お気楽サバイバー研究所

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(14)マーケティングの理論と活動

2011年03月04日 | マーケティング
2月に長年勤めていた大企業を辞め、3月からコンサルタントとして活動を始めました。それも、マーケティングという花形で競争の激しい領域に飛び込んだのです。もっとも、戦略の基本は勝てる戦場で戦うこと。勝算はあるのですが、戦略は語りません。基本です。

さて、実際にコンサルタントという立場になると、見えてくるもの、考えることが変わって来ます。まず、マーケティング理論と、マーケティング活動を峻別できないとコンサルタントは出来ません。理論と活動について簡単に整理しましょう。

1.マーケティング理論(狭義)
マーケティング戦略を立案するための、分析、整理、思考、表現の知識と技法を体系化したもの。その専門家の代表例は学者、研究者である。

2.マーケティング活動
市場を作りだし、成長させ、維持し、外敵から守るための諸活動。(ジェフリー・ムーアの定義)多くの場合、マーケティング戦略に基づいて遂行される。そのリーダーの代表例は経営者である。

では、マーケティングのコンサルタントは何をするのか。基本的には、理論と活動の橋渡しでっす。稀に、企業のマーケティング組織のリーダーとなっている人もいますが。

そう言えば昔、超有名コンサルティング・ファームのマネージャーと銀座の寿司屋でこんな話をたことを思い出しました。

私「コンサルタントになりたいと思っています。」
彼「無理です。コンサルタントに必要なのは、ハッタリです。中でも輝かしい学歴とキャリアが一番効くんです。」
私「いえ、私には独自のスキームと、さらにそれを生み出す能力があります。」
彼「それは、どんな内容ですか?」
私「(秘密)」
彼「駄目です。コンサルティングのスキームというのは、そのやり方で誰もが考えることなく一定水準のアウトプットを出せるものでなければいけない。コンサルタントの能力に左右されるスキームでは、儲かりません。本当に優秀なコンサルタントは少ないのですよ。」

そう言えば、巷には独自の枠組みを各クライアントに同じように適用するタイプが見受けられます。しかし、それで本当に良いのでしょうか?

例えば、プロ野球のピッチングコーチは、各投手に同じ指導をするでしょうか。明らかに違います。各投手の長所、個性、潜在能力を総合的に把握した上で目標を設定し、確認して、トレーニングや学習の内容を決めることでしょう。マーケティングのコンサルタントも同じであるべきです。幅広い知識と技術の中から、その企業に適したものを選んで採用した方が成功率が高いに決まっています。

また、コンサルタントが成功を保証しないのが許せないという人もいます。しかし、マーケティング理論とは、より確率の高い、効率の良い戦略を示すものであって、成果を保証するものではありません。一流の打者でも、出塁率が5割を超えないのと同じです。(例えが乱暴か?)もっとも、コンサルティングの一般的な成功率についてはデータが無いので数字は出せません。ただし、マーケティング戦略の無い場合の成功率は、ほとんどゼロです。素人がプロの投手を相手に何回打席に立っても意味がないのと同じです。

さらに書けば、費用対効果を計算することが重要です。1本のヒットが重要な場合、1打席500万円で3割打者を雇うか、5打席500万円で2割打者を雇うか。計算しなくても分かる話です。

マーケティングの理論は万能薬ではありません。戦略立案のための、より歩の良い方法を提供しているだけです。戦略が雑でも、素晴らしい活動で成功する場合もあれば、その逆もあります。

コンサルタントは市場を分析する前にクライアント企業を分析し選別します。また企業は、知名度な騙されることなく費用対効果や相性を考えてコンサルタントを選ぶべきです。

まあ、大企業の場合、いろいろなシガラミがあるのでしょうが・・・。(苦笑)