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アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

バッハ、カンタータBWV127”真の人にして神、主イエス・キリストよ”

2011-11-05 23:26:28 | 音楽たちークラシック
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バッハのカンタータ、BWV127”真の人にして神、主イエス・キリストよ”は、魂に柔らかく哀切に響いてくる。
切々と刻まれる音の全てが、硬い岩に植物の根が時をかけて張るように、硬直した心に入り込む。
シンプル、それだからこそ、根源的な力強さと共感力を持ち合わせているのだ。
頭を垂れて聴き始めても、いつしか音が、心に積もった諸々の塵を洗い流してくれるのか、終わる頃には、視線が前を向くようになる。

この曲はキリスト教の宗教音楽にあたるが、ほかの神を信じていても、音楽の持つ崇高な美しさに、心が震えないものはいないと確信する。
美に感動する心があるうちは、人もまだまだ捨てたものではないと、そう思いたい昨今の状況だ。



なぜか先週のベルギー:アントワープ編

2011-11-05 11:53:32 | 街たち
先週10月29日放送の「にじいろジーン 地球まるごと見聞録」、ベルギー第二の都市アントワープです。
16世紀から商業都市として栄え、いまなお世界のダイヤモンド流通の7割をここで扱っている。
ダイヤモンドの輝きを最大限に引き出すカットを編み出したのも、ここアントワープにてローデルヴァン・ベルデンの功績だ。
また、日本人にはおなじみのヴィーダ作「フランダースの犬」の舞台にもなっている。
ネロ少年が憧れて止まなかった画家ルーベンスの名作「十字架降下」は、聖母子聖堂に納められていて、ある世代にとっては、虚構とはいえその絵の前に愛犬パトラッシュと天に召された場面を思い出し、感慨ひとしおになるだろう。
そして、アントワープの中央駅は、世界一美しい駅といわれるほど、かつての王侯貴族の城のように、装飾豊かな造りこみを見せている。
そう、アントワープの街のいたるところにある手の彫刻や、手をモチーフにした様々な商品があるという。
それは、街の名の由来として、英雄ブラボーが、悪人の手を切り投げた伝説によるもので、オランダ語の「手を投げる」意味そのままに因んだ。
だから、手のモチーフが街に溢れているのだ。
そして、いま、モードも街としても流行の先端を担っている。
王立美術館の服飾部門”モードナシー”から輩出されたデザイナーのドリス・ヴァン・ノッテンなど筆頭として、つぎつぎにニューモードの旗手が続いている。

ここでやっとお楽しみのグルメ。
”チコリ”は、ベルギーの秋冬を代表する食材。
まるで白菜の芯を思わせるその姿、ほろ苦くパリパリシャリシャリした食感の野菜だ。
これを、茹でてあく抜きし、ハムで蒔いて耐熱皿に並べ、ホワイトソースとチーズをかけてオーブンで焼く”チコリのグラタン”は、ベルギーの代表的家庭料理。
チコリの苦味とホワイトソースの相性が抜群だという。
ほかに、変わったチコリの利用法がある。
戦時中の物資の少ない時代、コーヒー豆の代用として、チコリを乾燥焙煎したものをドリップして飲んだという。
その味わいは、アメリカンコーヒーのように色薄く、味も薄目らしい。
あとなんと言っても、ベルギービール。
ビールは新鮮なものほど美味しいと思いがちだが、ベルギービールはチョット違う。
生きた酵母菌を含むビールなので、管理された場所で寝かせると更に発酵が進み、香りの良い深い味わいのビールに変身するのだ。
10年以上寝かせたものからビンテージビールになり、最高36年前までのものがある。
古都メッへレンは、ネーデルランド王国の首都として栄え、大小49個の鐘で奏でるカリヨンが有名。
そこには、チーズをビールで風味付け熟成させた”ザ・メッヘレン”というご当地チーズがある。
どうやら、カマンベールチーズのほろ苦版らしい。
そのチーズを扱っている4代続くチーズ専門店は、伝統を誇りに思って仕事をしている様子。
とても豊かでうらやましく思った。

