とくおかレディースクリニック~ブログ~

日々、徒然なるままに、書き込んで参ります。
どうか宜しくお付き合い下さい。

5月のラボ便り

2024年05月06日 | ラボ便り
ラボ便り

過ぎ行く春が惜しまれる頃となりましたが、
皆様体調には気を付けてお過ごし下さいませ。

今回のラボだよりでは、精子凍結についてお話させて頂きます。

精子凍結とは精子を-196℃で凍結して保存しておくことを言います。
凍結保存されている精子は保存期間が長くなっても劣化することはなく、
半永久的に保存が可能です。

精子凍結をしておくと、男性が人工授精や採卵当日に精液を採取出来なくとも、
凍結精子を用いて人工授精や体外受精(顕微授精)を行うことが可能です。
男性がとても多忙で女性の治療スケジュールに合わせられない場合や、
単身赴任等で近隣にお住いではない場合、
精神的なストレスにより指定されたタイミングで精液採取が出来ない場合でも、
妊娠を目指していくことが出来ます。

また、精液検査の所見が悪い(運動している精子の数が少ない)方は、
採卵当日に精液採取が出来たとしても、受精の為に必要な精子が足りない場合があります。
そのような方は、あらかじめ精子凍結を行っておくことで、安心して治療に臨むことが可能です。

精子凍結の方法としては、まず精液を採取して頂きます。
(通常の精液検査時と同様に採取して頂ければ結構です。患者さんに特別行って頂くことはありません。)
その後、精液検査を行って精子の状態を確認し、凍結保護液と混合します。
混合液を専用の凍結チューブに入れ、液体窒素で凍結保存を行います。

この凍結保護液には、精子の保護成分としてグリセリンが用いられ、
細胞内に浸透し、脱水、細胞内氷晶形成抑制などにより、凍結保護の主体となります。

しかし、凍結精子を融解した場合、全ての精子が運動性を維持出来るわけではありません。
運動率は凍結前の約50〜80%程度に低下します。
融解後に良好な運動性が保たれてる精子に関しては受精に問題はありません。
また、ご妊娠された際の胎児への影響の報告もありません。

精子凍結は、受精卵凍結や卵子凍結に比べてあまり目立たないように思いますが、
お仕事の都合やストレス等で様々な状況におかれる男性の、
治療の幅が増える有効な方法の1つです。

また、がん等の治療で今後の精子形成に障害が出る可能性がある方が事前に精子を凍結保存しておき、
将来子供を望むことが出来る方法でもあります。

精子凍結は今まで保険適応ではありませんでしたが、
今年6月より体外受精・顕微授精を希望する高度乏精子症の方においては、
保険適応になります。(全ての方が保険適応になるわけではありません。)

何かご不明な点がございましたら、スタッフまでお声かけ下さい。



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