたかて銭(ぜに)は入ってきませんで。
 今晩からな、悠がしてた雑用、お前がおやり」



中之島病院

葵のもとに、仲人だった奥さんが見舞う。

「今、ご主人の出征見送りしてきた」と言い、

退院しはったら京都の実家に戻った方がええのと違うか、
鉄工所は景気がいいけどあんさんには無理をさせられんと言っている、
住み込みの工員を入れたが、あんたたちの住んでた離れをちっと貸して欲しい、
このことは京都には内緒にして、元気になったらいつでも戻ってきて欲しい‥‥
と言わはってる

と遠慮があるようなないような‥に言い渡したのだった。


「役に立たへん嫁は用がない、ちゅうことですか」
「あんさん、そんなこと京都のお里で口が裂けても言わんといて下さい、
 そしたら私はこれで、はよ元気になっておくれやす。ごめんやす」

とそそくさと出ていく。


「カッコばっかり気にして!いっそ離縁にしてほしいわ!」

入れ違いで悠が入ってくる。

「うちが作ったんえ」と、お弁当を渡し、
「これ女将さんから」と「お金に困るような人やないけど女将さんの気持ちやて。
 初めての子を流産した嫁の立場は辛いやろうて‥‥」とお金を渡す。

顔をゆがめて、泣き出してしまう葵 

「お姉ちゃん」
「忙しいのやろ。お帰り。女将さんによろしくな‥‥」
「大丈夫か」
「涙もろなってしもて‥‥こんなことでへこたれるうちやない」
「元気出して。また明日美味しいもん持って来るしな」



「ほな」


泣く葵



(つづく)


『ちりとてちん』(27)

2007-10-31 07:55:01 | ’07 77 『ちりとてちん』
作  :藤本有紀
音楽 :佐橋俊彦
テーマ曲ピアノ演奏:松下奈緒

語り :上沼恵美子

   出 演

和田喜代美  貫地谷しほり
和田糸子    和久井映見 :喜代美の母
和田正典    松重 豊  :喜代美の父、一家で鯖江から小浜に戻り、塗箸職人に
和田小次郎  京本政樹 :喜代美の叔父・正典の弟
竹谷 修    渡辺正行:箸問屋「丸竹」、観光協会の事務局長
徒然亭草々  青木崇高 :元落語家・徒然亭草若の弟子
熊五郎     木村祐一 :酒場「寝床」の店主
磯七      松尾貴史 :散髪店(磯村屋)の店主。酒場「寝床」の常連
菊江      キムラ緑子:仏壇店の女主人。酒場「寝床」の常連
徒然亭小草若 茂山宗彦 :落語家・徒然亭草若の実の息子
和田正平    橋本 淳 :喜代美の弟
野口幸助    久ヶ沢 徹 :「魚屋食堂」の店主、順子の父。
咲        田実陽子 :酒場「寝床」の店主・熊五郎の妻

         小浜市のみなさん
         
         NAC
         放映新社
         劇団東俳
         日本芸能センター

和田正太郎(写真) 米倉斉加年 :喜代美の祖父(故人)、塗箸の名職人で落語好き。
和田小梅    江波杏子:喜代美の祖母、もと芸者
徒然亭草若   渡瀬恒彦:元天才落語家。今はのんだくれている


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草々(青木崇高)の清海(佐藤めぐみ)への恋心は片思いに終わった。喜代美(貫地谷しほり)は失恋した草々の姿を見るに忍びなくなり、祖父の命日に導かれるように、半年ぶりに小浜に里帰りする。家出同様に家を出た経緯から、不安を抱えたどり着いた喜代美だが、糸子(和久井映見)や正典(松重豊)たち家族は、予想もしなかった反応を喜代美に見せる。