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『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』 at TOHO シネマズ シャンテ in 日比谷

2014-07-25 | 主人のこだわり・クラシック&本棚

『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』

2014年7月12日(土)TOHO シネマズ シャンテにて鑑賞

 

出演

ニコロ・パガニーニ……デイヴィッド・ギャレット

ウルバーニ………………ジャレッド・ハリス

シャーロット・ワトソン……アンドレア・デック

(監督)バーナード・ローズ(『不滅の恋/ベートーヴェン』など)

 

あらすじ

若きパガニーニは酒、女、薬物と放蕩三昧、ギャンブルでは負けつづけ、慢性の金欠状態に苦しんでいた。ヴァイオリニストとしての成功もまだまだ遠い。しかし愛息は自分と同じ音楽家に育てるべく、是が非でも養育には金を注ぐ必要があった。

ある日、そんな彼の前に謎の興行師ウルバーニが現れる。自分と手を組めば演奏家としての成功を保証するという。半信半疑だったパガニーニだったが、家庭の事情を突かれ、ついに契約に同意する。

その時からパガニーニの躍進が始まり、名声はヨーロッパ全土に広まる。その名声を聞きつけたロンドンの劇場専属の指揮者ジョン・ワトソン(?どこかで聞いた名前)は、劇場の窮状を救うため、私財を投げ打ちパガニーニと契約を結び、招聘コンサートを開こうとする。

霧の都ロンドンへお忍び姿で渡航するパガニーニ。彼の行く先々は、スキャンダルに飢えたジャーナリスト、不道徳なパガニーニを追い返そうとする女性団体などでごった返している。仕方なしにワトソンの家に身を寄せることになった彼は、そこで歌手志望のワトソンの娘シャーロットと運命的な出会いをする。

ここに世紀の大ヴァイオリニストと可憐な歌姫との恋が始まろうとしていた──

 

感想

音楽への没入と愛欲への耽溺、いわゆる聖と俗を併せ持つ絶倫の大芸術家を現役ミュージシャンのギャレットがどう演じるか、関心がありましたが、演技に深みがなく一本調子になっています。

脚本が優れているだけに残念な結果です。俳優としてはプロではないから、大方そんなものだと言ってしまえば、それまでですが。ただ、ギャレットがそんな感じですから、彼を取り巻く俳優人の輝きは見事です。ギャレットという媒体を通して他の俳優の演技を愛でる、そんな楽しみ方のできる映画だと思います。

悪魔の化身ウルバーニ役のジャレッド・ハリス、うら若き乙女から歌姫へと成熟するシャーロット・ワトソンを演じきったアンドレア・デック、やり手の女性ジャーナリスト役のジョエリー・リチャードソンなど。彼らの演技が深く印象に残ります。

また霧のロンドンのセットが見事です、その霧が屋内にまで入り込み、薄く煙る画面となっているのが印象的です。当時の劇場の雰囲気もいい。マナー知らずの聴衆とステージがやんやと盛り上がる雰囲気が楽しいですね。

実際のパガニーニは歌手付オーケストラを率いる座長みたいな方だったのではないでしょうか。聴衆の心を捉えるツボを心得た当代一流のエンターテイナーです。そのためには単にヴァイオリンの超絶技巧(速いパッセージ)を見せびらかすだけでは駄目で、覚えやすく耳に心地よい大衆向け旋律、叙情的旋律で聴衆の心をぐっと捉えたのだと思われます。

またその旋律は歌曲と繋がりがあります。だから、実際歌手が歌ってヴァイオリンが伴奏に回るというステージもあったでしょう。映画でもシャーロットとパガニーニが掛け合うそのシーンは見所となっています。

 

参考曲

手元にはヴァイオリン協奏曲1番のディスクが数枚ぐらいしかありません。その中から、若きサラ・チャンのレコードを挙げておきましょう。バックはサヴァリッシュ指揮フィラデルフィア管弦楽団です。やはり3楽章は心奪われます。

またもう一枚、パガニーニから霊感を受けて作曲された曲(ミルシテイン、シュニトケ、エルンスト、ロックバーグ)を集めたクレーメルのディスク《ア・パガニーニ》を挙げておきます。

またyoutubeで聴ける「カンタービレ」もお薦めです。愛らしい旋律の陰に、演奏者泣かせの凝ったコード進行が隠された傑作小品です。

 

 



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