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猫の同居人のつぶやき

猫との日常をつぶやいています。

道をきかれて

2010年02月08日 | 認知症と障害と医療と家族と
ふと目が合い、そのご婦人は近寄って、道を尋ねてこられました。

知らない場所でした。ただひと山越えた向うのまだ先だとだけ分かりました。
「私はもともと土地の出ではないので、よく知らないのですが・・・」
「それなら分からないでしょうね。困ったわ。」

その人は鞄一つ持たず、歩いて帰ろうとしているように見えました。
「電車でいかれますか。バスですか。」
ときいてみると、
「いや鞄も分からなくなって、歩いて帰るのだけど」
といわれるのです。
そして、他の人に聞いてみますと離れていかれました。

しかし、どうしても歩いて帰るのは大変すぎます。
そして気になったのは、ズボンもカーディガンも着てはいらしたけれど、カーディガンの下はなんだかパジャマのようにみえたことでした。
遠ざかる姿を見ていると、若い女性に道を尋ねたようで方角だけでよく知らないと言われたようでありました。
つい、後を追い、その方角へといきかかろうかという所へ声をかけました。

「荷物も無くされたなら、どなたかが届けてくれているかもしれないし、道も教えてもらえるだろうから、交番で聞いてみましょうか。交番ならご案内できます。」
「交番はどこですの?」
「ここからは見えませんが、その先の角を入ってちょっと行った先に駅があってそのすぐ隣にあります。ご一緒しましょう。」
そして一緒に歩き出しました。

交番までは10分かもう少しかかりました。
その間に何度か交番はどこかと尋ねられ、そして何度かはどこへ行くのかとも聞かれました。年のことや、兄弟がもう何人か亡くなったことや、商売をしていたころのことや、この辺にはずいぶん若いころ父親に連れられて一度きたきりでよく知らないとか、この辺もずいぶん変わりましたねとか、そんな世間話をしてゆきました。
やはりパジャマにカーディガンで、それでは寒かろうと思い上着をお貸ししました。
遠慮なさるのを、私は出がけに着すぎてきたからとうすいダウンのジャンパーをぬいで腕を通してもらいましたら、これは暖かいと喜んでくださいました。

交番につくとさっそく上着を脱いでありがとう暖かかったわと返してくださいました。
それにしても交番に人はおらず、電話して聞かねばなりません。
ずいぶん歩いて疲れたというご婦人に、この椅子を借りましょうと、そこの机の前の椅子をすすめて、私は電話をしました。

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