groblog

【グロテスクな表現が含まれています】
作品の一覧はカテゴリーのINDEXからどうぞ。

pqnology

2015-04-23 13:19:02 | other
こちらにも映画の記事を書いております!
よければ見に来てください!

pqnology

野いちご

2010-06-24 18:39:52 | Ingmar Bergman


ストックホルムで孤独に生きる79歳の老教授が、名誉博士の称号を授与されることになった。式典の日の明け方、自分が葬式馬車の柩のなかに横たわっている夢を見る。車で式典に向かう途中、教授は昔住んでいた屋敷に立ち寄る。そこで野いちごを見つけた彼は、若き日の悲恋を回想する。そして車は式典会場へと向う。
老人の1日を通して死の予感や不安、人生のむなしさなどを、さまざまな夢や幻想を織り交ぜながら、閑静に美しく描きだした。やがてそれらの暗闇から光明を見いだすという、巨匠イングマル・ベルイマン監督のポリシーが全面に展開される、映画史上に残る名作である。




やっと、この作品を観ることができた。
この作品は、ベルイマンを僕に教えてくれた先生が
特に勧めてくれた作品だった。

主人公のイーサクが名誉博士の賞の授賞式に行く道中、
自分の過去の様々なことを振り返る。

名誉を手に入れたってクソだ、みたいなことを
イーサクは言っていた。
イーサクが学問に没頭した理由、
人と接するのを断っていた理由などを
過去を顧みることで、生々しく思い出していく。

エゴイズム、という言葉がでてきて、
夏目漱石の『こころ』を思い出した。
人間は誰しも、自分が生きていくのに必死だけれど
その中で、誰かに支えられたりしている。
孤独と思っていても、自分のことを想ってくれている人がいる。
妻を早くに亡くし、他人と関わりを断っていたイーサクも
人との関わりの中で、安らな気持ちになって眠りにつく。

人に傷つけられたりもするけど、
それを救ってくれるのもまた人であり、
そういう今現実に直面してることにまっすぐに
向き合え、と、ベルイマンは言っているのかな。


ああ、もうすでに、もっかい観たい。


★★★★★
------------------------
『野いちご』 1957年 スウェーデン
原題:SMULTRONSTALLET
監督:イングマール・ベルイマン

処女の泉

2010-06-24 18:03:27 | Ingmar Bergman


世紀のスウェーデン、片田舎の豪農の一人娘がある日曜日、遠方の教会にロウソクを捧げにいくが、森で三人組の無法者に会い殺されてしまう。それを知った豪農は彼らに復讐の刃を向けていく。しかし自分の仕出かした罪深さに悩み、償いとしてこの地に教会を建設すると神に誓う。すると……。この上なく美しいバラッドの世界。復讐という概念を乗り越えてこそのキリスト教信仰を、ベルイマンが静謐な映像で問いただす。


ベルイマンの作品にはいつも、心臓をつかまれるような
そんな気持ちになる作品が多いです。

裕福な農家の娘であるカーリンに嫉妬をする雇われている身重の女、
インゲルはオーディーンの神にカーリンのことを呪う。

教会へ向かう道中、カーリンが羊飼いと名乗る男に
レイプされて、殺されてしまう。

美を破壊する暴力。
それに対する報復という名の制裁。

神に祈ることで救われるのか。
ベルイマンがいつも問う神の存在とは。
人間の罪とそれを見ている神の答えとは。
最後に神は奇跡を起こす。

キリスト教をもっと知っていれば
わかったかもしれない。
信仰とは?
罪を赦してもらうためにするもの?
人間と信仰は切り離せないもの?
難しいな。

シンプルなストーリーの中に、人間の過ち、罪、
赦し、信仰、そして神の存在を問うている。


衝撃的な作品。

★★★★
---------------------------
『処女の泉』 1960年 スウェーデン
原題:Jungfrukallan
監督:イングマール・ベルイマン

2010-05-13 00:29:05 | other
花に感動できません。乳首舐められても感動できません。
どちらも自分は困らないけど、他人が困る。
わたしは、おんなのひととして、色んなものが欠けているのだと、おもわれるのだけが困る。
最近の女子高生はふとい脚にも痣みたいな唇のあとをつける、
それが短い制服のスカートの裾から見えると吐きそうになる。
男子の唇の痕は汚い。男はなぜこの女子の、
今まで他の男が触れていないところを探さなかったのだろう、
こんな太い脚の、ほんのちょっとに、汚い痕を、蚊のように、他の男が吸っただろう場所の上に、
情けない、他のものが触れていない場所に興味がないなんて、
全てに唇を触れようとすればこの女子の体はもう全部赤褐色になって本当に醜いのだけれども、
そんな姿だったらわたしは感動して話しかけたい。

