兼業役者の猫とバイクとヴァナ・ディールな日常

舞台中心、TV.映画.CM等を少々。そんな無名役者の仕事とバイト。猫とゲームのぐうたらな日々と云いたい放題。

異空間

2008年01月28日 19時15分06秒 | よもやま話
昨日、渋谷で夕飯を食べたのですが、食後に裏通りを散策していたら、「百軒店」の奥に面白い店を発見してしまいました。渋谷をよくご存知の方なら「百軒店(ひゃっけんだな)」と聞いただけで「何故、そんな場所に???」となりそうな、実に怪しい一角なのです。道玄坂から路地を曲がると、目の前に「道頓堀劇場」と云うストリップ小屋があり、道の左右には「風俗店の無料案内所」が立ち並び、更に奥にはラブホテルが軒を連ねている...と云った案配。昼間はまぁいいとして、日が落ちてからは「いい子は近付いちゃいけません」と云う場所ですね。
一緒に食事をしたのが大阪から単身赴任で来ている方で、初めて訪れる渋谷の街を面白がって、わざと怪し気な場所へと足を踏み入れた訳ですが、そこで発見したのが、入り口に手書きの文字で「店内の撮影禁止」と貼り紙がされた「名曲喫茶ライオン」だったのです。創業は1925年、見るからに年代を経ている外観で、薄暗い店内に置かれた煤けた調度品と云い、スプリングがへたった椅子と云い、タイムスリップをしたかの如く、の佇まいなのです。
入り口を入ってすぐ驚いたのは、吹き抜けになった壁に取り付けられた巨大なスピーカーで、そのスピーカーに向かってコンサート会場のように席が配置されているのです。店員さんが持って来たメニューには「会話はご遠慮下さい」の文字。だだっ広い店内は誰一人声を発する人もなく、鳴り響くクラッシック音楽を聞きながら、本を読んだり居眠りしたり。ネオンと騒音の渋谷の雑踏の中にあって、そこだけが明らかに異質な空気を持った空間なのでした。
音のある静寂と云ったら変かも知れませんが、人がいるのに独りぼっちになれる空間と云うのでしょうか? 台本を読んだり、原稿を書いたり、考え事をするには打ってつけの空間ですね。こんな場所にこんな店があるなんて考えてもみませんでしたが、ちょっと癖になりそうな予感がします。クラッシックファンの方も、そうでない方も、機会があったら是非行ってみて下さい。時間の流れが違って感じられる事、請け合いです。

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