Sally's BLOG

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真実と自由、そして希望(ブラッド・ダイヤモンド)

2007-03-30 01:04:35 | 映画
-血塗られたダイヤモンド(ブラッドダイヤモンド)-
それは、1990年代にアフリカで起こった内紛の資金源となった「紛争ダイヤモンド」を意味する。
当時(現在も続いているが)、不法なダイヤモンド密輸取引で得た利益は、反政府勢力の軍事設備購入や武力維持の為の資金源となった。
映画「ブラッド・ダイヤモンド」は、国際的なダイヤモンド認証制度「キンバリープロセス」が制定されるきっかけとなった、シエラレオネとリベリア地区の凄惨な紛争を舞台に繰り広げられる。

政府と反政府勢力による内戦が長引くシエラレオネ。そこで発見された巨大なピンクダイヤをめぐって、さまざまな思惑が交錯する。
ある男、ダニー・アーチャー(レオナルド・ディカプリオ)は、そのダイヤを売った金で、この地獄のような内戦の続くアフリカから脱出する「自由」を望んだ。
ある女、マディ・ボウエン(ジェニファー・コネリー)は、そのダイヤの密輸取引を暴き、その裏に隠された人々の欲望と不正を正す「真実」を欲した。
ある父親、ソロモン・バンディ(ジャイモン・フンスー)は、そのダイヤを売りさばき、テロリストに拉致された家族を取り戻すと心に誓った。

深刻なテーマを扱ってはいるが、さすがエドワード・ズウィック監督(「グローリー」、「ラスト・サムライ」監督)作品である、間違いなくエンターテインメントに仕上がっている。「ラスト・サムライ」同様、余分なラブストーリーエピソードが入っていたりする部分はいただけないが、BGMの使い方、映像の切り替わりのタイミングは絶妙である。ストーリー展開も速く、放映時間2時間30分を感じさせない流れのよさも○(マル)。

映画が始まって十数分で繰り広げられる反政府勢力(RFU)のテロ行為。政府とは無関係の農村漁村での大量殺戮、強姦、略奪、拷問、拉致・・・その瞬間シアター内は見たことも無い地獄と化し、観客はその場で立ちすくんで泣く子供になる。繰り返される殺戮シーン、そのほとんどが、RFUによって拉致され、洗脳された年端も行かない少年兵によるものである、という事実。実際にこんな事がこの世で起こっていた(現在も起こっている)のか?と、誰もが思わずにいられないシーンが繰り返され、絶望の種が人々の胸の奥底に沈む。
最終、アーチャーは「自由」を、マディは「真実」を、ソロモンは「家族」を手にするのだが、私は敢えてソロモンにスポットを当てたい。

(以下、一段落ネタバレ)
ソロモンが取り戻す「家族」の内、最も困難を極めるのが、RFUに拉致され少年兵として洗脳された「息子」である。家族思いで心優しかった彼は、「心」を奪われ、殺人鬼と化していた。

その長男は貧しい漁師家族の中で、幼い頃から医者を目指し、勉強も熱心な、「希望」であった。ある意味、ソロモンが未来を象徴する「子ども」を取り戻すことは、絶望しかない世界に未来という「希望」を取り戻すことなのではないだろうか。

(映画のハラハラ感を楽しまれたい方は、以下は映画鑑賞後にお読み下さい)
アーチャー、マディに命がけで助けられながら、ソロモンが手にした「ブラッドダイヤモンド(紅いダイヤ)」は、アフリカと言う「絶望」の世界で、何物にも換え難く貴い「家族」という「希望」だったのだと、私は信じたい。


2007年4月7日(金)より、全国一斉ロードショー



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