いやあもう本当醜いけどなんて素晴らしいこと!だけどまあ男子女子はそんなんで満足する
のだった。そんなものでそんなもので、だから恋愛はだめだ、昭和以降に恋愛はない、
街はいつでもばかみたいにセックスにしかみえない男子女子が連れ立って歩く、
みんな死なないといけない。
そんな今の世の中でも海鼠はすてきだ、ただ、砂の上でじっとしていて、手で持つだけなら、
それでもじってしている。感動はしない。

神様、アダムは土からうまれた、土とは砂のことで、まずは性器から作ったのでしょう。
粘土で作りやすいかたちをしているものね、てきとうに丸めたり伸ばしたり、
そこから発生したのでしょうね、人間は。なので、海鼠はほんとうのほんとうに、
最初の生きものなのかもしれませんね。
『そうだね、海鼠は手で握ってみて、振るとだんだん硬くなってくるよ、
中から白いのがびゅっと出てくるから、ね、海鼠。形質と質量がね。あんたさ、
海鼠ばっかり触ってないで、自分が乳首で感じられないことについて、
もっと真剣に悩んだほうがいいんじゃない
『かな。ただでさえ汚いんだから』
君の考えからすれば、海鼠なんか人間の出来損ないだ(といって私の胸をさわる)、
わたしはおんなだから、海鼠を料理せずにそのまま口に入れたり、
さわったりしたいと思うのは、当たり前だということ。

おんなも、たどっていけば海鼠から生まれた。
人間が粘土に戻る時、人間は砂に還れても海鼠にはもどれない。
海鼠はただ海鼠としてじっとしていて、振られることもないから硬くなることもない、
ただ何にもならずにずっと、海鼠だけがみたいな、そんなことをしていても、
置いていかれないような、生きていられるような、感動はせず、ただじっと、
海鼠を、みつめる。」 (胸と)腰以外を好きになってくれる男でもいたらいいな、
だいたいがみんなそれを必死でこねる、発達しない。
女子はひとりの夜いつも自分で自分をおしまいにする、
自分でこねているとこの奇妙な形の性器一帯は粘土みたいに思えてくる必死でこねている、
いやになる、作業。

セックスはひとつとひとつの作業、だいたいが一人で持つ。みんながこうやって、
こねているのだから…やさしいひとの顔さえも変な顔にみえてくる、怯える。
そのひとが自分からいなくなってしまう!男はいいように触るので、
その形は自分で直すしかないのだから、女子が性器をいじるのはそういうこと
粘土ややわらかくするには水がいる。女子の水は体内から外へそっと出る、 夜に。

「夜の水」 大江麻衣

アルファヴィル

2010-04-15 00:10:38 | Nouvelle Vague


左利きの探偵レミー・コーションは地球から9000キロ離れた星雲都市アルファヴィルに潜入。彼の任務はブラウン教授の救出と先遣隊で行方不明のアンリの捜索であった。アルファヴィルはアルファー60という電子頭脳に支配された思考構造符号化社会で愛の言葉は存在せず詩人や芸術家は処刑されているのであった。レミーはブラウン教授の娘ナターシャを救出して反撃に出るが…。

観ている間は意味がよくわからないな、と
ぼんやり観ていた。
この映画のアンナの表情がもの凄く魅力的で
そればかり観ていた。

感情を表すと処刑されてしまう都市、アルファヴィル。
愛、悲しみ、やさしさとは…



観終わった後からじわじわ大好きになった作品。



★★★★★
------------------------
『アルファヴィル』 1965年 フランス イタリア
原題:Alphaville
監督:ジャン・リュック・ゴダール

修羅雪姫

2010-03-26 12:38:31 | Cult


明治時代の日本。家族を殺され、悲惨な目にあった鹿島小夜は復讐相手の一人をどうにかしとめるが、獄中に入る。小夜は獄中で身篭り、産まれた女の子に雪と名づけ死ぬ。雪は剣豪でもあった道海和尚の元で厳しい修行を身に着け、自分を産んでくれた母に代わって復讐の旅を続ける。


梶芽衣子大好きだから観た。
雪を見ると思い出す作品。
着物姿がとても綺麗。

雪に映える血しぶきの赤や
着物の紫が印象的。

タランティーノ監督はこの作品を観て
梶芽衣子に惚れたって判る。
「キルビル」は本作へのオマージュだとか。
監督と気が合いそうだな。

因果応報!




