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2010-05-13 00:29:05 | other
花に感動できません。乳首舐められても感動できません。
どちらも自分は困らないけど、他人が困る。
わたしは、おんなのひととして、色んなものが欠けているのだと、おもわれるのだけが困る。
最近の女子高生はふとい脚にも痣みたいな唇のあとをつける、
それが短い制服のスカートの裾から見えると吐きそうになる。
男子の唇の痕は汚い。男はなぜこの女子の、
今まで他の男が触れていないところを探さなかったのだろう、
こんな太い脚の、ほんのちょっとに、汚い痕を、蚊のように、他の男が吸っただろう場所の上に、
情けない、他のものが触れていない場所に興味がないなんて、
全てに唇を触れようとすればこの女子の体はもう全部赤褐色になって本当に醜いのだけれども、
そんな姿だったらわたしは感動して話しかけたい。

いやあもう本当醜いけどなんて素晴らしいこと!だけどまあ男子女子はそんなんで満足する
のだった。そんなものでそんなもので、だから恋愛はだめだ、昭和以降に恋愛はない、
街はいつでもばかみたいにセックスにしかみえない男子女子が連れ立って歩く、
みんな死なないといけない。
そんな今の世の中でも海鼠はすてきだ、ただ、砂の上でじっとしていて、手で持つだけなら、
それでもじってしている。感動はしない。

神様、アダムは土からうまれた、土とは砂のことで、まずは性器から作ったのでしょう。
粘土で作りやすいかたちをしているものね、てきとうに丸めたり伸ばしたり、
そこから発生したのでしょうね、人間は。なので、海鼠はほんとうのほんとうに、
最初の生きものなのかもしれませんね。
『そうだね、海鼠は手で握ってみて、振るとだんだん硬くなってくるよ、
中から白いのがびゅっと出てくるから、ね、海鼠。形質と質量がね。あんたさ、
海鼠ばっかり触ってないで、自分が乳首で感じられないことについて、
もっと真剣に悩んだほうがいいんじゃない
『かな。ただでさえ汚いんだから』
君の考えからすれば、海鼠なんか人間の出来損ないだ(といって私の胸をさわる)、
わたしはおんなだから、海鼠を料理せずにそのまま口に入れたり、
さわったりしたいと思うのは、当たり前だということ。

おんなも、たどっていけば海鼠から生まれた。
人間が粘土に戻る時、人間は砂に還れても海鼠にはもどれない。
海鼠はただ海鼠としてじっとしていて、振られることもないから硬くなることもない、
ただ何にもならずにずっと、海鼠だけがみたいな、そんなことをしていても、
置いていかれないような、生きていられるような、感動はせず、ただじっと、
海鼠を、みつめる。」 (胸と)腰以外を好きになってくれる男でもいたらいいな、
だいたいがみんなそれを必死でこねる、発達しない。
女子はひとりの夜いつも自分で自分をおしまいにする、
自分でこねているとこの奇妙な形の性器一帯は粘土みたいに思えてくる必死でこねている、
いやになる、作業。

セックスはひとつとひとつの作業、だいたいが一人で持つ。みんながこうやって、
こねているのだから…やさしいひとの顔さえも変な顔にみえてくる、怯える。
そのひとが自分からいなくなってしまう!男はいいように触るので、
その形は自分で直すしかないのだから、女子が性器をいじるのはそういうこと
粘土ややわらかくするには水がいる。女子の水は体内から外へそっと出る、 夜に。

「夜の水」 大江麻衣