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新国立劇場 オペラ『アラベッラ』観劇まとめ~オペラ初心者にもオススメ!~

2014-06-23 | 主人のこだわり・クラシック&本棚

主人の観劇記事です。その他の記事は、カテゴリー『主人のこだわり・クラシック&本棚』をどうぞ


個人的にオペラはほとんど聴きませんが、どういう縁か『アラベッラ』だけは別です。これまで日本で行なわれた4公演は漏れなく聴いています

ここで簡単にまとめてみましょう。

    

 『アラベッラ』について

作曲R・シュトラウス台本作家ホフマンスタールとのコンビの最後の華です。

オペラというと、悲劇的な壮大な舞台を連想してしまいますが、『アラベッラ』にはそのような要素は皆無、オペレッタ的な「おかしみ」を多分に含んだ、気品漂うオペラです。

 

(あらすじ)

財産を湯水のように使い果たした没落貴族のヴァルトナー伯の一家は、ウィーンのホテルでの暮らしを余儀なくされていた。

伯の最後の野心は、娘のアラベッラを金持ち貴族と結婚させて自らの家名を保つことだった。

伯はクロアチアの旧友にアラベッラの写真同封の手紙を書き、見合い結婚を申し出るが、時にその旧友はすでに世になく、代わりにその手紙を読んだ甥のマンドリカがアラベッラに一目惚れし、結婚の申し出にウィーンに現れる。

アラベッラもマンドリカの熱情に打たれ、たちまち相思相愛に陥る。

二人は結婚への道を歩み始めるが、そこに水を差す出来事が起きることになる。そうとは夢にも知らぬアラベッラの独身最後の華やかな社交界の宴が始まろうとしていた──

 

最初の2回と続く2回は演出・美術・衣装が異なり、まるで違う印象を受けます。

 

最初の2回

演出:鈴木敬介 美術:パンテリス・デシラス 衣装:エルニー・クニーペルト 字幕:平尾力哉 指揮:若杉弘 管弦楽:東京都交響楽団&東京交響楽団

ウィーンの衣装と舞台装置を借りた、ある意味引越し公演のような雰囲気でした。基調は上品で高雅、字幕もそれに合わせて立派でした。

 

1998年9月20日 15時~(二幕目と三幕目の間は休憩なし)

恥ずかしながらこの記念碑的公演については、あまり費やす言葉はありません。Z席観劇だったこと、眠気との戦いだったこと、の二点に集約されるでしょう。

踊り子たちの華麗な舞で始まる二幕目の艶やかなオープニングが印象的でした。

 

2003年2月8日 15時~

98年と同演出での再演です。一幕目のアベッラとズデンカとの有名な二重唱は、日本人には少し歌うのが難しい曲のように思えました。

最も感動的だったのはやはりラストの階段を下りるアラベッラのシーンでしょう。

「私は私以外のものになることはできません。ありのままの私を受け入れて下さい」と続く歌詞

情緒の濃やかさが良く出た歌唱だったと思います。最後は階段の下でマンドリカが愛のポーズを取り、幕となりました。

以上二回のアラベッラ役は大倉由紀枝さんでした。

 

2010年からの新演出

演出・美術・照明:フィリップ・アルロー 衣装:森英恵 字幕:増田恵子 指揮:ウルフ・シルマー(2010年)、ベルトラン・ド・ビリー(2014年) 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

 

2010年10月11日 14時~(二幕目と三幕目の間に休憩あり)

新演出ということで期待したのですが、全体が青づくめ、窓から見える雪の効果が印象に残っているくらいで、大雑把な舞台だったとしか言えません。演出が変わるとこうも内容が変わるのかと痛感しました。

しかし、前二回に比べ、設定がより現実的になった(ホテルの空間を強調)、アラベッラもマンドリカも夢物語の恋人同士ではなく、より実在感を増したと言えるでしょう。

その意味で前二回の雰囲気を期待した向きには不評だったと思います。アラベッラ役はミヒャエラ・カウネ

 

2014年5月31日 14時~

だいぶ演出がこなれてきたなと思います。

青の色彩もどぎつくなくて良かったです。細かなところまで演技が行き届いていて、全体がとても張りがありました。

ヴァルトナー伯爵のトランプのいかさまが疑われ、身体検査をされるところとか、マンドリカの手下のコサック兵の動きとか、ステージ空間に隙がなく、飽きさせない舞台でした。

一幕目の姉妹の二重唱は見事でした。

ロングトーンでの声量の維持は外国の方(アラベッラ役:アンナ・ガブラー、ズデンカ役:アニヤ=ニーナ・バーマン)ならではです。ラストの誓いのシーンも生身の人間らしさが出ていたと思います。

すべてが奇麗事では済まされないだろうというアラベッラの強い決意が歌に現れていました。

指揮はN響との共演が記憶に新しいド・ビリー。歌唱の旋律のところでテンポを落とし、歌いやすくする配慮が行き届いていたと思います。個々の動機主題の表出も見事でした。

 

この四回の観劇を通して、舞台を複眼で見て様々に楽しめる素地をいくらか養えたかなと思います。



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