お気楽サバイバー研究所

21世紀は人類が経験したことのない「過剰」の世紀である。現在の社会の常識は崩壊する。生き方が「お気楽」に変わるのだ。

(10)酒屋と傘

2010年10月29日 | マーケティング

今日は所用で大阪の某中堅都市に行きました。私が立ち寄った酒屋さんは、阪急沿線の駅前にあります。もちろん、真っ昼間からお酒を買って飲むために立ち寄ったのではありません。味にウルサイ私は、缶コーヒーと、お茶を求めて、酒屋さんに寄ったのです。

はい。ありました。目的としていた、缶コーヒーも、お茶も、ノンアルコール・ビールも。それだけではありません。何と、ゴルゴンゾーラやパルミジャーノ・レジャーノが1000円前後で置いてあるではないですか。思わず買いそうになりましたが、ストップ。しかし罠はレジにありました。置いてあったのは、上の写真の傘です。

「極薄!ポケフラット」2004年日経優秀製品・サービス賞優秀賞受賞と書いてあります。カラーも5色以上ありましたね。価格は525円でした。ああ。なんでこういうのが欲しくなるのかな、私。

まあ、それは良いとして、このお店のマーケティングは見事に成功していると思います。決算書を見たわけではありませんが、品揃えと陳列を見れば、だいたいの事は分かりますよね。もちろん、タバコも置いてありました。

え、どこのお店かって?
それは秘密ですから~。

で、何が言いたいのかというと、酒屋という概念に捉われない品揃えということです。ソフト・ドリンクや、おつまみも厳選しているということ、そして傘も普通ならビニール傘だけでしょ。それが違うんですよ。プラス・アルファの商品を買わせるテクニック。経営は、こういうところで差がつくものです。

実は、ガム(キシリトール)も欲しかったのですが、聞いたらありませんでした。次に立ち寄った時に置いてあるのかどうかも気になりますね。え。どこのお店か気になるですって? はい。これ、作戦です。(笑)

(9)リスク管理

2010年10月27日 | マーケティング
マーケティングだろうが日々の生活だろうが、リスク管理は重要ですよね。
そこで、今日はリスク管理のお話です。

上の図を、リスク分析マトリックスと呼びます。リスクは、ヒト、モノ、金、時間に分類できますね。
そして、それらを整理して対策を決めておくことが必要なんです。

常識ですよね。ハイ。知らなかった?
では、そういう方のために補足説明します。
予防対策とは、発生を未然に防ぐ種類の対策です。
発生時対策とは、リスク事象が現実のものとなった時に、どういう手を打つかということです。
ここでは、発生時対策を発動する条件を決めます。これを、トリガー・ポイント、と呼びますね。
適宜判断とは、影響が小さきので対策を打つかどうか、適宜判断するという意味です。


しかしねえ。何かと見落としているリスクってあるんですよね。
注意。注意。

参考文献:「改訂3版PMプロジェクト・マネージメント」中島秀隆著、日本能率協会マネージメントセンター

(8)ACDCプロセス

2010年10月24日 | マーケティング
ACDCプロセス。あまり有名では無いのかもしれませんね。
このプロセスは、佐々木俊尚氏の「仕事をするのにオフィスはいらない」で紹介されています。

A(Acquisition)取得する
C(Classify)整理する
D(Dig)掘り下げる
C(Collaborate)連携する

ACDCプロセスとは、取得収集し、それを整理してから、掘り下げて、連携させるというプロセスを意味しているのですね。

悪い例をあげてみよう。
・情報を収集するだけで整理していない
・整理した情報を掘り下げて考えていない。
・情報間の関連づけが出来ていない。
・情報収集が不十分。
・整理の仕方が下手で、上手く行かない。
・掘り下げて考える事に慣れていない、またはその能力がない。
・ACDCプロセスを実行しても、それを生かせていない。
まあ、いろいろなケースがあるが、そもそもACDCプロセスを知らない人が多いのかもしれない。

「そう言いながら、このブログ、全然整理されていないじゃないの」と言った批判もあるだろう。
「だいたい、カテゴリー分類がマーケティングだけって、どういう事?」とか。(笑)

良いんです。
本を書いているわけではないので、このブログの各エントリーは、私の知識の洗い出しであり、第一段階のA(Acquisition)という位置付けなんです。

