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ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

恐るべき緑

2025-03-21 22:34:18 | 読書
 ベンハミン・ラバトゥッツ『恐るべき緑』



 これは小説なのか?

 最初に読んだときは、ノンフィクションにしか思えなかった。

 しかし、軽快にジャンプを繰り返してあちこちに飛ぶ話についていくうち、いつしか頭の中には史実の断片が散りばめられていて、こういったスタイルの小説なのだと気づいた。

 そのときには、最初の短編「プルシアン・ブルー」を読み終えようとしていた。

 少し時間を空けて、もう一度「プルシアン・ブルー」を読んでみた。

 どこで話はジャンプしているのか。

 注意して読んでみても、そのスムーズなスライドは、移る瞬間を見逃してしまうほど見事になされていて、あまりの上手さに唸るばかり。

 ストーリーと言えるようなものは、あるけれどないようなもので、ここに書き連ねると科学の歴史を勉強しているノートのようになってしまうだろう。

 では、真面目で堅物なつまらない小説なのかというと、そんなことはない。

 退屈はしないし、有意義な時間になるのは間違いない。

 こんな言い方では、この小説の魅力が伝わらない。

 「恐るべき」小説なのだ。

 これで伝わるだろうか。


 装画はAdrián Gouet氏、装丁は緒方修一氏。(2024)


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