港湾都市ニューオーリンズのうらぶれた下町に、Desire(欲望)号という名の電車に乗って、孤独な未亡人ブランチ・デュボワ(ビビアン・リー)が降り立った。南部の町オリオールの傾きかけた名家に育ったブランチは、家族の看護やその葬儀などで財産を使い果たし、妹夫婦を頼って来たのだ。だが、妹ステラの夫スタンリー(マーロン・ブランド)は貧しい職工で、家もたった二間のアパートだった。 病的なほど不安定な上に、お嬢様気取りのブランチの行動が、一々気に障るスタンリー。ブランチも、粗野で暴力を振るうスタンリーを嫌い、ステラに一緒に家を出ようと訴える。だがステラは、野蛮だが自分を強く愛しているスタンリーから離れられず、子供も身ごもっていた。
一言で言うとマーロン・ブランドがかっこ良すぎたに尽きるんですが
ヴィヴィアン・リー演じるブランチが華やかな貴族の身分から
没落していく様が描かれている。
太宰の『斜陽』を思い出した。
スタンリーがDV夫みたいに思われるかもしれないのですが
ブランチの貴族のお嬢様っぷりと
他を見下したような態度にイライラさせられる
気持ちは凄くよくわかります。
ヴィヴィアン・リーの演じっぷりも凄いと思います。
スタンリーは暴力的な性格だが妻のステラの
ことも愛しているし、ステラもスタンリーを愛している。
過去を暴露され、精神的にも崩壊していくブランチは
痛々しくもあり儚げで、しかし何とも言えない
あの表情はヴィヴィアン・リーだからこそ
演じれたのではないかと思う。
さすが名作。
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『欲望という名の電車』 1951年 アメリカ
原題:A Streetcar Named Desire
監督:エリア・カザン