風の回廊

風を感じたら気ままに書こうと思う。

政権交代の終焉

2010年11月07日 | 日記
菅内閣のやることなすことに、ストレスが溜まって酷い状態の今日この頃。みなさんいかがお過ごしですか。今日の記事は結論から言えば、菅内閣倒閣!です。

第二次菅内閣発足後、まず尖閣問題で混迷し、事件発生直後、ロシア・メドベージェフ大統領が国後島訪問を決定。それも9月の終わりの訪中中に最終決定したらしい。尖閣問題で出口が見えない菅内閣を見下し、チャンス到来といったところだろう。そして実行。
まず外交で、マイナス20ポイント。いや、領土問題ということの重大さを考えれば、それぞれマイナス20ポイント、合計マイナス40ポイントが妥当かな。

内政では、上げればきりがないんだけど、参院選の消費税と同じようにほとんど審議なしにTPP参加を言いだしたことだけでマイナス5ポイント。輸出で利益を出している自動車、IT産業などにとってはチャンス到来だが、もしTPPに参加したら参加条件にもよるが、農林水産業者は、壊滅的打撃を受けるだろう。北海道農林部の試算によれば、75%の農業者が甚大な被害を受けるという。
最先端の技術と合理的な農法で日本ナンバー1の北海道ですら、こうした状況が推則されるのだから、日本全体の農林水産業で考えれば、壊滅的打撃になることは容易に推測できる。格差社会がますます拡がる。農林水産業の安定的発展は、食と従事者の生活の面の安定だけではなく、自然環境を安定させる効果があるのです。銭金だけの問題じゃない。
農林水産業にセーフティーネットが、全く不十分な状態でTPPに参加しようとする姿勢にマイナス20ポイント。参加したらマイナス40ポイント。

09マニフェストで掲げた、企業献金禁止を3年後から実施するのだから、公約違反ではないと言って、企業献金を再開した菅首相にマイナス10ポイント。公約違反云々ではなく、目的への姿勢が問われているのですよ。こんな鈍感な首相は、愛人に月30万円ぽっちの手当しかを出さなかった宇野首相以来だろう。曲がりなりにも一国の首相ともあろうものが、月30万円しか出さないなんて世間知らずも甚だしい。認識度としては変わりないような気がする。

それはそれとして、さらにAPEC横浜を直前に、テロ対策資料が流出してしまいました。いかに平和ボケしているとはいえ、敵に塩を送るどころか、丸裸になったのも同じですよね。こんな国家的危機管理の不十分さにマイナス10ポイント。

国家的危機管理問題と言えば、尖閣事件のビデオが流出しましたね。それもyoutubeへの投稿というところが政府は頭が痛い。コピーが繰り返され手の施しようがなく、世界中に拡がっちゃったもんね♪
詳細は言いません。良し悪しにも触れず、黙ってマイナス20ポイント。

もう処置なしで頭を抱えるしかない政府ですが、尖閣問題の海保の担当大臣である馬淵君は、本日、事実上の八ツ場ダム建設中止を撤回。
八ツ場ダム建設中止に奔走し、当時の鳩山幹事長に橋渡しした、グループの一員の僕としては、マイナス100ポイントと言いたいところだけれど、それではあまりにも感情的過ぎるからマイナス15ポイント。

さて今のところ、マイナス点はいかほどになったでしょうか?
ざっと数えるとマイナス120ポイントになるが、これを埋める成果は見当たらない。

特別会計の事業仕分け?……上杉隆(ジャーナリスト)は、植木の剪定のようなものと言い、岸博幸(大学教授)は、本工事前のどぶさらいだという。経済評論家の上念司に至っては、プロレスだという。言いたいことは、根幹に迫ろうとしない財務省主計局主導によるショーだということだろう。見た目がよければ国民は納得してしまうんです。これまでの事業仕分けで一番得したのは、我々ではなく、国会議事堂でひとりファッションショーをした蓮舫であることに異論がある人は少ないと思う。
事業仕分けで浮かせても、消費税を上げたのではお話になりません。

ということで、事業仕分けもマイナスポイントか?

そして最大のマイナスポイントは、前原外務大臣そのものである。
前原は「尖閣問題は1mmも後退させない」と言い切った。
尖閣諸島は、日本の領土であり、実効支配していることについてまったく異論はないが、中国と領有権を巡る係争地であることは、双方認識している。さらに、78年に時の中国の最高指導者、小平が来日した際、「尖閣問題は次世代に任せましょう」と“尖閣列島問題棚上げ論”を政府に言及し、以来、係争地ということもあり、政治的対応をしてきたのが、日本政府の尖閣諸島を巡る現実的対中外交の基本だった。
今回は、日本の国内法で臨んだために中国は、余計に憤慨したらしい。もちろん、非はどちらにあるのか?と言えば、明らかに中国の漁船に非があるのだが、最近、日中漁業協定が、クローズアップされ(東京新聞『こちら特報部』問題提起され、事実上世に出る。政府も他のメディアにも触れようとしない。この件に関する報道について、尖閣問題の報道についてマイミクのSamさんが、解りやすく述べているので是非読んでください。僕の長~いコメントも読めますよ♪
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1615354180&owner_id=550315)

