ラストショー 喧嘩上等より
<演目>
質屋の娘
質屋の清兵衛(新吾座長)にはお福(かずま座長)という娘がいる。
小さいころの病気がもとで、少し頭が弱い。
その娘も適齢期。最近好きになった人がいる結婚したいと父親にうちあける。
手代のしんじろう(まことさん)だ。
父親としては、何とか娘の望みを叶えてやりたい。
しんじろうに、店その他全ての財産をあげるから、お福と夫婦になってもらえないか、
と頼む。考えさせて欲しいというしんじろう。
主人からのたっての望みのため、根負けして結婚を了承するが、
実は女中のおさよ(かなさん)と恋仲である。
そうこうするうち、おさよの兄(心座長)が田舎からでてくる。
病気の父親の薬代をおさよに何とかしてもらいがために。
頼まれたおさよではあるが、そのような大金を用意できるわけもなく、
持ち合わせのお金を渡して兄に帰ってもらう。
一旦は帰ろうとした兄だが、誰もいない店先に大金があったもので懐に入れてしまう。
ところが、足の不自由な兄は転び、店の者に見つかってしまう。
事情を聞いた主人は、よく働くおさよに免じて兄を許してやる。
それで話は収まったのだが、奉公先に迷惑をかけたとしておさよはいたたまれない。
書置きを残して、店を出て行く。
それを知ったしんじろうは、おさよを追いかけようと必死だ。
事情が分からないお福は、しんじろうと結婚できると大喜び。
しんじろうに自分が好きかと何度も問うが、何度も返ってくる言葉は「大嫌い」
さすがのお福も意気消沈。
お福の失恋。父親に「お福の頭はいつ良くなるの?」という言葉。
返事に詰まる父親。というお話。
全くの童女、お福を三代目かずま座長が面白可笑しく演じてられました。
新吾座長のアドリブも楽しくて、笑い通しだったのですが、
物語の最後、どうすることもできない現実、「大嫌い」とお福が言われる度、
切なすぎて涙が溢れてしまいました。