介護用車椅子には付き添いがつきものだ。
付き添いあってのお出掛けで自分でお出掛けできる車椅子が座り手主体であるにことなり案外と付き添い主体だ。
座り手が長く参加しているコミュニティなら座り手をコミュニケーションのとれる一個人として扱うだろうがはじめから座り手となって参加した場合残念ながら挨拶も世間話も頭の上の付き添いだけのものになる。
ママも長く参加してきたコミュニティでは介護用車椅子で外に出て . . . 本文を読む
電話の向こうには婦人。
道を聞きたいことと、落し物が届いていないかについてを話しました。
落し物の届なら電話でできるからでしょう、それと整理されていない電話の内容で、
落し物の届けですか?
落としたか、どこかに置いてきたのか、分からないのです。私ではなく、ここまでご婦人を案内してきたものですから。
ちょっと歩いて帰るには遠いと思うのですが、帰る道に迷われたそうで、でも遠くから出てきたのではない . . . 本文を読む
やせっぽっちの妹の髪がいつの間にか伸びている。
ながいこと短くしていたのに髪を切らなくなった。
鏡に映る自分の顔を見て髪を切ろうとかどうしようとか決めていたのではない。
毎日見る母の髪の伸びるのを見て、美容院に誘ったり、母から誘われたりしていたのだ。
互いにそのようなやり取りを重ねてきた長い時間があり、今はその相手がいない。 . . . 本文を読む
送り迎えが不安だから許されなかった外泊が、ただ付き添いをつれてきますの一言で許された。病院から出るときのタクシーへの乗り込みを看てはもらえないらしい。介護タクシーが、玄関までつけたとしてもだめらしい。たかが女1人が迎えに一緒に行きます。一緒に送り届けます。それだけでOKが案の定出た。それなら退院の許可は何だったのだ?退院すればその先で何が起ころうが知らないで済むけれど、外泊では、病院としては困る。ただそれだけのことだ・・・ . . . 本文を読む
桜餅を携えて1人の夜を賑やかしに行ったつもりのその夜、寂しいいたたまれない老女に会った。リハビリも無く、ほとんどベッドで過ごすだけの連休は、さっそく家に帰りたい。迎えたい。その外泊の許可が下りない。 . . . 本文を読む
入院を拒み続けた恩師は、入院では仕方なく受け入れるオムツも、決められて寝て過ごす時間も無く、病床のときもその後も「重労働」の生活を続けもう五年以上。
そしてこの暮れ、またひとつ回復の大きな階段を登ったのだろう。
急にはつらつと元気な動きを見せ、艶のよい顔に変わった。
病み上がりでもなく、介護老人でもない、普通の暮らしの老人にたどり着いた。 . . . 本文を読む
電話が鳴り、いつもは取らない受話器をふと取った。
「ちょっと来てくださる・・・」
お大根が煮えたから持っていこうか、頂き物が手に余るから分けるわよ・・・
「ちょっと来てくださる・・・」の後にいろいろな用件、これまでは嬉し楽しい用件がついていたのだけれど、久しぶりに聞いた電話の声はそんな風ではなかった。後を聞かずに、
「すぐに寄せていただきます」
とこたえた。 . . . 本文を読む
強制把握・強制模索
:上前頭回後部、内側面(補足運動野、帯状回前部)などの病変で生ずる。一般に病変の反対側の上肢に出現する。強制把握は、手掌に物品をのせると指がそれをきつく握って、長時間そのままにしている現象である。手を広げようとしても多くは無効で、広げようとすればするほど把握が強まる。強制模索は視覚刺激によって引き起こされる。患者に物品を握らないよう教示したあとに、物体を患者に近づけると、患者の . . . 本文を読む