ゴングの魔力

十代で世界制覇することに執着していた亀田選手。
ボクシング亀田選手の試合を初めてテレビ観戦した。
滅多に見ることがないから、その前のボクシングの試合を見たのは誰だったかも忘れてしまった。
こちらはそれくらいの素人。

イメージと違って、ガードというのか、グローブで顔を始終隠すようなスタイルだった。
相手の選手の方がまともなパンチをもらっているようにも見えたけど、彼はすごくタフで、亀田選手は地味にダメージを受けていたのだろうなと思う。
相手はきっと人生の大半を殴られてきたのだろう。
ただ、11Rで亀田選手がふらついていたとき、相手の外国人選手がもし日本人だったとしたら、ワールドカップのときのように「打て！なんで打たないんだバカヤロー！」みたいに騒いでいただろうと思う。
なんだかおとなしい選手に映った。

判定を聞いたときはそんなものかと思ったが、一夜明けたらスポーツ紙から一般紙からこぞって亀田バッシング……いや違う、ジャッジへの批判。
それに驚いた。
一般紙が「仰天判定」なんて見出しつけたら、ああ、やっぱりそうなのかと思ってしまう。
玄人目に見てもっと庇護する人がいてもよさそうだが。

だいたい、この試合のいきさつからして、ボクシングってこんなものかと思ってしまう。
ライトフライ級の王者がベルトを返上したことによって空いた席。
相手選手は階級を上げ、亀田選手は階級をひとつ落としての王座決定戦。
おそらくは二人ともその階級で試合をしたことがないと思うのだが、なぜかライトフライ級1位と2位にランキングされていて、どんな基準なんだろうかと、素人には全くわからなかった。

そんな二人が戦って、勝った方がチャンピオン。
具志堅用高さんがいってたけど、チャンピオンからベルトを奪ったわけじゃないから、防衛してこそ真のチャンピオン。それまでベルトを返上するな――。

3階級制覇前にぜひ防衛戦を。
相手選手に挑発するより、マスコミに挑発した方がいい。
TBSと喧嘩したって、実力があれば他のテレビ局がこぞって放映権を買い取るよ。
まだ若いから、いくらでもベルトをかけた試合があるんだからね。
ゴングが鳴ったときに闘争心が残っているのなら、KOだって、泥臭い試合だって、どっちだっていい。
12R、あれだけ集中して観戦させたのは事実だ。