
結局、卵の殻が下に落ちていたので、へびが食べてしまったらしい。鳥も居つかないので、巣を木から下ろしてみた。
精緻に材料を組み合わせている。
外殻には拾ってきたビニールひもをほぐした切れ端、やわらかいビニール袋の切れ端も縫いこんである。
よくも、こんなものを拾ってくるものだ。
内部の内側は、枯れたやわらかなささの葉が、網代天井みたいに織ってある。
堅めの細枝とこれらの部材が適材適所のように、縫いこんである。
くちばししかないはずなので、くちばしで器用に縫ってある。
ヒヨドリの技術は、教えられたものではなかろう。巧みなつくりかたである。
でも、先天的に知識が備わっているものだろうか。
そういえば、巣は木の枝が三つまたになったところにセットされていたが、落下せぬよう、ビニールひもの切れ端で枝に縫い付けられていた。
巣をしげしげと観察すればするほど、自然の神秘に心惹かれるものを覚えた。