昭和33年から存在するリバイバル館にて観てきました。
多少の改築はされているものの、昔の日本人仕様の狭く小さな赤いシート。
それは、まるでオリヲン座そのもの。観る前から気持ちはノスタルジック。
この映像、「ニューシネマパラダイス」を思い出さずにいられない。オリヲン座を正面から撮ったアングル、自転車シーンの多用、検閲で切り取られた「告白」シーンのエピソード・・・
京都の見慣れた景色が、カラーなのにセピアに見える。昭和30年代を知らない人間でさえも、その懐かしさ、切なさに胸が締め付けられる。
「亡き夫松蔵と、彼の遺した映画館を守り続ける妻トヨ、そして夫の弟子であった映像技師留吉の静かな愛情の軌跡」
こう書いてしまうと、安っぽい。
毎朝、だし汁の為の鰹を、削ってやる松蔵の後姿、
毎日フィルムを載せて、留吉が走らせる自転車、
自分が笑っていない記念写真をそっと隠す妻、
愛情に溢れた、キラキラする景色の数々。
そして、特別な感情で結ばれた、松蔵亡き後のトヨと留吉。
初めは、松蔵のお気に入りだったハンチング帽を留吉に渡すものの、「あなたには似合わない」というトヨの、親が子に持つにも似た微妙な情。
確かに松蔵に向けられたトヨの愛情を知りつつ、トヨとその愛を守る為、無償の愛情を注ぐ留吉。
40年から続くこの静かで優しい愛の連鎖は、オリヲン座の最後の上映の日、余命限られたトヨの「告白」で、連鎖ではなく留吉とトヨが互いに愛し合って来たのだと語られる。
嘗て「告白」のシーンをカットされた映画「無法松の一生」の上映を見ながら、トヨが「死んでもいい」と呟く。
まだ日本に「愛」という概念の無かったころ、二葉亭四迷がI love you.にあたる言葉を「死んでもいい」と翻訳した話は有名だが、そんな「愛」が奥ゆかしかった頃の、古きよき時代の映画。
(もう一つ、この映画で驚いたのは、若き日のトヨを演じた宮沢りえのオードリー・ヘプバーンさ!
形容詞じゃないけど、そういってもいい位、目を引いた。
本人も意識しているのだろうが、時代劇映画などで見せる古風さとは違う、なんとも言えぬ、儚さと共存する凛々しさに目が釘付けになった。)
多少の改築はされているものの、昔の日本人仕様の狭く小さな赤いシート。
それは、まるでオリヲン座そのもの。観る前から気持ちはノスタルジック。
この映像、「ニューシネマパラダイス」を思い出さずにいられない。オリヲン座を正面から撮ったアングル、自転車シーンの多用、検閲で切り取られた「告白」シーンのエピソード・・・
京都の見慣れた景色が、カラーなのにセピアに見える。昭和30年代を知らない人間でさえも、その懐かしさ、切なさに胸が締め付けられる。
「亡き夫松蔵と、彼の遺した映画館を守り続ける妻トヨ、そして夫の弟子であった映像技師留吉の静かな愛情の軌跡」
こう書いてしまうと、安っぽい。
毎朝、だし汁の為の鰹を、削ってやる松蔵の後姿、
毎日フィルムを載せて、留吉が走らせる自転車、
自分が笑っていない記念写真をそっと隠す妻、
愛情に溢れた、キラキラする景色の数々。
そして、特別な感情で結ばれた、松蔵亡き後のトヨと留吉。
初めは、松蔵のお気に入りだったハンチング帽を留吉に渡すものの、「あなたには似合わない」というトヨの、親が子に持つにも似た微妙な情。
確かに松蔵に向けられたトヨの愛情を知りつつ、トヨとその愛を守る為、無償の愛情を注ぐ留吉。
40年から続くこの静かで優しい愛の連鎖は、オリヲン座の最後の上映の日、余命限られたトヨの「告白」で、連鎖ではなく留吉とトヨが互いに愛し合って来たのだと語られる。
嘗て「告白」のシーンをカットされた映画「無法松の一生」の上映を見ながら、トヨが「死んでもいい」と呟く。
まだ日本に「愛」という概念の無かったころ、二葉亭四迷がI love you.にあたる言葉を「死んでもいい」と翻訳した話は有名だが、そんな「愛」が奥ゆかしかった頃の、古きよき時代の映画。
(もう一つ、この映画で驚いたのは、若き日のトヨを演じた宮沢りえのオードリー・ヘプバーンさ!
形容詞じゃないけど、そういってもいい位、目を引いた。
本人も意識しているのだろうが、時代劇映画などで見せる古風さとは違う、なんとも言えぬ、儚さと共存する凛々しさに目が釘付けになった。)
オリヲン座からの招待状 | |
宮沢りえ 宇崎竜童 田口トモロヲ おすすめ平均 微妙な感情表現や気持ちの揺れを味わって 映画そして映画館好きならたまらない作品。原作とはかなり違います。 昭和30年代の静かな京都西陣の風景 映画からは郷愁すら感じました こんな純愛 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
音楽もよかったですよね、ピアノの音がいつまでも耳に残ります。
りえちゃんの今の姿は、あのハツラツとした若き日からは想像できませんでした。
人の顔は、その人の歴史が作るんですねぇ…しみじみ。
ヲリオン座を閉めることについて詫びるシーン。
ただただ自分に与えられた仕事をがむしゃらにやってきた日本人の美しさを感じます。
余計なことを語りすぎず
でも心にしみてくる良い作品でした。
宮沢りえさん、
本当に和製ヘプバーンですね~。
「おおきに」という口癖も素敵でした。