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古代ギリシャの都市国家、シチリア島:シラクーサ

2011-11-12 00:57:23 | 街たち
今夜の「世界ふれあい街歩き」、地中海に囲まれたオルティージャ島にある旧市街地のシラクーサ。
古代ギリシャにおいて、アテネやスパルタに並ぶ都市といわれた。
円周率を表し、ペンチや天秤を発明した、かのアルキメデスは、シラクーサ出身。
ローマとの戦争では、アルキメデスの発明した武器が威力を発揮したそうだが、ついには負けて、ローマの兵士によってアルキメデスは、殺害されてしまった。
その誇りを今もシラクーサの市民は受け継いで、発明やクリエイティブなことに熱心だそうだ。
”立方体バス”を発明自作した演奏家?は、自らを”アルキメデスの息子”といっていた。

街の中心部に、でんと構える古代ギリシャ遺跡。
太陽神アポロ神殿は、2600年前、紀元前6世紀のもの。
そのすぐ隣には、中世の頃の住居あり、現役で活躍している。
紀元前5世紀の古代ギリシャ劇場。
夏には、仮面を被って演じるギリシャ悲劇が催され、今なお愛され使われ続ける。
その近くにある縦長細い洞穴は、「ディオニュシオスの耳」といい、元は石切り場でだった。
その名の由来は、往時の君主ディオニュシオスが牢獄として使い、捕虜の話を盗み聞きしたといわれる伝説があるほど、音響効果が高いことにある。
また、街には狭い路地が張り巡らされ、古い建物に付いているバルコニーの支えも凝った装飾が施してあり、街そのものが生きたアンティークなのだ。
街の大聖堂も、古代の神殿を利用しながら造られている。
市内には、古代ギリシャ悲劇を学ぶ演劇学校もある。
シラクーサは、古代ギリシャとともに生き続ける街。

そして、グルメ。
”アランチーニ”という、ライスコロッケがある。
米にサフランで色と香りを付け、オリーブオイルとバターで風味を持たせたサフランライス。
それの中に、ミートソースとモツァレラチーズをいれ、おにぎり状にしたものに、パン粉をまぶして油で香ばしく揚げる。
中身は、ハムとチーズのオーソドックスなものから、ウニとチーズなど変り種様々に、コロッケの形状を変えていく。
すごく、美味しそう。
ワインと一緒に楽しみたい。
”インドのイチジク”と呼ばれる、シチリア名物のサボテンの実は、ポピュラーな果物として食べられている。
サボテンの実をまだ食べたことがないので、興味深い。
酸味が効いて、爽やかな印象を持っているけれども。

そう、市場は、どこの国も活気に溢れている。
男達は、威勢の良い呼び声を上げ、並ぶ商品はそれに劣らないくらいみな新鮮そうだ。
あるチーズ屋の男は、肩からチーズをぶら下げて商いをしている。
”男はチーズ、女は馬車”という言葉があると話していた。
「女は馬車に乗ってお姫様気分で生きているが、男は肩にぶら下げたチーズの重みを人生の重みと思い生きているのさ。」
つまり、女は強くしぶといってことなの?
そうかもしれない。
でなきゃ、人類はとっくに滅びているだろうさ。
女が、下を向いて泣いているような世の中になったら、もう世もどん詰まりだってこと。
シチリアの男たちは、皆明るく楽しそうな顔つきに見えた。
だから、女たちといったら、それはそれは幸せなのだと想像できるだろう。
みんな馬車に乗ったお姫様ってことに。

そのような土地柄だから、ギリシャ悲劇が生き続けられるのかも知れない。
影があるところには、必ず日の当たる明るい面がある。
影と光は、コインの裏と表。
一人だけでは、存在できない。
しかし、影の部分は、極めて小さいのだろう。
真上から照らされる影は、小さくて濃い。
それは、おそらく死。
古代ギリシャの繁栄の骸を間近に、無意識のうちに意識しているシラクーサの人々は、一瞬の生を謳歌する心構えが出来ているように見えた。