恥を知れ

サディスティック・サディーの生かさず殺さず日記

5/24

2015-05-24 19:43:34 | art

歌川国芳展(前編)行ってきた

訳あって国芳一門には若干の親しみがあるのよね
そうでなくとも
裸の人間を組み合わせて顔にしたやつとか
でかい鯨とか骸骨とか
見ればああと思う絵の多い浮世絵師ではあるが

実家が染物屋だったとは知らなかった
おかげで人物の着物の柄はたいへん繊細で凝ってるらしい
らしいというのは他の絵師がどんなだか知らないので自分で比較できないからだが
光琳は実家が呉服屋だったんよね
やはり服飾関係の家に生まれるとデザイン感覚は強くなるのかねえ

しかしまあ画業の幅の広いこと
老若男女おばけ動物SFアクションから風景まで
浮世絵師ってみんなこんなにいろいろ描くものなのか
国芳が特別多いのかわからんが
これほど奇想という言葉の似合う絵師もそういまい
肉筆なら若冲、浮世絵なら国芳ってとこかしら

あと猫
隙あらば猫
美人画にもさりげなくねじこんでくる
まあどちらがいいかと問われれば猫ありの構図の方が断然いいんだけどさ
国芳の美人はどこかおちゃめで愛嬌があるよね
ただ綺麗なだけじゃなく粋な感じ
藍摺の美人画すごくよかった
青と赤の2色しかないのになんともすっきりして美しい

モンスター退治系の絵はやっぱり一番テンション上がるわあ
巨大な骸骨で有名な「相馬の古内裏」とかね
前を歩いていた親子連れに「肋骨多すぎ」って突っ込まれてたけどねw
確かに多いw
滝夜叉姫という言葉だけで興奮した愚かな現代人をお許し下さい国芳先生
でもナルトファンの少年少女が喜びそうな元ネタもいくつかあったよ
…いや喜びはしないな聞いたことある程度かな
自来也とか鬼童丸とか
などともだもだ考えてたら別の親子連れが妖怪ウォッチの話してて
ああもう今はそっちなのね
と完全に乗り遅れていることを思い知る
妖怪ウォッチ全然知らないけど九尾の妖狐がいるのね
さすが大物だ玉藻前

モンスター退治といえば
海で怪物と格闘みたいな絵が結構多いけど
どうみてもホワイト飛ばしてるように見えるのがあって驚愕した
摺りで白く抜いてる感じじゃなくて
あれは絶対あとから白い顔料を飛ばしたんだろうっていう
目の細かい金網かなんか使えば技術的に難しくはなかろうが
それってもう浮世絵じゃなくないか
摺り終わったあとでそんなふうに手を加えることってあったんだろうか

海といえば波を白く鉤爪のように表現したのは北斎の発明だそうだが
北斎が砕け散る波頭の表現にこだわったのに対し
国芳は力強いうねりの方に惹かれていたようだという解説が興味深かった
確かにそういうダイナミックで躍動的な線が多い
北斎については憧れ私淑していた時期もあったが
入門は断られたという可哀想なエピソードも
北斎先生なんで断っちゃったんだろう

蔦重が没した年に生まれ黒船が来航した数年後に亡くなる
ってのもなんだか象徴的な気がしますなあ
まさに江戸最後の浮世絵師って感じ
爛熟を味わい尽くして
本格的な動乱が始まる前に
弟子の代になると明治にかかっちゃうからね

人物でも風景でも
どこかしらに洒落やひねりがあって
もうそうせずにはいられない性分みたいなものなんでしょうなあ
これぞ国芳

後編も行く


 

コメント
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