本日東京にてCOPDの研究会に行ってきました。先週末より連日の勉強会であったため、最後ばててしまいましたが、とても有意義な時間を過ごすことが出来ました。
COPDの薬物治療は飛躍的に進歩しました。自分が医師になったころはCOPDの有効な治療はなく、キサンチン製剤などの気管支拡張薬で綱渡りをしていたことが多々ありましたが、現在は長時間作用型抗コリン剤(LAMA)、長時間作用型β2刺激薬(LABA)、そして近年合剤(LAMA/LABA)が多種類上市され、COPD治療の選択肢が大分広がりました。この勢いですと、まだまだ治療は進歩しそうですね。その反面今まで重症のCOPDに使用していた吸入ステロイド剤(ICS)の位置づけが変わってきました。以前は増悪を繰り返す重症COPDに対してLAMA、LABAにICSを加えて3剤治療を行っていました。最近のエビデンスとしてICSを中止しても増悪の頻度に差がなく、またICSによる肺炎リスクなどを考えると症例を限定して使用すべきとの見解になっています。ではどうようなグループにICSを使用するかというと、気管支喘息合併症例すなわちACO症例には積極的に使用していく、それ以外ではICSしない方がいいとのことです。とても衝撃的なエビデンスでした。では、本当にCOPDにICSが意味がないかというと、実臨床では有効であった症例がいるのも事実だと思います。では、そのような症例はどのように探すのでしょうか?本日の講演にてICSが有効なCOPD症例は、ACO以外には好酸球性気道炎症の症例だと解説してもらいました。好酸球性炎症をどのようにスクリーニングするか?一番手っ取り早いのが血中好酸球数(300/μl以上)ではないかとのことでしたが、血中好酸球増多が本当に好酸球性気道炎症を反映しているかというとそうではないのも事実かと思います。我々はCOPD症例にICSを追加するためには好酸球性気道炎症をきちんと証明しなければいけません。どのように証明するか?まずは頑張って喀痰細胞診にて好酸球の程度を評価するのは重要かと思います。最近は呼気NOが好酸球性炎症を表しているわけですから、呼気NOの評価でもいいかと思います。
COPDガイドラインにて述べているICSの位置づけではないのではないか?というのが自分の感想です。
COPD症例にICS追加すべき症例を1例でも探すために、喀痰細胞診(誘発喀痰がいいでしょうか?)、呼気NOのチェックを忘れないでいていただけたらと思います。これからのさらなるデータの蓄積に期待しますね。
写真は6年前の11月3日に撮影した上高地の河童橋です。雪と紅葉がうまく混ざり合いとてもきれいでした。今の上高地、紅葉はどうなのでしょうか?これからでしょうか?