風の回廊

風を感じたら気ままに書こうと思う。

異端者たちの発言

2011年05月26日 | 政治・時事

23日、参院・行政監視委員会に4人の異端者が参考人として招致されました。
小出裕章(京大原子炉実験所・助教)、後藤政志(元東芝エンジニア・格納容器設計者)、石橋克彦(神戸大学名誉教授・地震学者)、そして財界から孫正義(ソフトバンク社長)の各氏です。

3人の学者は、アカデミーの世界、原子力の世界の主流派から遠くにいて、“原子力村”と呼ばれる原発推進派、原子力行政に関わる政界、官僚、原発から利益を得ている財界から、忌み嫌われ煙たがられている、いわば、「異端者」たちです。
孫さんは、すでにメジャーで社会的にも確固たる地位にいるわけだけど、生い立ちから現在に至る道のりを思うと異端の色彩が強いと思う。

こうした原発の安全性を問題視し、安全への提言を繰り返してきた異端者たちが、それもとびきり見識の高い研究者と実行力のある財界人が、国会の場で、参考人として証言したことは、けしてオーバーではなく歴史的な快挙と言えると思います。そのくらい原子力に関しては、国会では閉ざされていたのです。
国会だけではなく、アカデミーの場でも経済界でも同じで、すべて原子力村の住人たちによって支配され、異端者たちが表に出る幕などなかったのです。

その質疑の内容は、参院国会中継のHPでアーカイブを見ることができるので、ぜひご覧になってください。「未知の領域」にいる私たちが、目にできる、耳にできる、共有できる歴史の転換のポイントになるかもしれないひとコマを、見逃すわけにはいかないでしょう。
約3時間半という長丁場ですが、異端者たちの言葉から意識が離れないと確信します。
それほど私たちが、心に留めておかなければならない、同時に私たちが考えなくてはならない重要なことを語っているのです。

参院国会中継HP http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
(5月23日か行政監視委員会をクリック。ちなみに4月18日は、村木厚子さんの参考人質疑の模様です)

予想していたこととはいえ、残念ながらNHKは中継せず、ニコ生が名乗りを上げたのですが結局成らず、国会ネット中継だけだったのかな……そんなことで、反響があるのか不安だったのですが、国会ネット中継は、視聴者が殺到し途中ダウンするほどで、傍聴席も満席だったとか。

僕はマイミクのタケセンさんの日記で、わりと早いうちから4人が出席することを知っていたので、しかし決定となる16日の月曜日までは封印。タケセンさんのブログ掲載を待って、18日の昼頃、タケセンさんのブログ・『思索の日記』―“23日に原発問題で参考人質疑―超豪華メンバーです”
http://blog.goo.ne.jp/shirakabatakesen/e/1d276d88fa598e8dbad2324e41e2772a

をツイッターで流したところ、たちまち凄い勢いで拡散していきました。
タケセンさんのブログを見ると、これまで215人の人がツイートしているので、それは広まりますよね。この辺りは、ツイッターの優れたところですね。

このように注目度の高い参考人質疑だったにもかかわらず、翌日の新聞を見ると扱いは小さく、これも予想していたことですが、大手メディアの異端者への白い視線は、こうした事態に陥っても変わっていないんですね。だから、知らない人がほとんどではないかと思います。

異端者への白い視線は、何も大手メディアだけではありません。
4人の参考人招致を巡って、毎日放送の記者の取材によれば、
「官邸は4人の招致を良しとせず、強く警戒していた」
「自民党執行部は、『なんであんなのを呼んだんだ!』と末松委員長(自民)に迫る」
「経産省の官僚は、なぜ保安院を招致し、発言させなかったのか」
「保安院の警戒の強さは異様とも感じた」
とまあ、こんなありさまで暗澹たる思いです。

原発の安全性について管理を行う保安院(経産省管轄)どころか、最高責任者である総理が主の官邸までがこのありさまでは、未来どころか、明日の原発の行方も危ういですね。
原発問題は、エネルギー問題、社会的な問題、生活的な問題という問題に集約できない、文明の問題なのです。今現在、文明の危機にあるのです。
今の政府の姿勢如何では、偏狭で貧しい思考と姿勢では、とうてい文明の危機を乗り越えられるとは思いません。

聡明で心豊かな異端者たちが灯す明かりに人々が共感し、行動となり文明は育くまれます。
キリスト教がユダヤ教の異端であったように、仏教がバラモン教の異端であったように、親鸞が当時の仏教界で異端であったように、既存の中から必ず新しい芽が生え、当初は新しさゆえ、既存の色彩と違う色を放っているため、受け入れられず異端者として扱われるのですが、やがて正統になる可能性を持っているのです。
歴史は、異端が正統となり、新しい文明に貢献している様を教えてくれます。
今私たちが視線を向け、支援しなければならないのは、こうした心ある異端者たちではないでしょうか。

4人の聡明な参考人には、行政監視委員会から、事前に資料が配布されたのですが、その資料として、マイミクのタケセンさんの論文が一緒に配布されました。

『公共をめぐる哲学の活躍』
http://www.shirakaba.gr.jp/home/tayori/Kokyo_Tetsugaku_photo.pdf

タケセンさんは以前、行政監視委員会調査室から依頼を受け、数年にわたり調査員として、行政監視委員会で『民知の哲学』を説いています。
行政監視委員会の昨今の画期的な活動は、タケセンさんの『民知の哲学』の理解と拡がりによるところが大きく、タケセンさんはとても有意な活動をしておられます。
聞くところによれば、政治不信が強い小出さんは、当初参考人招致に消極的でしたが、タケセンさんの『公共をめぐる哲学の活躍』を読んで、気持ちが180度変わったとか。
出席を決めた後の小出さんは何かが振り切れたようにラジオ番組でこう語っていました。

「言いたい放題語ってくるつもりだ」

そして言葉どおり語りました。


参考までに、これまでもアップしましたが。
『小出裕章(京大助教)非公式まとめ』
http://hiroakikoide.wordpress.com/
後藤政志さんのブログ
http://gotomasashi.blogspot.com/

講演会や会見、テレビ、ラジオ出演などのアーカイブを見ることができます。原発の問題を解かりやすく深く語っています。そして今福島で何が起こっているのか……毎日のように二人は語っています。

そして、タケセンさんのブログ『思索の日記』
http://blog.goo.ne.jp/shirakabatakesen
mixiプロフィール
http://mixi.jp/show_friend.pl?id=548859&from=navi




武井繁明

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今夜から模様ですね……
そしてこれから雨の季節です。
放射性物質入りの雨だけど、雨が好きな僕とすれば、雨へのロマンを失いたくないものです。


Rain (pioggia) - "Let It Rain" by Sarah Brightman


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