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猫の同居人のつぶやき

猫との日常をつぶやいています。

ある夜

2007年02月04日 | 認知症と障害と医療と家族と
80半ばのご主人が入院でくにゃくにゃになった。
そのリハビリで入院が長引いている。
くにゃくにゃがどうにか付き添えばよちよちと歩けるようになった。
高さの合う椅子と手すりのあるベッドと手すりがあり、帰りたい気持ちがあってやっとの、奮闘での歩行だ。

ドクターからひょっこりと外泊の許可が出た。

本人はたいそう喜んだ。

けれど、奥様は不安の中に居た。
間の悪いことに、頼みの息子さんは入院中だ。
背の高いご主人様は痩せてはいても支えて歩くには奥様は小さすぎた。

うちに帰れば、決まった時間の安全なリハビリでなく、生活がリハビリであり、重労働だ。
トイレにも段差があり、奥様では付き添ってできることではなかった。
ゆったりと座れるソファは、今のご主人には立ち上がれない椅子、体を起こそうとするとお尻が滑って滑り台のようにカーペットの床に寝転んでしまう。
そしてそうなってしまうと、お手上げのふたりだった。



電話が鳴り、いつもは取らない受話器をふと取った。

ちょっと来てくださる・・・


お大根が煮えたから持っていこうか、頂き物が手に余るから分けるわよ・・・

ちょっと来てくださる・・・の後にいろいろな用件、これまでは嬉し楽しい用件がついていたのだけれど、久しぶりに聞いた電話の声はそんな風でなく、後を聞かずに、

すぐに寄せていただきます。

とこたえた。



ご主人がカーペットの上に転がっている。
起き上がるのを手伝い、ベッドまで歩くのに付き添い、ベッドに入るのを手伝った。

病院からの外泊のいきさつを聞いたのはそのあとだ。


入院生活ではいやおう無い消灯の時間を過ぎてはいるが、まだふたりの生活では眠る時間でもない。久しぶりの家での生活でよっこらしょ疲れたご主人は、見ていたテレビにちょっと未練を残しながらそのままベッドにいた。一時間ごとくらいに奥様を呼びトイレを済まそうとし、3回目にやっと排尿を済ませ、灯りを落とした。

その後のコールが無いか暫く起きて、奥様も明日に備えて眠っておかねばならないだろうに、気が立って眠れない。
話したいことがたくさん胸に積もっている。
おしゃべりをして、笑ったり切なくなったりしてまた時を過ごした。
ひとりになったらうとうととできるかもしれないぐらいの深夜に別れてもどった。

病院まで送り届ける安全のため、かかりつけのドクターは、ドクターが休みの日曜をもう1日自宅で過ごして、ドクターが送り届けることのできる月曜に戻ることを提案してくださったそうだ。

ひとりでは付き添って送っていくことも不安。かといって延ばせば休めるときの無い1日がさらについてくる。

その外泊1日目、夜のできごとだった。


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