goo blog サービス終了のお知らせ 

復活!やまがたの四季と暮らし

東北を転勤し13年間続いた仙台勤務が終了し現在は毎日が山形県人。前タイトル名「山形弁で青森暮らし」から継続のブログです。

中丸山

2010年03月14日 21時01分51秒 | 四季(冬)
連日山形新聞の一面にデカデカ載った雪崩遭難事故。

事故現場とは尾根を挟んで反対側になるライザスキー場から見る中丸山は
真っ白に輝いてます。

この山の反対側の北斜面で山スキーの二人パーティーで一人が死亡してしまう雪崩遭難が
起きてしまった。
ご冥福をお祈りするばかりです。

今回も70歳以上の元気のいい高齢者。

道路での交通死亡事故ならこんなに大きい記事にはならなくても、非日常的な山岳
山スキーでの雪崩遭難死亡事故となるとやはり注目度が高くなってしまう。


スキー場より上部方向、御田神湿原付近から見る中丸山。
こちらからはなだらかな稜線をした穏やかな山に見えるが、北側は急峻。




新聞報道の中に名前があった関係者、専門家の中には雪山訓練の講習や冬山山行とか
厳冬期の鳥海山中二泊山スキーに同行させてもらった人の名前なんかもあったりして、
決して他人ごとではない身近な雪崩遭難となり、捜索状況を新聞等の報道に関心を
持って聞いていました。


赤点線はロープウェイ山頂駅から地蔵岳、熊野岳を経由して中丸山への稜線から
北斜面に進んだ遭難者のルート。
雪崩遭難箇所の北斜面にはルート1か2を進入して行ったかなーという想定ルートです。
青点線は捜索隊のルート
捜索隊はユートピアゲレンデのリフトから観松平付近を横断して蔵王沢に下り
雪崩現場に登り返したと思われる想定ルート。

この熊野岳から中丸山への稜線から北斜面へ下るルートは、半端な山スキーヤーは
間違っても行かないというか手が出ないルートだと思います。
よっぽどの上級者かエキスパートクラスと思っていましたが、やはり大学山岳部のОB
でした。
こんな人でも雪崩に巻き込まれ、即座に救出行動のとれない、結果として生きて
出してやれなかった雪崩遭難事故になってしまうんです。

救助活動終了後に助かった方がいった
「山にすっかり慣れてしまって油断があった」という言葉がすべてでしょう。




新聞に再三書かれてあった、雪崩に巻き込まれた時の対策三大装備
ビーコン、ゾンデ棒、携帯スコップ。
ということは、油断があったと言うこの遭難者は装備してなかったんでしょうか?
表層雪崩のようだったから堆積した雪もそんなに硬くなかったと思うんですが。
実際の捜索でもゾンデを刺して発見したようですし、1.5mの深さなら一人でも
十分掘ることは可能だったと思う。
装備してなかったから場所も特定できず、救出行動もとれず、どうしようもなく
救助要請となったんでしょうか?
山をやっている人は助け合う仲間意識が強いですから、こんなことがあると所属する
会単位で捜索活動に駆けつけます。
どんな状況だったのか気になる所でお気持ちをお察しするばかり。


埋まってしまったら生きて助けるには時間との勝負、即座に救出するための装備です。
(窒息と低体温症から救うには新聞の通り15分で90%の生存率、
20分が境目でしょうか)

デジタル式のビーコン、
通常は発信モードで装着、埋没者捜索時は捜索者全員が受信モードにして距離と方向を
受信しながらピンポイント的に場所を特定していく。



ゾンデ棒
これは組み立てると3.2mタイプの物、ビーコンで特定したポイントに突き刺し
埋没者を突いた感覚で確認する(深さも。)確認したら刺したままにして。



携帯スコップ
コンパクトに分解してザックに装備
すぐ出せる外側の部分にいれておく。体力勝負の使い方ができるようにしたい。




以下は雪崩を想定した訓練の様子。

弱層診断
積雪断面が分かるように掘り出し、指で押し刺したりして弱層と硬い層の有無を確認

解りやすいように塗料で着色しています。
        


雪崩の可能性を判断するハンドテスト法とスキーを履いたままジャンプして刺激を
与えてみる。(ロープで確保して)
  



今回の救助でもビーコンのない埋没者の探索にはゾンデ棒で突き刺しての捜索しかない。
(携帯電話を鳴らして音が聞こえるかもしれないが、可能性は低い)
人数がいるなら横一列に広がりブロック毎上から下に移動しながらの捜査が
確実で効果的に捜索できる。
訓練ではザック等を埋めてゾンデを突き刺し感覚を体感する。
       



二人のうち一人は雪崩に巻き込まれず助かっている訳だから、以上の装備が揃っていれば
救助要請の通報後は、二次雪崩の危険がない限り単独でも捜索救助できるはず。

人数が5・6人と揃っていれば、周辺の監視者、指揮者、探す人、刺す人、掘る人と
役割分担して効率よくスピーディーに行う。

ビーコンで探索中(方向とおおよその距離が解る)
          



ビーコンで位置が確定できればそこにゾンデを突き刺し埋没者を確認します。
「ここ刺せ」
      


埋没者が確認されれば後は掘るのみ!
仲間の命を救うため、一秒を争いそれこそ馬車馬のように掘る(疲れてペースが落ちれば交代しながら)
          



救出後はシートに包んで意識や怪我の確認、必要に応じて人工呼吸。
低体温症で意識がなければ人工呼吸も判断は慎重さが必要。
ちなみに、できれば消防署の普通救命講習Ⅰを修了し救命技能を有しておきたい。
      



コツのいる持ち方で安全な場所まで搬送して終了。
          



先週の船形山もそうでしたが、70も半ばの高齢者。
けっして老人ではない行動力旺盛元気いっぱいの高齢者が当事者。
その行動力には敬意を表しますが、もうそろそろレベルダウンしたらいかがでしょうか。
若い時と同じような行動はもう控えたほうがほうがいいのでは。
特におとなしくして家に居ろという事ではありません。
年齢的な体力低下は明らかな訳ですし、もしもの時は自分自身の救助にも知識と技術は
あっても体力的な継続力は不足するでしょう。
結局は自分の孫のような年代の世話になってしまう訳ですから。


ライザスキー場からの中丸山



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。