中国漁船が、海保船に衝突するシーンだけ見れば、非の元は解決済みという話ではなくなってきた。政府は日中漁業協定を踏まえ、再検証しなければならない。

“棚上げ論”について前原は「小平が勝手に言ったことで、日本政府が合意したという資料は存在しない」と言い切り、さっさとクリントン米国務長官の下へ旅立つ。
ところが、元外務省国際情報局長の孫崎享氏によれば、「存在しないはずはない」のである。「ある」と言うのだ。

「ない」と言いきった前原は、9月の終わりに米政府高官から「尖閣諸島は、日米安保条約5条の適用範囲」という言葉を導きだす。この時クリントンが言ったという報道だったが、クリントンは言っていない。
さらに政府高官は「日中双方で協力し問題の早期解決を望む」とこちらの方を強く言っている。
なぜなら「尖閣諸島は、日米安保条約5条に適用される」というアメリカの声明は、沖縄返還で尖閣諸島が日本に返還されて以来、ニクソン政権からオバマ政権まで変わらぬ姿勢だからです。

そして重要なのはこの声明が何を意味しているか、ということです。
あたかも、中国が尖閣諸島に武力的行為に出た場合、尖閣諸島で日中の武力衝突が起こった場合、日米安保5条に則して、米軍が助けにくると思うでしょう。
しかし残念ながら、米軍は助けにきません。米政権が繰り返すこの言葉の意味は、「尖閣諸島に対しては、アメリカは中立である」という意味の声明なんですね。アメリカは日本も重要なパートナーだけれど、中国も重要視しているし、外交、経済、軍事力といった戦略では、日本より上です。
尖閣列島がどうなろうが、アメリカはどっち着かずの高みの見物です。
中国を相手に日本を助けませんよ。これは世界の常識です。
外交で使う言葉は、そのまま受け取れない微妙な意味合いが込められているのです。
日米中ともこのことに関しては、ニクソン政権以来ずっと認識しています。知らぬは国民ばかりなり。

さらに05年に交わされた『日米同盟―未来のための変革と再編』では
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/henkaku_saihen.html
「日本の島嶼部の防衛は、日本が行う」と明確に書かれているのです。
極東アジア太平洋地域における日米の防衛は、『日米同盟』に則して行われているのが現実で、日米安保は、『日米同盟』を超えるものではありません。
このことについて、これまで何度か書いてきましたが、『日米同盟』を読み理解せずして、日本の防衛は語れないし理解できません。難しく書かれていないのでお薦めします。
もちろん、前原も菅もメディアもそのことは知っている。でも、本来の意味を国民に伝えようとしません。
前原に至っては、先日ハワイでクリントンからも同じ言葉を導きました。
まるで英雄気取りです。

ではなぜ、前原はこの機に執拗に、ニクソン以来変わらない声明を欲しがるのか?
日本国民向けの前原戦略です。
「アメリカのご加護があってこその日本の防衛ですよ」。とこれまで以上に印象ずけることが前原には必要でした。尖閣向け世論の高揚はもちろんですが、沖縄の基地問題でも辺野古移転でも世論が必要です。
「米軍は日本にとって必要不可欠、辺野古で許容しましょう」
「思いやり予算も米軍は現状以上に必要だと言っています。大幅削減が民主党の姿勢ですが改めましょう」
こんなふうに言いたくてたまらないのが、見え見えです。
現に前原は、思いやり予算を巡る日米実務者審議のかなり早い段階で、ルース米大使と会談し
「思いやり予算の減額に日本政府はこだわらない」と発言しました。
そして現状維持がほぼ決定……

尖閣問題を前原らしい魂胆で利用しているのです。
喜ぶのはアメリカだけなんですけどね。
そんなことばかりに集中しているからロシア大統領の国後訪問では、手も足も出ず……
尖閣問題は、ビデオの流出をもってさらに混迷を深めるでしょう。

強行的に煽るだけで、解決の糸口を見いだせない前原にマイナス80ポイント。
こんな内閣を主導している菅にマイナス100ポイント。

よって菅内閣倒閣を今後の政治テーマとします。
政権交代はもはや終焉したのと同じなのだから


最後に尖閣問題について……
いちばん恐ろしいのは、平和ボケした強硬論者が、排他的行動に出ることです。
日本にいる中国人留学生に反日なら帰れ!なんて思っていませんか?

こういうときこそ、寛容と理解が必要なのです。


武井繁明

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「すべては想像力の問題なのだ。僕らの責任は想像力の中から始まる。
 イェーツも書いている。 In dreams begin the responsibilities ―――
 まさにそのとおり。逆にいえば、想像力のないところに責任は生じない のかもしれない。
 このアイヒマンの例に見られるように」

「想像力を欠いた狭量さ、非寛容さ、ひとり歩きするテーゼ、
 空疎な用語、簒奪された理想、硬直したシステム。
 僕にとってほんとうに怖いのはそういうものだ」

                     村上春樹「海辺のカフカ」(上)より





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