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和解の象徴、ベルリンの壁が台北に

2009年07月25日 22時49分37秒 | 台湾観光旅行

ドイツ・ベルリン近郊のOberhavel県は台湾と長期にわたる友好的な関係を続けている。台湾の228事件紀念基金会の陳錦煌・董事長は今年4月に同県のKarl-Heinz Schroeter知事を表敬訪問した。すると、Schroeter知事は、228事件国家紀念館にベルリンの壁の遺跡を寄贈して、同県と台湾の友情の証にすることを申し出た。

現地では721日に寄贈式典が行われた。Schroeter知事は、「ベルリンの壁は歴史の重要な象徴だ。本物はもう残り少ない」とした上で、228事件の犠牲者を追悼する紀念館に納められることはOberhavel県にとって光栄なことだと述べた。(上の写真は寄贈式典のもよう。左が中華民国の魏武煉・ドイツ駐在代表、右がSchroeter知事 写真:CNA

228事件紀念基金会に代わって目録を受け取った、中華民国の魏武煉・ドイツ駐在代表は、「この壁は目に見える壁も見えない壁も打ち破れる可能性があることを象徴している。また、台湾の人々に、自由民主と人権の価値を守り続けなければならないことを常に気づかせてくれる」と述べて感謝した。

198911月に起きた「ベルリンの壁の崩壊」。翌年10月のドイツ統一までに一部を除いて相次いで撤去され、記念碑として残された場所はドイツ旅行で必ず訪れる観光スポットとなっている。Oberhavel県はこれまで、アメリカ、フィンランド、オランダに壁を贈っている。

228事件は1947228、当時の国民党政府が戦前から台湾に住む人たちを武力で弾圧した大規模な迫害事件。多くの人が殺害、投獄されたことで、いわゆる「外省人」(戦後に国民党政府と共に中国大陸から移り住んできた人たちとその子孫)と「本省人」(戦前から台湾に住む人たちとその子孫)との間に深い溝を作った。この事件は台湾におけるエスニックグループ間の対立の元であり、わだかまりは今も存在する。

中華民国政府は李登輝・総統の時代にこの事件について正式に謝罪、犠牲者や遺族に対して名誉回復や補償を行っている。228事件国家紀念館の設立もこの一環で、同事件に関する調査や研究、資料の展示をすることで、犠牲者への追悼やエスニックグループ間の和解に取り組んでいる。ここに、東西ドイツの和解を象徴する「ベルリンの壁」が納められることは意義深い。

(この壁が台北で見られることに。 写真:CNA

台湾に贈られた壁は高さ3.5メートル、厚さ20センチ、重さ2.5トンで、台湾の海運会社・エバーグリーンがハンブルグから直接台湾に運ぶ。到着後は台北市南海路にある228事件国家紀念館の所蔵品となり、壁崩壊から20年となる119日に公開する予定。

ベルリンの壁は「かけら」が土産品になっているが、外国で壁がそのまま見られるのは珍しい。119日以降、台北を訪れる人にはぜひ見てもらいたいと思う。(U

 



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