とくおかレディースクリニック~ブログ~

日々、徒然なるままに、書き込んで参ります。
どうか宜しくお付き合い下さい。

10月のラボ便り

2024年10月07日 | Weblog
10月のラボ便り

皆様、こんにちは。

朝夕は随分と涼しくなってきましたね。

今月は、培養室で行なっている業務についてお話させていただきます。

・準備
出勤したらまず行うのは、業務で使用する培養液やディッシュ(お皿)やピペットなどの準備です。
培養液によっては、あらかじめ使用前にヒトの体温位(37℃)に温めておく必要があります。

・精子調整
体外受精や顕微授精で使用する精子や、人工授精で子宮内に注入する精子を調整します。
止まっている精子や精液内の細菌、白血球などを除去し、良好な運動精子のみを集めます。

・胚の観察
観察が必要な時期(採卵翌日、採卵2〜3日後、採卵5〜6日後)の患者様の受精卵を観察します。
それぞれ正常に受精をしているか、正常に分割して成長しているか、凍結出来る良いグレードの受精卵になっているか確認していきます。

・採卵
手術室で患者様の卵巣から吸引した卵胞液の中から実体顕微鏡を使用して卵子を探していきます。
迅速な手技と観察力が求められる作業で、
採れた卵子は直ぐに培養液に入れ培養します。
当院では必ず2人の培養士で卵胞液の確認を行い、卵子の見落としがないように徹底しております。

・体外受精、顕微授精
体外受精はシャーレ内の卵子に調整した精子をふりかけ、受精させる方法です。
体外受精は、十分な量の良好運動精子が回収できた場合に対象となります。
顕微授精は卵子1個につき1個の精子を、太さ0.01mm以下の極細の針で慎重に注入します。
顕微授精では、精子の数が少ない場合でも受精を目指すことが出来ます。

・胚移植
細い胚移植用のカテーテルで受精卵を吸い上げ、エコーで子宮内膜の状態、カテーテルの位置を確認しながら、子宮内膜に受精卵を戻します。
胚移植後はカテーテル内に受精卵が残っていないか培養士2人でしっかりと確認しています。

・凍結
新鮮胚移植を行わない受精卵は凍結保存します。
凍結保存液で処理して、液体窒素中で凍結します。凍結した受精卵は劣化せず長期保存が可能です。
治療で使用されなかった受精卵は、将来お2人目などでまたご妊娠を考える際に胚移植することが出来ます。

・融解/アシステッドハッチング
当日胚移植する受精卵を液体窒素から出して融解液で処理し、凍結前の状態に戻します。
融解を行った受精卵には透明帯に切り込みを入れるアシステッドハッチングを行い、透明帯から脱出しやすくすることで、着床率の向上を目指します。
その後は胚移植時までインキュベーター内で保管されます。

・翌日の準備
翌日の採卵や胚移植の予定に合わせて、必要な培養液を前日から準備します。準備したての培養液はPHや温度などが安定しておらず、卵や精子にとってベストな環境ではありません。あらかじめ翌日の採卵や胚移植までの間インキュベーターに入れておくことで、培養液の状態を卵や精子にとって良い環境に整えます。
そのため前日の準備はとても重要です。

今回ご紹介させて頂いたのが、培養室で主に行なっている業務です。

他にもデータ管理や、日々業務で使用する機器類のチェックなど様々な業務を行っております。

何かご不明な点がございましたら、スタッフまでお声掛け下さい。


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