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【縄文】意味不明な「目(日)の字状文」貼り付け土器片・不思議な文様が刻まれた石板~矢瀬遺跡@群馬県利根郡みなかみ町月夜野

2023-03-14 | 縄文・古墳・遺跡・史跡
今回は、群馬県利根郡みなかみ町月夜野にある「矢瀬遺跡」より出土され併設されている月夜野郷土歴史資料館で展示されている不思議な文様の土器片と石板の紹介です。
矢瀬遺跡 利根川の河岸段丘上で発掘された縄文遺跡。今から3500年から2300年前の縄文時代の住居と祭祀遺構、水場など、狭い範囲にこれらの施設がそろって発見されたため縄文時代の集落構造が分かる遺跡として知られている。こちらより引用)
併設されている郷土資料館
資料館に展示されている不思議な文様の土器片

 目の字(と、言うより月?)、日の字の形状にわざわざ象り土器に貼り付けています。
同様な事例があるかどうかWEB上で調べてみたのですが、他での類似例はなくこの遺跡だけで発見された土器片で何を表現しているのか現在でも不明なんだそうです。

もうひとつ不思議な文様が彫られた岩板も展示されています。
白色凝灰岩に彫られています。

説明書きには「祭祀用具」と誠しやかに解説していますが、果たして本当でしょうか?では、当時の人たちはこの岩版をどのような祭祀に使っていたのでしょう?

良く観察すると、特徴的な渦巻文様を描いたものが多くデザイン的にも対になっていたり美しいものが多いのが特徴です。
固い石板に丸い図形を描く工程を考えた場合満足な道具も無かった時代に、どうのようにして彼らはこのような正確な図形を描いていたのか不思議でなりません。
 渦巻文様は土器や土偶などで良く目にしますが、ではその意味に関しては一般的には「水や蛇」を意味していると言われてはいますが、では具体的に縄文の民たちがこれらの遺構を介し託したものは何だったのでしょうか?
研究者の見解では「雨乞いや子孫繁栄」と言うありきたりな解説が一般的になっていますが、何かしっくりこないのが正直な感想です。
 では、これら複雑な文様は何を意図しているのでしょうか?
自分は、それはズバリ人と人との「コミュニケーションツール」だと思っています。「縄文時代に言葉や文字は無かった」と、言うのが一般常識となっていますが文字と言う概念ではなく抽象的な記号や図形などを用いて、人と人との伝達手段だと思っています。

 日本で最初に縄文土器の文様に意味があると断言した在野の考古学者「武居幸重」氏は具体的に土器と文様を示し縄文土器の文様の意味を述べ「文様は記号である」見解を述べています。


(出典:続縄文心象 武居幸重著 1992)
氏はこれらの土器などに描かれた共通する図形とそれに対する意味をルール化することにより縄文の民たちに共通した認識を持たせるインデックスであるのではないか。と、述べています。
 これらの図形や記号に何かしらの「意味を持たせる」手法に関しては、論者の主観が伴うものでこじ付けと言われれば、元も子もないですが土器や土偶、今回紹介した岩板などに描かれた共通した文様は、やはり何かの意図を持って描かれているのは明らかであって、それが人に見せることを前提に描かれている事が重要であると考えます。
現在では、これらの記号がそれぞれ意味するものに対しては異論があるにせよこの考え方は一般的となっているようです。
人との「共通した認識を共有する手段」だった事に関しては、異論は無いと思います。
(撮影:2007.5)


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