★★★★
------------------------------------------
『修羅雪姫』 1937年 日本
監督:藤田敏八
小池一雄原作、上村一夫作画

ミザリー

2010-03-17 11:45:54 | horror


「ミザリー」シリーズで有名な人気作家ポールは雪道で事故に遭い、瀕死の状態を元看護婦のアニーに救われる。ポールの小説の熱狂的愛読者だった彼女は、彼を手厚く介護する。だが、新作「ミザリーの娘」でヒロインが死んだことを知り逆上した彼女はポールに心理的・肉体的拷問を加え始める……。

怖い、に尽きる。
原作はスティーヴン・キングです。

ファンに偏執的に小説が愛されると
こうなるのかと身震いする。

アニーはミザリーの話を自分の
思い通りにしたかったんだな。

その作品に対する思いっていうのは
人それぞれあると思うけど
この狂気は凄い。


★☆★★
--------------------------
『ミザリー』 1990年 アメリカ
原題:Misery
監督:ロブ・ライナー
原作:スティーヴン・キング

欲望という名の電車

2010-03-11 17:25:46 | other


港湾都市ニューオーリンズのうらぶれた下町に、Desire(欲望)号という名の電車に乗って、孤独な未亡人ブランチ・デュボワ(ビビアン・リー)が降り立った。南部の町オリオールの傾きかけた名家に育ったブランチは、家族の看護やその葬儀などで財産を使い果たし、妹夫婦を頼って来たのだ。だが、妹ステラの夫スタンリー(マーロン・ブランド)は貧しい職工で、家もたった二間のアパートだった。 病的なほど不安定な上に、お嬢様気取りのブランチの行動が、一々気に障るスタンリー。ブランチも、粗野で暴力を振るうスタンリーを嫌い、ステラに一緒に家を出ようと訴える。だがステラは、野蛮だが自分を強く愛しているスタンリーから離れられず、子供も身ごもっていた。


一言で言うとマーロン・ブランドがかっこ良すぎたに尽きるんですが
ヴィヴィアン・リー演じるブランチが華やかな貴族の身分から
没落していく様が描かれている。

太宰の『斜陽』を思い出した。

スタンリーがDV夫みたいに思われるかもしれないのですが
ブランチの貴族のお嬢様っぷりと
他を見下したような態度にイライラさせられる
気持ちは凄くよくわかります。

ヴィヴィアン・リーの演じっぷりも凄いと思います。

スタンリーは暴力的な性格だが妻のステラの
ことも愛しているし、ステラもスタンリーを愛している。

過去を暴露され、精神的にも崩壊していくブランチは
痛々しくもあり儚げで、しかし何とも言えない
あの表情はヴィヴィアン・リーだからこそ
演じれたのではないかと思う。
さすが名作。

★☆★☆
-----------------------
『欲望という名の電車』 1951年 アメリカ
原題:A Streetcar Named Desire
監督:エリア・カザン

アクエリアス

2010-03-07 18:12:07 | horror


あなたも このステージから逃げられない


頭からスッポリかぶったフクロウのお面、一見何か愛嬌がある……けどその仮面にかくされた狂気の殺人鬼の冷血は、華やいだミュージカルのリハーサルに夢中なヤングたちをたちまち鮮血地獄のエジキにしてしまう、ユニークなこわさ!(ジャケットより抜粋)




そのタイトルと奇妙なフクロウの被りものに惹かれ、
ずっと眠らせていた作品を観た。

イタリアンホラーというので期待して観た。
ダリオ・アルジェントの愛弟子が監督だった。

殺人鬼が殺した死体をステージの上に全て並べて
自分は椅子に座り、膝に猫を乗せBGMをかけ、
羽を飛ばす演出をして悦に浸っているシーンは
美しいとしか言いようがない。

芸術作品だった。

猛禽類の鋭い眼がじっとこちらを見ている。

★★★☆
--------------------------
『アクエリアス』 1986年 イタリア
原題:Aquarius
監督:ミケーレ・ソアビ

大人は判ってくれない

2010-03-05 01:13:35 | Nouvelle Vague

12歳のアントワーヌ ドワネルにとって、毎日は苦痛の連続であった。学校では成績も悪く、いたずら好きで先生に叱責される。家では厳しい母親と、稼ぎも少なくうだつの上がらない父親に囲まれた息の詰まる生活。寝袋にくるまって両親のケンカを聞かされる日々。そんな彼の楽しみは映画を観ることだけだ。しかしある日、授業の作文で「バルザックの盗作だ」と叱られ、学校を停学になる。居場所がなくなった彼は、家を飛び出してしまう……。



言葉は多くない。

でも、伝わる。
判る。

上手く伝わらなくてもやもやした感じとか。
これを上手く表現できない感じとか。

牛乳盗んで飲んでるシーンが印象的で好き。


★☆★★★
-------------------------------
『大人は判ってくれない』1959年 フランス
原題:Les Quatre Cents Coups
監督:フランソワ・トリュフォー