ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

デッドホワイト

2018-10-30 18:18:00 | 日記
ジョン・シャーリー『バットマン[デッドホワイト]』






 ふいにハードボイルドが読みたくなる。

 まだ読んでいない本を探す。

 書棚のこのあたりに何かあったような。

 見つけた。

 真っ黒な表紙、タイトルも著者名も真っ黒。唯一、英語のタイトルだけ白い。

 『Dead White』

 バットマンのノベライズだ。

 あまりにもたたずまいが格好いいので、何度も手に取りながら、パラパラ見るだけで満足していた本。



 読むと、映像として記憶されているバットマンの姿がはっきり浮かんでくる。

 なんとも不思議な居心地のよさ、面白さ。



 デザインは鶴貝好弘氏(コードデザインスタジオ)。


 ところで、バットマンはハードボイルドなのか?(2014)





白い紙に、メリハリのきいた美しい明朝体で組まれた本文
小口の黒が、さらに紙の白さを際立たせる


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デザインにルールなんてない

2018-10-27 18:16:36 | 日記
新谷雅弘『デザインにルールなんてない』





 デザインに関する本は、書店で新刊を見かけたら必ず手に取る。

 できるだけ買うようにしているけれど、いろいろな事情から、立ち読みで終わってしまうことも多い。

 『デザインにルールなんてない』は、立ち読みしたら放せなくなってしまった。


 サブタイトルに「Mac世代におくるレイアウト術」とあるので、マニュアルのようなものかなと思って開くと、まったく違う。

 多くのページに、古い雑誌の誌面がそのまま載っている。
 
 著者がかつて作ったもので、見本の周りに、そのデザインのポイントが小さく入っている。

 そのキャプションを読むと、デザイナーの思いが伝わってくる。

 それにもまして、見本の雑誌が面白い。捨てようとして開いた古い雑誌を、夢中になって読んでしまう感覚に似ている。


 ゆとりある誌面を見慣れたいま、70年代のびっしり情報の詰まった雑誌はなぜか魅力的。

 文章も味があって楽しい。(2013)


表4










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キャッチ=22

2018-10-25 22:09:54 | 日記
ジョーゼフ・ヘラー『キャッチ=22』





 まるで悪夢を見ているようだ。

 大口を開けて笑っていればいいのか、それとも眉をひそめて読んだらいいのか。

 1行で場面が変わってしまう独特のリズムに、最初は戸惑う。

 けれども、馴れてくると、頭をかきむしられるような展開に夢中になる。


 ぼくが買ったときの本の帯には、桜庭一樹氏のコメントが書かれている。

 「海外文学は、浴びるように読むのがいい。文庫で買って、ご飯をお代わりするようにどんどん読むのだ。」

 まさにそんな勢いで、後半は読んだ。


 1977年初版の本なので、カバーは時代を感じさせる。

 イラストの異質な感じは、じっと見つめていると、不思議な物語の世界に馴染ませるための準備のようにも思えてくる。


 カバーイラストは真鍋博氏。(2014)







 2016年にカバーデザインが変更された。
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日が沈むのを

2018-10-23 18:48:58 | 日記
野呂邦暢『日が沈むのを』





 野呂邦暢小説集成2。

 1巻目と表紙の印象が似ているが、よく見ると少し違う。

 絵が異なるだけでなく、刷り色も微妙に違う。

 どちらも特色を2色だけ使っていて、その組み合わせが同じではないのだ。

 カバーの紙は薄く、丁寧に扱わないと破いてしまいそうだ。

 野呂邦暢の文章に似て繊細な本。


 本文の行間がわりと広い。

 同じ判型のほかの本より、1ページの行数が5行くらい少ない。

 総ページ数が600に近い厚い本。

 行間を詰めて薄くせず、この厚さを保つようにしたのかもしれない。

 馴れないと、この行間の白地に目がいってしまい、読書の呼吸が乱れる。

 でも、ときにこの間に意味があるように感じる文章がある。


「今なにをして生活しているんだ」

「あそんでいます」

「ひとり」

「ええ」
 (『日常』から抜粋)


 会話の間に、表情の変化があり、身体の動きも想像される。

 野呂邦暢を読む楽しさの、ひとつかもしれない。(2018)




2巻めを示すのは、帯の片隅にある「2」だけ
カバーと表紙にはない



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傍迷惑な人々

2018-10-21 19:19:46 | 日記
 ジェイムズ・サーバー著『傍迷惑な人々』(光文社古典新約文庫)。






 著者のジェイムズ・サーバーをアマゾンで検索すると、早川書房の『虹をつかむ男』が出てくる。

 『虹をつかむ男』は『傍迷惑な人々』にも収録されていて、1947年に映画化されている。

 『虹をつかむ男』をネットで検索すると、ベン・スティーラーがリメイク版を作ろうとしていることがわかった。(2014年公開『LIFE!』)


 なぜそんなことを調べたのかというと、サーバーという作家をそれまで知らず、また調べたくなるような短編小説が並んでいたからだ。

 光文社古典新約文庫は、フォーマットが決まっているので、そのほかの多くの作家たちと同じような表紙だが、サーバーの作品の雰囲気に合っている。
 一見、意味があるのかわからない絵が、つい手に取りたくなる軽さを生んでいる。
 つかみどころのない空気は、単純だけれども、何度も見返す、読み返すこととなる。表紙も文章も。

 装丁は木佐塔一郎氏、装画は望月通陽氏。(2012)


絵には薄く影がつき、立体感を出している






光文社古典新約文庫は言語により色分けされている。
緑 英語   青 フランス語   茶 ドイツ語






 映画『LIFE!』と原作『虹をつかむ男』で同じなのは、空想好きな主人公の名前くらいなもの。
 原作は、半径3メートル程度の世界から抜け出すことはないが、空想で地球を飛び出すこともある。
 ベン・スティラーの生活も似たようものなのだが、徐々に現実が空想を超えていく。

 空想しているとぼんやりするので、よくないこととして描かれているように見えるが、空想することで、大きな一歩を踏み出すことができたでしょうと、空想を奨励しているようでもある。
 映画そのものが、空想の塊なのだし。(2014)
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