2012年、杉井ギサブロー監督作品。
「あの」銀河鉄道の夜以来の杉井ギサブロー監督で例の青猫主演の作品とくれば、否が応でも期待しますよ。
ところが、これはないですね……。
『銀河鉄道の夜』は原作に忠実でしたが、こちらは原作と違うところがかなりあります。
飢饉の冬に妹のネリを連れて行ってしまう人さらいが良く分からない魔法使いのような存在になっています。
そして、『グスコーブドリの伝記』といえば、ブドリが自分を犠牲にして火山を爆発させ、地球の平均気温を上げることによって多くの人を幸せにする、というラストの場面。こここそが宮沢賢治作品の多くで語られている自己犠牲とみんなの幸福という主題を最もよく表している重要なクライマックスだと思うのですが。
ブドリを火山まで連れていくのが例の謎の魔法使いで、火山を爆発させるシーンは一切なし。良く分からないうちに小田和正の曲が流れてきてエンディングとなってしまいます。
一つのアニメ映画として見ればまた面白みや見どころもあるのかもしれませんが、宮沢賢治作品を愛する僕としてはかなり物足りない作品でした。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます