台湾を旅行する時、おそらく誰もが訪れるのが台北でしょう。そして、もし地方まで足を伸ばすとなると、台北郊外か、もっと遠くなら南部の都市・高雄や、中部や東部の山あいの観光地へ、という方が多いのではないでしょうか。
中部の台中市は台湾第三の都市と言われているのですが、通り過ぎるだけの人が意外に多いようです。
でも、もしも時間に余裕があるなら、ぜひ台中での途中下車もオススメしたいところです。
台北ほど発展しすぎておらず、また高雄のように完全な地方都市でもなく、歴史的古さの中に後発都市らしいダイナミックで新しい近代的雰囲気を感じる街づくりが印象的です。
距離的にもちょうど台北と高雄の真ん中に位置しているため、台湾新幹線こと台湾高速鉄道開通と前後して、「台北の都会暮らしはちょっと苦手、でも高雄まで行くと離れすぎ」という富裕層の台中転居も一種のブームになっています。
また、「程よい都市」として、全国展開を狙う新手のショップなどがアンテナの意味で一号店を台中に出す事も多く、実は様々な流行の発信地でもあるんです。
さて、そんな台中歩きで外せないのは、やっぱり台中市役所でしょう(上の写真)。
歴史を感じさせる趣ある建物は、ひと目で日本統治時代のものと分かります。
この建物は、1912年(大正元年)に、当時の台湾総督府が「台中州庁舎」として建設を始めました。
L字型の二階建てで、当時の台湾を代表する大型現代建築の一つ、中部のシンボルでした。
現在は部分的に増築などがされていますが、当時の基本建築はほとんどそのままです。
台北や高雄などの市政府庁舎は新しい近代的なビルになっていますが、ここは、およそ100年もの間ずっと、台中の行政の中心を担い続けてきています。
現在の台中市役所の中庭
台中市役所では基本的に一般参観は行われていないのですが、市政府でのイベントがある際にはこの中庭などが開放される事などもあります。
また、夜には庁舎のライトアップが行われており、闇夜に浮かび上がるその荘厳な様子は市民にも観光客にも好評です。
台中市は、今年12月25日から、台中県と合併して新たに「台中市」として生まれ変わる事が決まっています。
合併に伴い倍増する人員や業務に対応するため、現在市内の別の場所に、新・台中市役所の庁舎が建設中です。
合併後の業務は段階的に統合していくため、現在の庁舎もしばらくはご老体にムチ打って(?)現役をつとめるようですが、いずれはその役割を終える事になります。
この建物は、2006年には市政府指定の古跡となっており、市役所でなくなった後は、記念館や文化館として活用していく予定だそうです。
台中市内にはそのほか、1917年(大正6年)に造られ、今も現役の鉄道駅(台湾鉄道台中駅)や、2003年10月28日に満100歳を迎えた、大きな湖を囲む台中公園など、様々な見どころがあります。
皆さま、機会があったらぜひ、台中市を訪れてみてはいかがでしょうか。(華)
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