え。苦しい言い訳だって?
いや、本当にそうなんですって。

もちろん、このACDCプロセスは、マーケティングのいろいろな場面で用いることが出来ます。

(7)販促施策の効果測定

2010年10月23日 | マーケティング
商品等の販促施策は多様だ。いちいち挙げると切りが無いので省略します。

で、普通の商店や会社は、日々の売上をExcelや専用のアプリケーションで管理していますね。ただ、多くの場合、それが単純な棒グラフだから残念なんです。

「おお、販促施策期間に凄い山が出来たね。大成功だ。」

これ、違います。

日々の売上は、株価のように13週とか、26週とか、何でも良いんですけど移動平均線で見ないといけません。
販促施策の効果測定は、実施前と実施後の移動平均値の比較(倍率)で評価しないといけないのです。

(売り切りとか、例外はありますが。)

え、移動平均が面倒ですって?
Excelのグラフで簡単に出来ますって。

さらに、マーケティングと言うからには、単なる比較で終わってはいけませんね。
なぜ、そうなったのかという洞察(インサイト)こそ、マーケティングの本質です。

時には、販促施策実施後に売上が落ちる場合もあります。販促施策実施時に山が出来たと喜んでも、その後売上が落ちたのでは意味がありません。まさに、糠喜びと勘違い。笑っている場合じゃないんです。

まあ、具体例は書かないでおきましょう。
今日も短くて、スイマセン。

(6)売上目標に関する誤解

2010年10月22日 | マーケティング
世間では、未だに売上目標1000億円だとか言ったように、ある「点」を基準に、それを超えれば超えるほど良いと言った考え方をしている会社がある。いや、ほとんどがそういう会社だと言っても良いくらいだ。

さて、これの何がいけないのか。

売れ過ぎるとまず、物がなくなる。あるいは人手が足りなくなる。嬉しい悲鳴などと言ってはいけない。出荷調整が必要になったり、人手が不足して混乱したりするからだ。最悪、売れ過ぎたために配分すら出来ず休売に追い込まれたりするのだ。こういう事例は、巷に溢れている。目標を達成しながら、結果として破綻するのだから、これは目標が間違っているのである。

では、どういう目標が正しいのか。それは、目標を上限と下限のレンジで示すことだ。こうすれば、目標が達成されている限り需給で困ることも、利益で困ることもない。

そして、マーケティングとしては、目標が範囲内に収まっているかどうかをチェックする。そして、上限と下限を超えた場合に、どういうアクションを取るのかという計画を用意しておくのだ。

拡大主義には大きな罠がある。大事なのは、最大化ではなく最適化だ。
短いけれども、今日はこの辺で。
続きがあるのだが、管理技法に関することなので次回にさせてもらいます。

(5)営業の本質

2010年10月21日 | マーケティング
ん。マーケティングなのに営業ですか、と違和感を持たれた人がいるかもしれない。はい。私は営業をマーケティングに含めて考えるんです。

営業の最大の使命は与えられた予算(ノルマ)を達成することではありません。そうではなく、営業の使命は、顧客への価値の伝達です。さらに次なる使命は、顧客の反応をフィードバックすることです。営業の本質とは、価値の伝達なのです。

価値と簡単に言いますが、同じ商品、サービスであっても、どこに価値を見出すかは顧客ごとに異なります。意外なところに価値を見出す顧客もいるでしょう。例えば自動車の場合を例にとりましょう。性能(性能といっても多岐にわたりますが)、デザイン、価格、居住性・・・いろいろありますね。これらを、顧客に応じて細かく伝達する作業こそが営業なのではないでしょうか。もちろん、日本流の浪花節的販売も営業と呼ばれます。しかし、そのような手法は営業の本質から外れたものだと私は考えるのです。

営業はマーケティングの最前線だとも言えます。なにしろ、直接に顧客と接するのですからね。もちろん、数字(売上)は重要ですが、それは結果に過ぎません。商品やサービスによっては、結果がついてこないこともあるでしょう。この場合、悪いのは営業ではなく商品やサービスなのであって、見直すべきはマーケティングそのものです。この場合、営業担当者、営業部門は何故売れないのかについての顧客からの情報を、マーケティングの上流工程部門へフィードバックすることが重要になります。

繰り返しになりますが、営業の本質とは、価値の伝達です。顧客を知り、顧客に合った価値を伝える事。言い換えれば、営業部門は、もっとも顧客を知っている部門でなければなりません。また、もっとも商品やサービスの価値を理解していなければなりません。

中には、ヒット商品を作るマーケティングがあれば営業は不要だ、といった主張をする人もいます。これなどは、営業の成果を売上という数字で見ることから来る誤解だと言えるでしょう。

それは違うという方は、是非コメントして下さい。私は可謬主義者なので、私が誤っている可能性があることを認めます。というよりも、誤りであることが解れば喜んだりもします。あの、ポパーの弟子にして有名な投資家・次善家・社会活動家のジョージ・ソロスと同じくです。(本当かなあ・・・???笑)