豊かさって、なんだろう。
自分達の生きた軌跡を伝統を、誇らしく、肯定して、ゆっくりと前進する姿にあるのではないかと、ベルギー人と街並みを見て考えた。

塔の街、イタリア:サン・ジミニャーノ

2011-11-05 00:06:06 | 街たち
「世界ふれあい街歩き」、イタリア トスカーナ地方にある中世が色濃く残る塔の町、サン・ジミニャーノ。
1300年代の隆盛期には、城壁に囲まれた南北僅か1キロメートルの小さな街に、72本の塔が林立していた。
それが今では、14本を残すのみとなる。
中世の時代、サフランの交易で巨万の富を得たサン・ジミニャーノの豪商達は、競って塔を建て始めた。
塔は権力と富を象徴し、一目瞭然にその力の大きさを誇示できる。
街の中心ドゥオーモ広場を取り囲む塔の中で、ひときわ高い”グロッサの塔”がある。
時の権力者の塔で、市はこれより高い塔の建設を禁止した。
それに対抗する手段として、2つの塔を建設し、あわせたらグロッサの塔より高くなると”双子の塔サルブッチの塔”を建てた者があわられた。
傍で見れば、愚かな競い合いと思うが、昔も今も変わらない、人はより高い塔やビルディングの建設に血道をあげている。

街は、レンガと石を積み重ねて建設されている。
塀、建物の壁など、色とりどりのレンガと石を工夫を凝らして積みあげた面白いマチエールが、街に変化と温もりを与えている。
そういえば、”双子の塔”に住み着いた人が言うには、塔の壁の厚さは2メートル20センチもあるのは、ただ石を積み上げただけの構造ゆえ強度上げに必要だったのだ。
そして、路は細く、ほとんど勾配があり、オート三輪が現役で活躍している。
故障してしまった、古いグレーのべスパを修理している青年がいた。
実に、街に馴染んで、時間の流れ方がほかと違いゆっくりしているようだ。

サン・ジミニャーノを他の街と一線を隔したもとのサフラン。
クロッカスに似た花で、その大きく赤い雌しべが、大変貴重なものだった。
食品に鮮やかな黄色と風味を加える添加物として、または王侯貴族の衣服の染料として、珍重された。
今でも、高価なものであることには変わりなく、スパイス売り場に行くと、驚くような値段で売っている。
北側の門の先にはフィレンツェとミラノがあり、南側の門の先にはローマが控えている。
商人達は、サフランを携えここから交易に出かけ、そして富をこの街に持ち帰ったのだろう。

イタリアは、火山国でもある。
サン・ジミニャーノから北へ車で1時間のところに、モンテカニューニ・テルメという温泉の街がある。
しかし、飲む温泉場としてあり、8種類の成分の温泉が湧き出し、体の症状などにあわせて、温泉を選び量を決めて飲む。
たいがい、温泉地には専門の医師がいて、どの温泉がいいか処方してくれるはずだ。
それでも、多様なニーズにこたえて、温泉を蒸気にして吸引する方法や、温泉プールなども備えるようになったという。

トスカーナ地方は、なだらかな丘陵地帯。
サン・ジミニャーノは、敵から身を守る為に高い丘の上にある城塞都市だ。
街の中には、畑などもちろんない。
だから、この街を取り囲むように、いろいろな作物を作る農家が点在している。
ブドウ畑やサフラン畑、その他諸々の農家がその生業をおこなっているが、今はもう一つ宿坊も兼ねている。
”アグリ・ツーリズモ”
納屋や厩などを洒落たように改装し、一流シェフの料理を提供するところもあれば、中世以来の古い建物の部屋に泊まり、当家の昔ながらの素朴な料理を楽しむ”スローライフ”を満喫できるところもあるようだ。
食いしん坊なので、もちろん地元に料理とワインに舌鼓を打ちたいとも思っているが、その美しい丘陵地帯の風景を心行くまで目に焼き付けたい。
風が渡り、光が満ち、田園のニュアンスに富んだ色合いや、朝や夕の靄のかかる潤んだ景色は、天からの贈り物。

いいなぁ、サン・ジニミャーノ。
それから、アッシジもいいなぁ。
トスカーナ地方、恵まれた大地。
心だけは、もう既に彼の地に飛んで行っている。