(4)SMEのマーケティング

2010年10月20日 | マーケティング
大企業のマーケティングと、SMEのマーケティングは異なります。

SME(スモール&ミドル、エンタープライズ)なんて言わずに、中小企業って言えよって?
あ、それ、重要です。
日本の法律で言う中小企業と、世界で一般的に使われるSMEでは、若干サイズが違うんです。
SMEでは、スモールが従業員1-50人、ミドルが51-150人ですね。あと、スモールでも特に一人から数人の場合をナノコープと呼ぶこともあります。

さて、大企業は一般的に本格的なマーケティング組織を持ち、さらに外部のコンサルティング・ファームを使い、潤沢な資金を使って広告を打つなど、多くのコストをマーケティングに割くことが出来ます。また、その中で専門化が進んで行くのも当然のことでしょう。

しかし、SMEは違います。極端に言えば、そこで考えるべきマーケティングの枠組みは、目標と戦略とコストなんです。そして、少数の人がマーケティング全般を考え、実行しなければなりません。外部のコンサルタントを使うとしても、極めて部分的、専門的なところ以外は社内で遂行しなければなりません。これは、コストの問題だけではないのです。

また、SME以外でも、200人の会社と1000人の会社では違うでしょうし、規模や業種によるマーケティングの違いというのは大きいものです。

言い換えると、各企業は教科書を踏襲するのではなく、自らのマーケティングの技法を創造し、さらに必要に応じて進化、革新する必要があるということです。

また、起業時や起業当初のマーケティングは決定的に重要です。そして、多くの場合、その成否は起業家個人のマーケティング・センスに依存します。当たり前ですね。

今日は短いですがこの辺で。
ところで、中小企業よりSMEの方が呼び方としてカッコ良くないですか?
世間的に普及しないかなぁ・・・。

(3)マーケティングの体系

2010年10月17日 | マーケティング
マーケティングをどう体系付けるかについては、普通にMBAを下敷きに考えて問題ないでしょう。

手許に、2003年と少し古いですが「【図解】わかる!MBAマーケティング」(グローバルタスクフォース㈱著、PHP研究所)という本がありますので、その目次を大まかに追ってみます。

1.イントロダクション
2.環境分析
3.セグメンテーションからポジショニングへ
4.最適マーケティングミックス
  ・製品戦略
  ・価格戦略
  ・チャネル戦略
  ・コミュニケーション戦略
5.戦略オプション
6.パターン別マーケティング事例
7.マーケティングの新潮流
となっています。

これでだいたいの基本的な、というか主流派の言うマーケティングの体系が見えてきますね。

で、これを見て考えさせられたのは、いったいこのブログのマーケティングがどうなっているのかです。
いったい誰に、どういう人に向けて書かれているのか、年齢、性別、職業などなど、的が絞れていませんねぇ。ターゲッティングが甘い。(笑)今日はちょっと反省して、その辺をお風呂の中で煮詰めたいと思います。駄目だよ風呂の中じゃ・・・。

目次だけ眺めていていたのですが、良いフレーズが入って来ました。
「マーケティングプロセスは計画的に」
マーケティングプロセスというのは、
1.環境分析 → 2.市場のセグメンテーション → 3.ターゲッティング → 4.ポジショニング → 5.マーケティングミックス
のことですね。

これらは順番に行いますが、上手く行かなければ、前のプロセスに戻ってやり直します。
市場のセグメンテーション一つ見ても、どういう切り口にするかは自由です。創造力を発揮しないといけません。一つのチャートに決めつけるのではなく、他のチャートが無いかと知恵を絞るのです。つまり、シートの穴埋めではまく、洞察(インサイト)こそがマーケティングには重要なんです。

マーケティングで重要なのは、単に教科書を覚えるのではなく、自分のものにすること。独自のパターンを持つこと。それを使い慣れること。そして現状に満足せず、たえず見直し、成長させること。必要があれば過去のパターンを破棄して新しいものに作り変えることですね。

まあ、こんなことはMBAでなくても、大学生であれば、あるいはサラリーマンをやっていれば、誰でも知っていることかもしれません。でも、それが出来る人は極めて少ないものと思われます。ハイ。

(2)経営理念とマーケティング

2010年10月16日 | マーケティング
ミッション経営という言葉が良く使われる。

ミッションとは使命であり、重要な役割のことだ。それは、経営者の利益以外の強い目的意識と言っても良いだろう。また、日本では「経営理念=ミッション」という解釈する人も多い。正確には複雑なミッションを整理して表現したものが経営理念である。巷には、どうにも深さの感じられない文章経営理念を掲げる企業が多いようだが、もしかすると行動指針と勘違いしているのかもしれない。

ミッションとは経営のアンカー(錨)なのだと私は考える。ここを如何に深く考えて洗練させるかが経営の最重要課題である。ミッションを掘り下げるってどういうことかって? うむ。それは企業秘密と言うことで。(笑)

例を一つ見てみよう。株式会社カカクコムの場合だ。
「ユーザー本位の新しい購買支援サービスを創出しつづける」(消費生活サポートを提供するインターネット・メディア企業)と書かれており、図まで出ている。これなどは練り尽くされた良いミッションの例だと思う。ミッションの中にイノベーションが組み込まれているという点が、特に素晴らしい。

さて、ミッションの明確化プロセスはマーケティングに含まれるのだろうか?
いろいろな考え方があるだろうが、私はこれをマーケティングの上位にあるものだという立場を取る。(もちろん、マーケティングの各種技法はそのプロセスで利用されるだろうが、最終的な決定を行うのは経営者の意思に他ならないからだ。)


ミッション経営とは、まずミッションを明確にし、それからバリューを整理し、ヴィジョンを明確にすることだと言ってよい。では、バリューとは何を指し、ヴィジョンとは何なのか。これを書くと長くなるので、また改めて詳しく書くことにしたいが、ヴィジョンについては大きな勘違いが世間にあるようなので少し触れておきたい。良く、ヴィジョンは5年後に売上高百億円にするとか、数値目標を出す場合があるが、それはヴィジョンではない。ヴィジョンの後に来る経営戦略の目標の一つに過ぎないのだ。

要するに、ミッションからスタートして、バリューを整理し、ヴィジョンを組み立てる。ここまで来てようやく経営戦略策定の前提条件が整うことになる。

では、経営戦略はマーケティングなのか、それともマーケティングは経営戦略の一部に過ぎないのか、どちらだろう。答は簡単、前者はマーケティング主導の企業であり、後者はそうではない企業だ。もちろん世界の潮流はマーケティング主導の企業なのだが、日本の大企業の中では少数派だというのが定説である。

今日は話が経営戦略まで進んでしまったが、次回はもう一度、上流に戻ってみよう。気が向けばね。(笑)




(1)マーケティングの定義

2010年10月15日 | マーケティング
マーケティングって何よ!!

これが、このブログのテーマですね。
たったそれだけ?
はい。それだけですが、何か・・・。

今日は、マーケティングの定義についてです。
これは、ほぼ学者の数だけありますね。それに多様です。

まず、アメリカ・マーケティング協会(AMA)の2007年改訂の定義を見てみましょう。
「マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・流通・交換するための活動、一連の制度、過程である。」
何とも長ったらしい定義ですねえ。ベースはコトラーの定義ですが、そのままで良かったような・・・。

重要なのは、マーケティングを用いるのは民間企業に限らないということです。
「価値ある提供物」を提供する組織、個人のすべてがマーケティングを用いるということです。

ただ、私はこの定義は広過ぎると思います。というのは、これでは管理部門も製造部門もマーケティングに含まれてしまうからです。

キャズムで有名な、ジェフリー・ムーアは、もっと単純にこう定義しています。
「マーケティングとは、市場を作りだし、成長させ、維持し、外敵から守るための行動をとること。」

ここでは、「市場(market)」という概念が主役になります。
当然ですが市場にもいろいろあります。恋愛市場とか、労働力市場とか、政治市場とか・・・。

そうなんです。もう、昔のような狭義のマーケティング概念でマーケティングを語ることはできないのです。もっとも、昔の理論が役に立たないと言っているのではありません。急速に進化し、成長していると言いたいのです。

これは、20世紀に「文化」という言葉がたどった道筋と似ています。構造主義の登場によって、ゴミ箱だろうが、ノイズだろうが、あらゆるものが文化と呼べることになりました。あれも文化、これも文化です。同様に現代は、あれもマーケティング、これもマーケティングなのです。

服装、所作、歩き方、これらも個人のマーケティングと言えるでしょう。
そこには市場があり、価値ある提供物があるからです。

こういった現象は、社会の総市場化と呼べるかもしれません。
生活のすべてがマーケティングの対象になったと言い換えても良いです。

フランスの哲学者スティグレールのように、この事実を病理として批判的に言う人もいますが、その話は後にしましょう。

マーケティングって何よ!!
今日から、このテーマで気の向くままに書いてみたいと思います。